既存作品ザックリ分析
形式:連続アニメ作品、第三話
長さ:23分(OPEDテーマソング含む)
公式サイト:http://yurionice.com/
!注意!
この記事は、完全にネタばれを含んでいます。
主な想定読者
・分析作品から、物語の型を学ぼうと思う創作者で、その中でも、脚本術等を、好きな作品で学びたい人。
・分析作品を既に見た作品のファン。
・分析作品を見る予定は無いが、単純に内容を知りたい人。
分析で分かる事
物語のオチは、もちろん正確には分かりません。
分析によって分かるのは、主な物語の構造や、各要素の役割です。
「ユーリ!!!onICE」を分析
主人公(役割):勝生勇利
導き手:ヴィクトル・ニキフォロフ
対抗者:ユーリ・プリセツキー
協力者:長谷津の人々
オープニングイメージ
前回までのあらすじ
準備の時
愛について、アガペー
氷上で滑るヴィクトルのアガペーの演技。
ヴィクトルの演技をユリオは一回見ただけで、だいたい覚えてしまう。
ユウコが見学しているが、愛について、エロスの出だしで興奮しすぎて鼻血を出して倒れてしまう。
邪険にしていたユリオがユウコを介抱している時、勇利は男が見ただけで妊娠すると形容した演技を自分が本当に出来るのか動揺する。
ヴィクトルにどうか聞かれ、構成で何を滑れるか聞かれ、勇利は出来る技を答えるが基礎練習を言い渡されてしまう。
ヴィクトルは、勇利の弱点は自分に自信がない事と見抜いていて、その自信を持たせるのがコーチとしての仕事だと言う。
そして、ヴィクトルは、勇利の本当のエロスを早く教えてくれと妖しく宿題を出す。
勇利はエロスの意味を自分なりに考え始める。
ミナコ先生と三つ子は、地元長谷津では異例の豪華なショーと勇利復活に胸を躍らせていた。
勇利は西郡に基礎練習を手伝って貰いながら、エロスの意味探しを相談していた。
適当に考えておけよと言われるが、ヴィクトルは天才だから成り立つが勇利は自分がそれで成り立つとは思えず、また勇利はヴィクトルの演技を見た時に感じた物語を形にしたいと思う。
色男の物語を語ると、勇利のイメージでは無いと言われ、勇利もヴィクトルの方で見たかったと言われる事を恐れる。
ヴィクトルの完全コピーをしても十分にエロスを表現出来ていると指摘されるが、勇利は真似ではヴィクトルを超えられないと目標を漏らす。
恋愛経験が乏しい勇利では、そもそも世界一モテるヴィクトルに、そのままのエロスでは勝てない事を笑いながら指摘され、勇利は固まる。
その頃、ヴィクトルのレッスンを受けるユリオは、何か違うと指導されていた。
欲が出過ぎていて、アガペーを表現出来ていないらしい。
フィーリングで言語化できないが、あえて言えば寺かなと言われ、ユリオは素直に寺で瞑想を始めて邪念を払おうとする。
勇利とユリオが疲れ果て温泉につかっている。
勇利は、その気になれば大人の色気ぐらいと思うが、浴場に入って来たヴィクトルを見て勝てない事を悟る。
ヴィクトルは無邪気に温泉内の写真をSNSにアップしたいと言うが、勇利は冷静に浴場内は撮影禁止と言う。
温泉を出て、元気なヴィクトルはカツ丼を頬張り、勇利とユリオは机でぐったりとしていた。
勇利が自分なりのエロスを考えようとしていると、正常な判断が出来なくなる様な事がエロスの要素ではと思い、ヴィクトルとの約束で食べる事を禁じられたカツ丼の誘惑を思い出す。
よだれを垂らしながら、自分が正常な判断が出来なくなる事はカツ丼であり、それが今の自分にとって表現出来るエロスの形だと気付く。
気付いた勢いで言ってみるが、自分で自信を持てない。
しかし、ヴィクトルは、ユニークで良いねと、それで行こうと決める。
聞いていたユリオは、疲れて首も起こせないまま、馬鹿にした目でマジかよと呟く。
勇利は自身の発想の幼稚さに恥ずかしさを感じ、走って解消する為に、夜のランニングに出る。
翌日、恥ずかしさはあったものの、自分のエロスを見つけた勇利は演技を磨いていた。
ヴィクトルもカツ丼をコンセプトに、勇利のエロスのレベルをあげようと熱心にレッスンしてくれる。
一方でユリオは、勇利を笑っていたものの、自分のアガペーを見つけられておらず、また寺を言い渡される。
特訓の毎日が続く中、アガペーが見えないユリオは、ヴィクトルに滝を言い渡される。
なぜか勇利まで滝にうたれる事になるが、ユリオは滝の冷たさの中、不意に大好きだった故郷の祖父を思い出す。
ユリオにとって、幼い日に母親が来なくても練習に付き合ってくれた祖父こそがアガペーに近い存在だった。
ボーっとしているユリオに勇利が大丈夫かと話しかけると、いつも憎まれ口を叩くユリオは素直にウンと言って勇利と滝行を終える。
勇利はユリオの無防備な顔に変化を感じ取るが、長浜ラーメンを食べに行ったヴィクトルのマイペースな行動に憤り自分達も行くぞと怒鳴るユリオは、いつものユリオだった。
朝方まで飲んでいたヴィクトルがレッスンに遅刻をする。
ヴィクトルがいない隙に、勇利はユリオに4回転サルコウを教わる。
練習中にヴィクトルが来ると、二人は演技の練習に戻る。
ヴィクトルはユリオの演技に、アガペーを見つたようなので、次のステージに進めると呟くが、それに気付いた勇利は自分の次のステージには、まだ何か足りないと気付く。
いよいよ本番が明日に迫り、衣装をどうするかという話題になると、ヴィクトルが自分の衣装をロシアから全て送らせていた事が分かる。
衣装の山から、二人のユーリは衣装を探す。
勇利は世界ジュニア時代のヴィクトルが長髪だった事で男女両方を意識した衣装だったと語る衣装を選ぶ。
その夜、勇利はミナコ先生の家に押しかけ、スタジオで練習したい事と、ここにきて教えて欲しい事があると願いでる。
危機の時
長谷津エキシビジョン温泉オンアイス本番
二人のユーリは意気込みのインタビューを受けるが、勇利は自己アピールで無く観光アピールをしてしまうが、ユリオは二人のユーリは要らないと、カメラにサービスする。
ヴィクトルは何故か和服を着て観光アピールに徹していている。
二人のユーリはヴィクトルに約束を確認するが、ヴィクトルは忘れていたらしい。
長谷津のリンクに人が集まる事をミナコ先生が喜んでいるその頃、ヘッドホンで音楽を聞きながら、控室で最後の調整を二人のユーリがしていた。
落ち着かないユリオをヴィクトルが見ている。
ユウコがユリオの番だと呼びに来ると、ユリオは赤面して振り返る。
ジャージの下には、ヴィクトルジュニア時代の伝説の衣装が着られ、ユウコは鼻血が止まらない。
少し嬉しそうなユリオが、ユウコに後押しされながら演技に出るのを見て、ヴィクトルは下唇に指を当てて意味ありげな表情を浮かべる。
皆が見守る中、ユリオの本番の演技が始まる。
練習と全然違う凄い演技に、目が離せなくなる。
ユリオは全ての技を完璧にこなすが、内心で祖父に謝りながらアガペーを表現し続ける事に苦しみを感じ、演技が早く終わる事を願いながら全ての演技を終える。
ヴィクトルは、今まで見た中では一番良かったと評価する。
勇利はユリオの演技にプレッシャーを感じ、勝たなければヴィクトルが帰ってしまう事実に押し潰されそうになる。
その時、勇利に出番を知らせに、ヴィクトル本人が目の前に現れた。
勇利は驚くも、ヴィクトルにすっごく美味しいカツ丼になるから自分だけを見ていてくださいと言い、抱きついて約束をせがむ。
ヴィクトルが、もちろんさ、カツ丼大好きだよと答えると勇利の中で何かが変わる。
勇利は徹夜で仕上げた演技を披露する。
勇利の妖艶な姿に、ヴィクトルは思わず口笛が出る。
勇利は、色男では無く、色男を落とす町一番の美女を演じる方が似ている感情で演技出来ると、自分とヴィクトルの関係を演技に盛り込む事でエロスを次のステージに押し上げていた。
途中で演技を失敗するも立て直し、ラストに4・3トウループを成功させ、演技をやりきる。
報酬の時
西郡は、おかえりと言う会場に、おかえりでは無く、今まで見た事が無い勇利だと喜ぶ。
ヴィクトルは、勇利を笑顔で迎えたと思うと、もの凄い勢いでダメだしをはじめ、勇利は倒れてしまう。
負けを悟ったユリオは、ヤコフコーチの所に戻り、ファイナル優勝は俺だとユウコに伝言を頼んで立ち去る。
勝者の壇上インタビューで、勇利はヴィクトルに付き添われながらヴィクトルと一緒に今度のグランプリファイナルで優勝を目指すと皆の前で宣言をする。
ラストシーズンを賭けた戦いがここから始まる。
現状の分析結果
コンセプト:スポコン(普遍性)×男子フィギュアスケート(新規性)
モチーフ:男子フィギュアスケート、特別強化選手、世界大会
主人公のテーマ:勇利はユリオに勝てるのか?
物語のメインテーマ:勇利は大会で優勝出来るのか?
物語構造:旅物語、スポーツ
葛藤環境:ヴィクトルがコーチをしてくれるには、試練を乗り越えないといけない
主人公の動機:未来への投資行動。ヴィクトルにコーチをしてもらい、一緒にカツ丼を食べたい
欲求:承認
面白さ:リアリティ(男子フィギュアスケート)、予測不能(勇利は戦えるのか? ヴィクトルの真意、勇利の中のエロスとは?)、感情移入(対抗者に勝てるのか?)