「物語上の目的」と「物語自体の目的」
作ろうとしている物語の「物語上の目的」を決めると言って、すぐに出来るでしょうか?
出来るならそれは、明確に物語の方向性が決まっている事になります。
その際、「物語上」と「物語自体」の目的は別にある事を意識した事が無いなら、密接な関係がある事を意識して下さい。
出来ないなら、物語上の目的を探さなければなりません。
物語自体の目的
物語自体の目的とは、物語が装置として読者に影響を与える事です。
物語を読んだ読者は、物語によってどんな影響を受けるでしょう。
いえ、それよりも、読者は何が欲しくて物語を読むのでしょうか?
それは、物語の読者は、物語に何かしらの「感動」を求めています。
感動とは、感情が動く事です。
「ドキドキ」「ワクワク」「ジーン」「やった!」と言った気持ちになりたいと言う事です。
だから、読者は時間やお金や労力を使って物語を求めます。
つまり、物語上の目的は、物語自体の目的を果たせる形である事が望ましいという事です。
※プルチックの感情の輪(逆位置)
物語上の目的は何?
物語自体の目的は、感情装置として機能する事でした。
作ろうとしている物語は、読者にどんな気持ちになって欲しいのかイメージが湧いたでしょうか。
物語が生み出す感情のイメージが湧いたのなら、それにマッチした現状で考えうる「最高のエンディング」を考えてみましょう。
ミステリーものなら、トリックを見破って犯人の計画を阻止するかもしれない。
スポーツものなら、チームの優勝かもしれない。
ヒーローものなら、ヴィランに勝つ事かもしれない。
「最高のエンディング」が思い浮かんだら、その物語が最高のエンディングに至るまでに、どんな出来事を描き出す事が必要か、自然と見える部分がある筈です。
「最高のエンディング」に至る為に、主人公がどんな行動をすればいいのか、最初よりは見えると思います。
主人公の行動の結果が目的につながる
主人公の行動こそが、物語上の目的に至る為の道の一つです。
では、主人公は、「なぜ」そもそも行動するのでしょうか?
それは、主人公が変化する必要がある為です。
変化とは、何でしょう?
それは、主人公の成長を意味します。
つまり、「最高のエンディング」は、主人公が成長した結果、目的を果たし得られる結末なのです。
しかし、主人公は、「なぜ」成長する必要に迫られるのでしょうか?
それは、物語の冒頭で主人公には、何らかの欠点があり、必ず問題を抱えているからです。
これは裏を返せば、何も問題を抱えていない主人公は、成り立たないと言う事です。
主人公の行動とは、問題解決行動
あなたの物語の主人公は、どんな問題を抱えているでしょうか?
叶えたい夢があるのに何かが足りない?
悪者が現れたのに倒す力が無い?
忘れたいけど、精算しないといけない過去がある?
ちゃんと問題を抱えているなら、それを解決した結果「最高のエンディング」が待っている筈です。
でも、主人公は、問題を抱えても、目的があっても、簡単には行動を起こしません。
それは、主人公の抱える問題が、簡単に解決出来るものなら物語として面白くないし、簡単に解決できないものなら、主人公は、問題解決行動を起こす事を躊躇するからです。
主人公に問題解決行動を起こさせるには?
物語上の目的は、物語自体の目的にマッチし、物語の主人公が物語の冒頭で解決不可能な問題の解決行動の結果、主人公が成長し得られるものと言う事が分かりました。
しかし、ここで主人公が解決不可能な問題に向き合う事が大きな課題となってきます。
主人公は、主人公自身で必要性が高いと思わない限りは、問題解決をしようと思いませんし、もちろん行動にも移しません。
では、主人公をどの様に行動に導けば良いのでしょうか?
それには、主人公に強烈な動機を持たせる事が必要になります。
そこで主人公が問題解決に向けた行動を取らざるを得ない状況に置く為に、主人公には、強烈な葛藤のある環境を用意する事が必要になります。
生きるか死ぬか、と聞かれれば生きる為の行動を取らざるを得ないし、同時に生きたいという動機が生まれます。
事件を解決するか放置するか、そう探偵が聞かれれば、仕事なら解決に向けて動く必要が生まれ、真相を追っているうちに真実を知りたいという動機が生まれます。
告白するか諦めるか、片思いの人間が選ばざるを得ない状況になったら、自分で選択する必要が生まれ、そこには告白の有無を問わず、やはり動機が生まれます。
まとめ
物語上の目的が見えないなら、「主人公」が「葛藤」のある「行動」によって「成長」して、何の「問題」を解決しようとしているかを簡潔に書いてみましょう。
まあ、面倒なら、主人公が何をしたいのか、何をしなければならないのか、それが出来ないならどうなってしまうのかを考えると目的が見え、そこに発生する葛藤や動機も考えやすくなります。