そもそも、概念とは?
検索してみると、次の様に出ます。
- 同類のものに対していだく意味内容。
- 同類のもののそれぞれについての表象から共通部分をぬき出して得た表象。
- 対象を表す用語について、内容がはっきり決められ、適用範囲も明確な、意味。
ここで話題にしたいのは、1・2番目についてです。
検索結果を読んだだけでは意味が分からない方の為に、礼をあげます。
例えば、哺乳類と言う概念の下には、猫や人間があります。
哺乳類と言う概念の上には、生物があるでしょう。
この上位概念、下位概念の考え方は、マトリョーシカの様な入れ子構造になっていて、一番外側の概念に中の概念は従って行きます。
概念を意識した問題解決
物語の中で主人公が問題解決を図る時、創作者が意識出来ると解決策を見つけやすくなるのが問題の概念です。
例えば、汚職警官やマフィアをモチーフに、歪んだ組織との戦いを描きたいと思った時に、主人公は組織を正常化する事を目的に行動します。
その際、問題を解決する手段は、常に上位概念に存在します。
汚職警官なら、汚職警官を取り締まる職務に付いている捜査官や、汚職警官が本来従わなければならない法律を使って戦う事が正攻法です。
マフィアなら、正しい方向に組織を導く者がボスになるか、ボスやファミリーを全滅に追い込む事が正攻法です。
汚職警官の場合、汚職警官が勝手に作ったルールで問題を起こしているので、そのルールを正すルールが上位概念に。
マフィアなら、間違った暴力を、より大きな暴力という上位概念で正す事になります。
しかし、対峙する物に対して真正面からぶつかる以外の問題解決も存在します。
汚職警官が警官としてより父親としての自分を大切に思っていた時、最愛の子供に汚職警官である事がバレる事を恐れている場合等、汚職警官を正す方法の幅が広がります。
マフィアも、組織のルールより友情等が上位概念に立ったりすると、途端に話の幅が広がります。
概念の上下の話
概念の上位下位の話をすると、要するに階層の話になります。
上記で出したのは、物語の中で使える道具としての概念の例です。
上位下位の話は、何にでも当てはまるので汎用性が高い考え方、ツールです。
上に行くほど抽象的になるけど範囲が広くなり、下に行くほど具体的になるけど範囲が狭くなる性質があります。
例えば、人間で言うと
上位概念
- 生物
- 哺乳類
- 類人猿
- 人間
- 人種
- 個人
下位概念
と、言う風に上程広く薄い意味を持ち、下に行くほど上の概念の傘下に入ったまま具体化していくのが分かります。
この様に、他にも住所でも、組織図でも、法律でも、大抵のものに当てはまります。
この上下関係で基本原則となる事は、上位概念には下位概念は原則逆らえない事です。
流れに一時的には逆らえますが、逆らえば上からの圧力がかかります。
また、上位概念で悪いとされている事は、下位概念でも悪いとされ、その逆もまた然りです。
この上下関係は、単純な上が偉いと言うレベルとは訳が違います。
偉いのは上ではなく、より自然な状態の方です。
より自然な物が長い目で見れば常に、より上位概念であり、純粋で、優しく、残酷で、強いのです。
自然な物が上位、不自然な物が下位
極端な話が、自然が最強と言う話です。
より正しい事や物を考える時は、どちらがより自然かを考えれば良いぐらいです。
概念の話をしていて急に自然がどうこうの話になって、よくわからないでしょうか?
自然とは、意思を介在させなくても、いずれはそうなる状態です。
流れに逆らわない状態が自然です。
これは、あらゆる概念にも適応されます。
人が従うルールとは、意識をしないでいると自分の周囲のルールに縛られます。
それは学校ならクラス、仕事なら会社や部署に職場、プライベートなら家庭や友人です。
そのまとまりこそが、人の社会の最下位のコミュニティになり、人はコミュニティのルールに従います。
ですが、そのコミュニティは、より上位のコミュニティのルールと同じ所もあるかもしれませんが、実は長い時間をかけて出来たローカルルールが実際は支配しています。
なので、こういう場合はこうして良い、こういう場合はこうしてはいけない等と言う変なルールが沢山あります。
ある日、その最下位コミュニティで問題が発生したとします。
逆らえない人(親でも先輩でも上司でも、何でもいいです)に暴力を振るわれたり、犯罪を強要されたりしたとします。
最下位コミュニティのルールでは、間違いなく従うべきだと全員が思っていても、一つでも上位のコミュニティが絡むと話が途端に違ってきます。
国、都道府県、市区町村、警察、裁判所、何でもいいです。
下位のコミュニティは逆らえません。
下位のコミュニティの問題が上位のコミュニティにまで露呈すれば、下位のコミュニティ内のルールが上位のコミュニティの物と競合します。
そうなれば、下位のコミュニティは上位のコミュニティのルールに従わざるを得ません。
この上位の概念に繋げる事で問題を鎮静化させる手法は、物語世界の中でも大いに役立ち、現実世界でもしっかり機能します。
まとめ
問題の上位概念が何なのか、これが分かるだけで多くの問題に、解決のとっかかりが出来ます。
逆に、上位概念が存在せず、上位概念を用意しようが無い問題の解決は、同レベルでの争いでしか雌雄を決する事が出来ません。
村同士の小競り合いなら御上が出てくれば決着しますが、国同士の争いとなると中々止められません(フィクションでは、宇宙人などの上位概念が攻めてきたりしますが)。
複雑に問題が絡んだ状態だと、個々の問題解決が一見出来ない様に見えたりしますが、個々の問題毎には解決が必ず出来ます。
出来ない場合は、問題の概念を正しく見えていないか、上位概念からの解決を試みていない場合が殆どです。
あなたの物語の中で、解決するべき問題には、果たすべき目的には、どういう概念が内包されているでしょうか?