既存作品ザックリ分析
形式:連続アニメ作品、第十一話
長さ:23分(OPEDテーマソング含む)
公式サイト:http://vivid-strike.com/
!注意!
この記事は、完全にネタばれを含んでいます。
主な想定読者
・分析作品から、物語の型を学ぼうと思う創作者で、その中でも、脚本術等を、好きな作品で学びたい人。
・分析作品を既に見た作品のファン。
・分析作品を見る予定は無いが、単純に内容を知りたい人。
分析で分かる事
物語のオチは、もちろん正確には分かりません。
分析によって分かるのは、主な物語の構造や、各要素の役割です。
「ViVid Strike!」を分析
主人公(役割):フーカ・レヴェントン
導き手:アインハルト
敵対者:リンネ
協力者:ジムのみんな
オープニングイメージ
雨の中対峙するフーカとリンネ。
見守るギャラリー。
価値観の再構築の時
全力の撃ち合いが始まる。
見守るジルは、2年前を思い出す。
フロンティアジム、応接室。
リンネの身体能力に驚くジル。
最初は、初級クラスからゆっくりとリンネを育てるつもりだったが、リンネから急いで強くなりたい事を聞き、ジルの特別クラスで育てる事を決めた。
ジルは、リンネのモチベーションは強さへの餓えだと感じていた。
厳しいトレーニング。
複雑な環境や悩みがある事は知っていたが、それをバネに競技で成果をあげる選手は少なくない。
リンネもそんな一人だと思い、競技を続けていけばいずれ明るく笑うと思っていた。
リンネの才能に目がくらんで、リンネの心と向き合う事をせず、才能にも怪我にも恵まれずに引退した自分の夢を託していた。
だが、リンネはずっと自分を責めていた。
その事に、本当は気付いていたが、見ないふりをしていた。
迷いや悩みが消えたら、リンネのモチベーションも消えるのではないかと恐れていた。
ぶつかり合うフーカとリンネ。
ジルは、自分はコーチ失格だと言う。
それでも、ここに元気で帰ってきて欲しい。
徐々にリンネを押し始めるフーカ。
フーカは強くなったが、それ以上にリンネの心が揺れている。
大好きな人と、あんなに殴りあったら辛いとヴィヴィオは言う。
雨が止む。
フーカは、リンネが倒れる事を望む。
これ以上殴りたくない。
リンネは限界だが、立ちあがる。
フーカは、泣いている。
フーカの涙に気付き、リンネは心の中で謝る。
リンネは、フーカの師匠、アインハルトを目標に今までやってきていた。
アインハルトに勝てたら、自分が強い証明になる、それが唯一リンネに見えていた道しるべだった。
しかし、フーカに試合で押され、リンネは弱いままの自分と向き合う事になる。
ジルの厳しいトレーニングを思い出す。
気絶しても吐いても終わらない地獄の特訓。
地獄を乗り越えた数がリンネを強くする。
コーチの言葉と共に、特訓で染み付いた身体の動きが、無意識に繰り出される。
フーカは、リンネに戻った本来の動きに、今度は押され始める。
ジルは、自分の過去を語る。
恵まれなかった選手時代。
無念の敗走。
知識や技術があっても身体がついてこなかった。
だが、リンネには、恵まれた才能があり、ジルが全ての技術を教え込んでいる。
完璧に連動した一撃なら、きっと神様でも倒せる。
リンネは、地面が割れるほどに強く踏み込む。
ジルに教えられた完璧に肉体と技術が連動した一撃を繰り出し、フーカの顎を捉える。
吹き飛ぶフーカ。
リンネ自身も、初めて出せた必殺のアッパー。
ギャラリーも、あまりの威力に驚く。
全身に衝撃が残っているリンネ。
ジルは、練習通りと言う。
皆がフーカの名前を呼ぶ。
フーカは歯が二本折れたが、意識もはっきりし、無事。
安全防護フィールドの限界を超えた一撃に、驚くルーテシア達。
フーカとリンネ、何かが吹っ切れた表情。
試合再開。
皆の応援の中、再び正面からぶつかり合う。
ガードも回避も無いただの殴り合い。
双方が無心になって、試合に挑む。
リンネは、フーカの拳が痛い理由が理解できた。
パワーや拳の固さでは無い。
リンネ、思い出す。
別れの時、フーカは、泣きたくなったり苦しくなったら、いつでも自分を呼べ、世界で一番大切な幼馴染だからと言われていた。
フーカの拳は、大好きと大切で満たされているから、痛い。
両親は、自分を心配してくれている。
迷惑をかけたコーチは、今も自分の勝利を信じてくれている。
ヴィヴィオに言われた通り、格闘技は好きじゃない。
辛いだけだと思っていた。
だけど、本当は、技を覚えるのは楽しかったし、日々充実していたし、コーチが笑ってくれるのが嬉しかった。
褒めてくれると、やる気になれた。
リンネは、自分が格闘技を楽しんでいた事に、気付いた。
変えられない過去、やり直しも出来ない。
だけど、今からならこれから先の事なら変えていける。
そう思えた時、無くなった祖父の幻が、リンネに笑いかけた。
祖父に、リンネは聞く。
私は、笑ってもいいのかな。
フーカの攻撃を受け切ったリンネの目には、涙。
リンネの変化に、フーカは気付く。
やっと綺麗な目に戻った。
リンネの渾身の一撃を避け、フーカは必殺技をリンネに食らわせる。
リンネは完全に気絶し、試合終了。
勝者は、フーカ。
戦い抜いたフーカは、空の映る水たまりに倒れ、空を見上げる。
その手は、リンネを腕枕の様にして抱えていた。
第十一話終わり
現状の分析結果
コンセプト:魔法少女(新規性)×総合格闘技(普遍性)
モチーフ:魔法、美少女、総合格闘技、大会、ジム、異世界
主人公のテーマ:お金や力よりも大切な物とは何か?
物語のメインテーマ:幼馴染と再び戦い、勝つ事が出来るか?
物語構造:所属環境の問題に向き合う物語。ここで言う所属環境は、フーカとリンネの二人の関係
葛藤環境:不公平な世の中と不遇な境遇
主人公の動機:過去の清算行動。友達を救いたい
欲求:承認
面白さ:リアリティ(総合格闘技のジムやシステム)、予測不能(フーカは、リンネに勝てるのか?)、感情移入(力を持って変わってしまった大切な人がいるか?)
ちなみに関連作品はこちら
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