未来と過去、どちらを見ている?
これは、主人公の目的ある行動が、主人公の人生においてゼロをプラスにするか、マイナスをゼロにするかを表しています。
投資と清算とは?
物語で描かれる主人公の行動は、より良くなりたいか、悪いものを良くしたいという感情で動機付けられます。
より良くなりたいというのは、未来への投資活動で、目の前の問題を解決出来れば、素晴らしい未来が待っているから、行動します。
悪いものを良くしたいというのは、過去への清算活動で、過去の間違いや誤った選択を正す事で、正常な状態にしなければならず、行動します。
今を境にした、投資と清算という切り口
この投資と清算は、解決すべき問題の性質を基準にします。
また、問題に対する主人公の向き合うスタンスも大いに関係します。
4つの投資と4つの清算の考え方
投資と清算は、大きく分けて合計8種類に分類できます。
主人公が自発的に課題に取り組む投資
これは、スーパーヒーローものや、スポーツ、旅物語、変人が難題に立ち向かう等のパターン全般です。
主人公は、典型的なヒーローズジャーニーを通して課題に向き合い、自ら取り組み、より良い未来の獲得の為に行動します。
スーパーヒーローなら例えば、スーパーマン、バッドマン、スパイダーマン、アイアンマン、エックスメン等です。
スポーツなら例えば、ロッキー、クールランニング、メジャーリーグ等です。
旅なら例えば、スターウォーズ、ロードオブザリング、ファインディングニモ等です。
変人が難題に立ち向かう話なら例えば、フォレストガンプ、キューティブロンド、ビバリーヒルズコップ、クロコダイルダンディ等です。
主人公が自発的に課題を避けて取り組む投資
これは、魔法や特別な力を凡人が手に入れる等のパターンです。
平凡な主人公は、平凡だった時には挑戦しなかった事を、特別な力を手に入れた事をきっかけに挑戦し始めます。
しかし、その特別な力が無ければ挑戦さえ出来なかった事だとしても、最後は自力で挑戦し、乗り越えなければ意味のないものと、多くの場合気付く事になります。
例えば、マスク、オーロラの彼方へ、アラジン、素晴らしき哉人生、バタフライエフェクト等です。
主人公が強制的に課題に取り組む投資
これは、凡人が難題に立ち向かう等のパターンです。
個人でも世界でも、主人公は全然悪くないのに、一方的に災難が降りかかってきますが、それらをクリアしないと命さえ危うい事になります。
例えば、逃亡者、ダイハード、ボーンアイデンティティ、エアフォースワン、ディープインパクト、アポロ13等です。
主人公が強制的に課題を避けて取り組む投資
これは、ラブストーリーやバディもの等のパターンです。
運命という強制的な出会いによって主人公は、対立や葛藤を強いられます。
しかし運命の相手を受け入れた時、主人公は唯一無二の半身を得る事になります。
例えば、ロミオとジュリエット、美女と野獣、タイタニック、ガタカ、リーサルウェポン、フリーウィリー等です。
主人公が自発的に課題に取り組む清算
これは、多くは所属環境の抱える問題との対決する物語等のパターンです。
過去からある間違った慣習、差別等と戦う一般人の物語です。
例えば、マネーボール、カッコーの巣の上で、ゴッドファーザー、プラトーン、今を生きる等です。
主人公が自発的に課題を避けて取り組む清算
これは、人生の岐路に立たされた凡人の物語のパターンです。
主人公は、自分が過去からずっと抱える問題を避けて解決しようとします。
例えば、卒業白書、ナポレオンダイナマイト等です。
主人公が強制的に課題に取り組む清算
これは、主にミステリーもの等のパターンです。
主人公は、事件の解決に向けて動かなければいけない理由があります。
それは、刑事や探偵といった職業だけでなく、主人公自身が事件に関わっているからです。
また、事件には、必ず犯人がいて、犯人には計画を立てなければならない動機があり、その原因は、常に過去にあります。
例えば、マイノリティリポート、アイロボット、シックスセンス、ゴースト、ブレードランナー等です。
主人公が強制的に課題を避けて取り組む清算
これは、主にモンスターもの等のパターンです。
主人公は、平凡な人間で、襲い来るモンスターからまずは、逃げなければなりません。
襲い来るモンスターは、多くの場合は、人間のエゴが生み出した存在で、主人公は他人の過去の誤った選択の清算に奔走します。
例えば、エイリアン、ジュラシックパーク、ゴジラ等です。
まとめ
過去を清算しないと、未清算の過去が追ってきます。
また、未来への投資をしないと、望む未来は、なかなか手に入りません。
投資行動と清算行動の動機の違いを意識すると、主人公の感情の動きを整理して見る事が出来るかもしれません。
※物語の構造毎の分類は、「10のストーリータイプから学ぶ脚本術」内で詳しく説明されています。