「ランプの魔人物語」とは?
ここでは「ランプの魔人」をテーマにした物語の解説をします。
タイトルから分かる通り「アラジンと魔法のランプ」が代表格です。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするなら「特別な力によって、組織を変えようとする物語」となります。
また、併せて「特別な力によって、人生の岐路を迷走する物語」の解説もします。(後で分割するかもです)
迷走してもいいからランプの魔人、憧れますよね……
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
ランプの魔人とは?
まず、そもそも「ランプの魔人」とは、ここでは何を指すのでしょうか?
この記事では、主人公に特別な力を提供する存在とします。
いきなりスーパーパワーを貸してくれる友達が出来たら、何しますか?
はじまりは、ランプの魔人との出会いから
このタイプの物語の主人公は、基本的に物語冒頭では、超能力的にはいたって平凡です。
ただ、天才でも馬鹿でも、とても悪知恵が働く主人公が多いです。
運命や偶然に誘われ、物語の序盤でランプの魔人と出会い、まずは友好的関係を結ぶところから始まります。
利害関係の一致、交換条件、共通の目的等によって主人公とランプの魔人は仲間となり、主人公はランプの魔人に、それが異質な存在である証拠として、特別な力を見せてもらいます。
そして、それを自分が使う事が出来ると主人公が認識し、物語がまわり始めます。
この時からランプの魔人の力を、多くの主人公は周囲には秘密にして、力のルールを学んでいきます。
お決まりのルール
主人公が使えるランプの魔人の力には、出来る事と出来ない事があります。
映画「アラジン」に出てくるランプの魔人ジーニーは、驚くほど多様な事が出来る万能の存在です。
しかし、ランプをこすった人の3つの願いを叶えられるという“回数”や、“人の心は変えられない”等の制限がありました。
アニメ「ドラえもん」では、未来からやってきたロボットのドラえもんが毎回違う秘密道具を出してくれて、道具毎に出来る事が限られています。
この様に、「ランプの魔人物語」では、主人公の身の丈や本来の実力に関係無く、主人公に分不相応な力が提供されます。
本当の願い事の為に
ランプの魔人の力は、特定の「もしも~だったら」は叶えてくれますが、主人公の持つ本当の願い事を直接叶えてくれません。
どんなに凄い力だとしても、あくまでも手助けに留まります。
主人公は特別な力を借りる事で、今までの自分では絶対に叶えられない願い事を叶える為の行動を起こす後押しをしてもらうと言う訳です。
ここで重要なのは、ランプの魔人は主人公の持つ本当の願い事を直接叶えてはいけない事。
この形式の話が面白くなるポイントは、どんなに凄い力を借りたとしても、主人公は自分で願いを叶える為に自ら行動しなければならない、その行動にこそあります。
出来てしまうから、やってしまう
強大な力を手にした主人公は、自分の本当の願いを叶える為に力がどう使えるかを試します。
力ありきの行動なので、本来の主人公だったら絶対にしない行動や、超えない一線を簡単に超えていき、徐々に引き返せなくなります。
よくあるのは、とんでもない嘘をついたり、人を傷つけたりしてしまい、一発で退路を断たれるパターンです。
ここでポイントなのは、本当の願いを叶える為の一番の近道が、ランプの魔人の力を使う事である事です。
当然、ランプの魔人と出会う前の主人公は、自分の本当の願いを叶える為に必要な力を持っていません。
ランプの魔人に借りた特別な力が、主人公の持つ最大の強みとなる事で、主人公は特別な力に頼った行動を始めます。
力に溺れるのです。
本来は願いが先にあり、それを達成する手段を選び、主人公は行動を起こします。
その場合、身の丈に合った行動をとるのが自然です。
ですがこの形式の物語の場合は、順番が違います。
ランプの魔人と言う極端に強力な手段を先に手に入れ、それを使って、身の丈に合わない願いに向かって行動する事になるのです。
身の丈に合わない願いを叶えるまでの道のりには、当然、身の丈に合わない苦難が待ち受けます。
なので主人公は、行動を始めた後は、簡単にはランプの魔人を手放せません。
例えるなら、大金持ちで権力のある友達に誘われて出た世界一周旅行の途中で、その友達に愛想をつかされたら不安な事と同じです。
こうして、ランプの魔人の力で何でも解決しようとする事で、主人公の周囲には混乱が訪れます。
力に気付く者の出現
この形式の物語では、主人公がランプの魔人の力を試しに使った序盤の行動をきっかけに、ランプの魔人の力に気付く者が現れます。
ランプの魔人の存在を元々知っている者の場合もあれば、その力の不可思議さから気付く者もいます。
時には、同じようにランプの魔人の力を持つ別の者が現れる事もあります。
力の存在に気付く者達は、力自体を危険視したり、主人公から奪おうとしたり、利用しようとしたりと近づいてきます。
力の落とし穴
主人公が力を使って自分の願いを叶えようとすればするほど、力に気付く者達との距離が接近する事になります。
また、ランプの魔人の力には、主人公が想定出来ない落とし穴が用意されています。
なので、主人公が目的達成の為に動けば動くほど、危険度が増していく事になります。
転落
主人公は、ランプの魔人の力によって願いを叶えられる寸前にまでいきますが、それは叶いません。
力に気付いた者達によって罠をかけられ裏をかかれたり、時には自滅をしてしまい、状況は最悪になります。
この時点に来ると、ランプの魔人の力が大きく変化します。
力に気付いている者達が接触してくる場合は、既にランプの魔人の力の弱点はバレていて、相手はそこを突いてきます。
アニメ映画「アラジン」では、ランプを別の者に擦られると所有権が移ってしまいます。
最強の味方が最強の敵になる絶望感はヤバいですよね。
自滅をする場合は、力に内包されている落とし穴にはまって、主人公が大失敗をした後です。
アニメ「コードギアス」では、力が暴発して大惨事を引き起こしてしまいます。更に、主人公の行動動機その物だった妹が誘拐されてしまい、主人公のメンタルはガッタガタです。
アニメ「ドラえもん」ののび太君は、秘密道具のルールを見誤って頻繁に自滅します。
ここで主人公には、二つの道が用意されます。
一つは、今まで通りランプの魔人の力に頼って、事態を打開する為に行動する道。
もう一つは、ランプの魔人の力を通して学んだ教訓に従って行動する道です。
なんとなく予想できると思いますが、ここでランプの魔人の力に頼っての行動を選ぶ場合、主人公は十中八九、とても酷い目に遭います。
ここでランプの魔人を通して学んだ教訓に従った行動を選ぶことが出来れば、主人公は逆転勝利を手にし、願いを成就させる事が出来ます。
フィナーレ
最後までランプの魔人の力に頼った行動をとる場合、破滅や手痛い制裁が待っています。
なぜか?
それは、ランプの魔人と言う存在が、最初から主人公を試している存在だからです。
特別な力を提供して悪戯に甘やかしてくれる訳では無く、記事の最初の方で触れた様に、ランプの魔人には明確な目的があり、それを満たす為に友好的に主人公に力を貸してくれているのです。
その明確な目的達成に向けて主人公が役立つと判断するから友好的なのであって、役立たないと分かれば力を貸す意味がありません。
主人公は、特別な力を通して教訓を学び、ランプの魔人とある意味で対等な存在へと昇華しなければいけません。
そうしなければ、ランプの魔人の目的は往々にして達成出来ないからです。
映画「アラジン」の場合、アラジンとジーニーは三つ目の願いでジーニー自身をランプから自由にする事を約束しますが、アラジンがそのジーニーの目的を達成するには、ジーニーを手放せる成長が必要となります。
アニメ「ドラえもん」の場合、のび太とドラえもんは、のび太が真っ当な人生を送れるように成長をサポートする約束をしますが、その為にはドラえもんがいなくてもやっていける成長が必要です。
アニメ「コードギアス」の場合、CCの目的を達成するには、ルルーシュの超能力者としての成長と共に、超能力とCCを手放せるまでの成長が不可欠でした。
この様に、最後にランプの魔人の力を手放す決意をし、成長を示した場合に、主人公はランプの魔人の力を借りなくとも、その場所に立つに相応しい人物に成長したとして認められ、祝福を受けます。
祝福は、ランプの魔人だけでなく、周囲の仲間からももたらされ、多くの場合主人公は、真の姿で仲間に迎えられます。
こうしてランプの魔人を手放すか否かの決断の結果、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、ランプの魔人物語とは、ランプの魔人の力を通して主人公が成長する物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、ランプの魔人との約束を主人公が守れるか否かと、特別な力を通して行動し、何を学び成長するかです。
アラジンやドラえもんは似てると感じた人もいるかと思いますが、コードギアスとデスノートも構造が同じと知って見る目が変わったりしたのではないでしょか?
まあ、コードギアスとデスノートはどちらも天才系の主人公が世直し?をする流れで似ていますよね。
ちなみに著者は、どうせランプの魔人がやってくるなら死神以外が良いです。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
特別な力
- 魔法の力のルール
- 叶えたい願い
- 魔法の力を知る協力者
- 魔法の力無しで叶える本当の願い
組織を変える
- 変えるべき慣習やルールのある環境
- 慣習やルールの異常性に気付ける主人公
- 慣習やルールに抵抗する主人公
人生の岐路を迷走
- 問題に対して平凡非力な主人公
- 魔法の力を得て、問題に立ち向かう切欠に
- 現実を受け入れる結末
「ランプの魔人物語」該当作品
組織を変える
人生の岐路を迷走
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。