物語る上で役立つ道具
道具と聞いて、何を思い浮かべるでしょう。
物語をつくる上での道具……紙と鉛筆? それともパソコンとワープロソフト?
それらも勿論、あれば便利です。
でも、本当に役立つ道具って何でしょうか?
紙も鉛筆もパソコンもワープロソフトも、無くても物語は作れます。
つまり、これらは物語を、残る形・見える形にする為の道具と言う事です。
口で言っても、それを録音すれば残る形に出来ます。
しかし、物語を形にするには、形に落とし込む前の段階で使う道具が必要となります。
それは、ある種の「パターン」や「テンプレート」であったり、時には、「考え方」や「思考法」であったりします。
勢いだけで面白い物語を作れる人は、ごく一握りだけで、それ以外の大多数の人はそれぞれ自分の道具を持っています。
物語の出来栄えは、その道具にかかってきます。
大工さんもノコギリやカンナが無ければ立派な家を作るのが困難なのと一緒です。
この記事では、そんな当たり前のことを再確認します。
道具の種類
ここでは、物語創りで役立ちそうな道具の種類や性質を記していきます。
形を残す
まずは、物語を残る形で保存する道具からです。
作る媒体(映画、漫画、小説等)によって使う場面が違ってきますが、物語自体を創る為にはどれも使い所があります。
録音する
説明:音声で残す。録音機、ボイスレコーダー、最近ではスマートフォンでも出来る。
長所:録音開始と停止さえ出来ればアイディア出しや備忘録程度なら、どこでも出来る。
短所:視覚的に何が入っているのか分からないので、地味に管理が大変。ちゃんと喋らないと自分で聞き取れない。
おすすめの方法:今ならスマートフォンの録音機能で事足りる。ただ、文章みたいに蓄積してしまうと、音だと過去の物はイチイチ聞かないと中身が分からなくなるので、管理が出来ないなら文字起こししてドンドン消していく方が良いです。
書く、描く
説明:恐らく一番安定している方法。文字や絵で残るので視覚的にも管理しやすい。
長所:紙とペンがあれば事足りる。パソコンやスマートフォンが操作出来れば、どこでも出来る。デジタルの場合、管理も楽。
短所:アナログの場合、字は自分が読めるレベルで書かないと意味が無い。
おすすめの方法:やり方に自分なりのフォーマットを持つのが良い。アイディアノートや作品フォルダ等。ただし、作品に取り組む時点で、ジャンルによっては業界のフォーマットに従わないと手痛い二度手間に遭う。知らない場合は事前に調べよう。
漫画を描くならコミスタ、クリップスタジオ、フォトショップ等のソフトウェアも便利。
撮る
説明:既にあるものを切り取って残す。
長所:機材さえあれば誰でも出来る。スマートフォンの普及のお陰で、写真も動画も楽々。
短所:編集が大変。
おすすめの方法:どうやって物語を創るのに使うのかにもよりますが、取材やイメージを膨らませる目的なら最初から使えます。
立体物を作ってみる
説明:ブロックや粘土で形を作ると、そこからイメージが湧くことも。
長所:視覚的かつ感覚的。イメージが凄く湧く。
短所:時間がかかる。それこそブロックや粘土といった道具が必要。
おすすめの方法:レゴブロック最強。でも高くてちょっとと言う時に、マインクラフト。ラピュタは厳しくても作っているとイメージ湧くし、色々な角度で立体的に観れます。
加工する
ここがからがこの記事の本題ですね。
形として残る物となった物語の素材を加工する道具です。
好きなように進める
説明:どのパートでも出来る。物語をつくる上で一番楽しいパート。
長所:とにかく楽しい。
短所:ゴール到達率低め。プロでも座礁する事あり。
おすすめの方法:ゴール、または物語の進む方向だけでも決めておく。これだけで挫折が減ります。
体系化された創作術を使う
説明:多くの創作者が拒否反応を示し、同時に多くの創作者が使いこなせずに挫折するやつ。
長所:従えばゴール到達率高め。
短所:人によっては穴埋め問題状態に陥る。そうなると辻褄はあっているのに面白くない物語が出来がち。
おすすめの方法:の前に……
まずテンプレ、お約束、ステレオタイプ、王道と言ったワンパターンに拒否感持っている方へ。
そういった諸々の道具を使わず、自分なりの試行錯誤を重ねて作り続けて正解にたどり着く創作が唯一正しくて美しいと考えている場合は、そのまま続けて下さい。
続ければ必ず目指していた場所に着きます。
こういった過去の先人達が残したノウハウには、残る理由があって残っているので、使えば楽を出来ますと言うだけの話です。
改めて。
おすすめの方法:「道具は正しく使う事」ただそれだけです。
起承転結、序破急、3幕構成、アーキタイプ、プレミス、ハイコンセプト、マクガフィン等々……
恐らく、脚本術等の解説本を読んだ事が無ければ聞いた事もない単語もあると思います。
ですが、どれも難しそうですが、単体で見ればそんなに複雑な道具ではありません。
まとめ
このブログでは、記事内で触れた「幅広い意味での道具」を紹介し、時に公開や共有をし、誰もが自由に使えて、改善出来て、また共有出来る事を目標としています。
物語創作ツールの、ある種のオープンソース化によって、望まれずに生まれる「面白くない物語」を減らしていく事を目的に活動していきます。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
良かったら他の記事も見てみて下さい。
※管理人の癖で、難しかったり固い文章になりがちですが、ちょこちょこリライトして読みやすくしていくつもりです。
※一応あらかじめ書いておくと、世の中には、有利に立ち回るため、そういった情報や道具を独占したがる人もいると思います。
ですが、道具は、大抵の場合、共有した方が個人でなく集団の為になる事は、歴史が証明しています。
モノによっては、発明者としての権利を主張する人もいるでしょう。
その権利自体は、認められて然るべきものですが、道具を悪戯に隠したり、法外な対価を求めるのは、結局個人の利得にしかなりません。
その道具の生まれた目的が、利便性の向上でなく、発明者個人の懐を潤す事でもない限りは、目的を果たす事を優先した方が自然です。