そもそもテーマとは?
まず物語上の目的とは、問題解決にあるという事でした。
そして、テーマも以前「物語を創り始める時の始点とは?」内で、物語の主題と軽く触れました。
今回説明する物語のテーマとは、問題を解決する事で「あなたが読者に伝えたいメッセージ」に他なりません。
それは、あなたの考えるこういう場面ではこういう行動をすべきという「道徳観」でもあります。
何を伝えなければならないのか?
テーマとは、常に物語の伝える普遍的真実を表します。
普遍的な真実とは、世界の真理そのものです。
それは、善と悪、死と生、罪と罰、別離と再会、憎悪と愛情、狂気と正気、不条理と因果、嘘と真実、停滞と成長、偏見と公正、孤独と連帯、敗北と勝利、陰謀と暴露、絶望と希望、復讐と許し、堕落と野心、獲得と喪失、利己と利他、冷静と情熱、支配と自由、暴力と対話、戦争と平和、等々と無数にあります。
その全てに共通する原因と結果の法則を表現する事、それがテーマを表します。
テーマこそが物語の魂です。
なので物語は、テーマを表現する為の道具に過ぎないと言う見方も出来ます。
あなたは、自分の物語で何を読者に伝えたいでしょうか?
例えば「正義が最後に勝つ」でしょうか?
「正義も絶対でない」とか「正義同士がぶつかったらどうなるか」でしょうか?
どの様な行動を主人公にさせ、どうあるべきだと描くのでしょうか?
テーマがわからない時は?
書く前にテーマが分かっているのが理想です。
しかし、都合良くテーマを掴み取る事など出来ないのが普通です。
明確なテーマの把握は、非常に難しい作業です。
なので、仮のテーマを置いておき、書き始める事もよくあります。
物語を作り始め、物語の中で問題を解決してみて、初めてテーマが見える事もあると言う事です。
テーマの役割とは?
以前の記事で書いたコンセプトは、物語を「面白くする」役割を果たします。
新規性のあるアイディアというフックで、読者を誘惑し、面白そうだと興味をそそり、その期待に応える事が役割です。
対称的にテーマは、普遍的真実を「読者に学ばせる」役割を果たします。
読者が物語の世界に没入していくと、そこにうまいテーマの表現がされていれば、自然と読者は、テーマを感じていきます。
そして読者は、物語の始まりから結末までの一連の流れから、テーマが伝えたかったメッセージを読み取り、物語が終わってからも学んだテーマは、読者の心に残り続けます。
つまりテーマとは、物語を読んでみるまでは、読者に分からないものです。
なので、テーマが薄かったり、無かったりしても、面白そうな作品と言う物は、沢山存在しています。
しかし、テーマが明確でない作品からは、読者は、メッセージを受け取れず、何も学べず、結果、記憶に残っても心に残りません。
テーマの表現の仕方とは?
物語の上でテーマは基本的に、前提で無く「問いかけ」から始まります。
「正義が勝つ」で無く、「正義は勝つのか?」と言う事です。
物語の中心となる疑問、セントラルクエスチョンです。
また、テーマを延々とストレートに主張をしても、難しい内容を消費者は、学びません。
馬鹿だと言うのではなく、単純に押し売りだ説教だと反発を呼びます。
なので、やたらと主張するので無く、サブテクストで、行動で、そして感情で、直接語らずに表現する事が重要です。
全部を言って聞かせるのではなく、深読みさせる余地を与え、読者自身に考えさせ、気付かせ、自分で掴み取らせる事が、学びの鉄則です。
そこで使う暗喩や行間を読ませると言った技は、本当にテクニックのお話になりますので、それはまた別の機会に。
まとめ
テーマとは、「普遍的真実を伝え、学ばせ、時に共感を呼ぶ事で読者の心に物語を残す」そんな役割があると言う事がわかりました。
それらは、主人公と密接に関わっている必要がある事も忘れないように。
主人公の行動は、作者の提示する道徳観です。
あなたの物語のテーマは、何でしょうか?
あなたは、その物語で、何を読者に伝えたいのでしょうか?
あなたが描く物語は、こうするのが正しいと何を主張するのでしょうか?
※「カール・イグレシアス(著)「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方」に、映画におけるテーマの事が詳しく説明されています。
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