物語世界の秩序と混沌とは?
これは、主人公の所属環境の性質で、主人公の所属環境を、秩序が支配しているか混沌が支配しているか、を表しています。
秩序と混沌とは?
物語で描かれる主人公の所属環境は、ルールによって支配され秩序をもっているか、ルールが壊され混沌に支配されているかで分類できます。
ユートピアやディストピアは、秩序に支配された環境の行きつく先と言えます。
災害や事件が起きる状況は、混沌に支配された環境であると言えます。
主人公の目を通した、秩序と混沌という切り口
この秩序と混沌は、あくまでも物語の主人公を中心とした基準で決まります。
主人公にとっての秩序と、周囲の環境を構築する人々の秩序では、基準が違います。
環境の秩序と混沌の考え方と種類
秩序とは、既存のルールです。
混沌とは、既存のルールを壊す物で、新たなルールでもあります。
主人公は、所属環境を基準にして、秩序か混沌のどちらかに支配されています。
これらは、大きく分けて合計12種類に分類できます。
秩序に支配された環境で、混沌に支配されていた主人公を、秩序に変える
これは、人生の岐路に立たされた凡人の葛藤の物語です。
主人公は、世界が用意した模範から既に外れていて、ルールに従う覚悟をするまでの話です。
例えば、卒業白書、ナポレオンダイナマイト等です。
秩序に支配された環境を、秩序に支配された主人公が混沌から守る
これは、旅物語やスポーツものです。
守る価値のある、秩序ある世界や、所属しているチーム等を、平凡な主人公が守る話です。
スポーツなら例えば、ロッキー、クールランニング、メジャーリーグ等です。
旅なら例えば、スターウォーズ、ロードオブザリング、ファインディングニモ等です。
秩序に支配された環境を、混沌に支配された主人公が混沌から守る
これは、スーパーヒーローものです。
守る価値のある、秩序ある世界を、世界のルールから外れた特異な主人公が守る話です。
例えば、スーパーマン、バッドマン、スパイダーマン、アイアンマン、エックスメン等です。
秩序に支配された環境で、秩序に支配されていた主人公を、混沌に変える
これは、魔法や特別な力の物語です。
世界のルールに従って生きていた主人公が、ある時を境に特異な存在となり、自らの特殊性を生かして願いを叶えようとする話です。
例えば、マスク、オーロラの彼方に、アラジン、素晴らしき哉人生、バタフライエフェクト等です。
秩序に支配された環境を、秩序に支配された主人公が、新たな秩序に変える
これは、凡人が所属環境の問題を解決する物語です。
変えるべきルールや価値観に支配された世界を、そのルールに従う事が出来ない主人公が変えようとする話です。
例えば、マネーボール、カッコーの巣の上で、ゴッドファーザー、プラトーン、今を生きる等です。
秩序に支配された環境を、混沌に支配された主人公が、新たな秩序に変える
これは、変人が所属環境の問題を解決する物語です。
変えるべきルールや価値観に支配された世界を、そのルールに従う事が出来ない主人公が変えようとする話です。
例えば、フォレストガンプ、キューティブロンド、ビバリーヒルズコップ、クロコダイルダンディ等です。
混沌に支配された環境で、秩序に支配された主人公を、混沌を通して変え、新たな秩序を作る
これは、ラブストーリーやバディ物です。
平凡な主人公の日常を壊す存在が現れ、主人公は日常の破壊者との交流を通して、新たな日常を獲得するまでの話です。
例えば、リーサルウェポン、フリーウィリー等です。
混沌に支配された環境で、まだ秩序に支配されている環境を、混沌を通して変え、新たな秩序を作る
これは、革命物です。
人々の固定概念を壊す出来事が起き、主人公は古い秩序に支配された人々との交流を通して、新たな日常を獲得するまでの話です。
例えば、コーチカーター、インビクタス等です。
混沌に支配された環境で、古い秩序に支配された主人公が苦しみながらも混沌を肯定し、古い秩序に支配された人々と新たな秩序を作る
これは、タブー物です。
同性愛、性同一性障害、異種愛、身分の差、人種差別等。
ある時代に別の時代なら大多数が間違った判断をしていて、主人公もその中で生きている中で、正しいと信じて間違った秩序と戦う話です。
例えば、ロミオとジュリエット、美女と野獣、タイタニック、ガタカ、ブロークバックマウンテン、リリーのすべて等です。
混沌に支配された環境で、混沌に支配された主人公が、秩序に変えようとする
これは、ミステリーです。
事件が起き、混乱した世界で、混乱と向き合う主人公が、混乱を解決する話です。
例えば、マイノリティリポート、アイロボット、シックスセンス、ゴースト、ブレードランナー等です。
混沌に支配された環境で、混沌に支配された主人公を、秩序が保たれた状態に変える
これは、凡人が難題を解決する物語です。
平凡な主人公が、解決困難な事件や災害に巻き込まれ、多くは生き延びる為に努力する話です。
例えば、逃亡者、ダイハード、ボーンアイデンティティ、エアフォースワン、ディープインパクト、アポロ13等です。
混沌に支配された環境で、秩序に支配された主人公が、秩序に変えようとする
これは、モンスターものです。
平凡な主人公が危険な存在に脅かされ、どうにか元の平和な世界に戻ろうと努力をする話です。
例えば、エイリアン、ジュラシックパーク、ゴジラ等です。
まとめ
物語世界と主人公に関わる秩序と混沌は、理解出来ていれば主人公の葛藤を探す時にも役立つ筈です。
上の種類には入れませんでしたが、「秩序が支配する環境で、秩序に支配された主人公」を描けば、いわゆる日常の話になるのかと言えば、正にその通りなのですが、描かれる日常は、何も起きない面白くも何ともない、本当の過ぎ行く日常になってしまい、エンターテイメントとしては、失格です。
また、「混沌に支配された環境で、混沌に支配された主人公」を描いても、世界と主人公が同じ混沌に支配されているのならば、そこには秩序が生まれてしまい同じことです。
世界と主人公の混沌が違う場合は、世界とは、あくまでも土台なので、基準として秩序として扱われます。
この記事で使われている混沌は、カオスと言うよりは、秩序を乱す事を指しています。
※ベースとなっている物語の構造毎の分類は、「10のストーリータイプから学ぶ脚本術」内で詳しく説明されています。