「タイムスリップミステリー」とは?
ここでは「タイムスリップ」をテーマにしたミステリーの物語を解説します。
タイムスリップというワードが示す通り、タイムマシンやタイムリープがキーワードです。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「特別な力によって、謎を解く物語」となります。
あわせて「特別な力によって、怪物を倒す物語」と「特別な力によって、突然の事件に対処する物語」も説明します。(あとで分けるかもしれません)
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
タイムスリップ×ミステリー?
まず、そもそも「タイムスリップミステリー」とは、ここでは何を指すのでしょうか?
この記事では「時を超える力を手に入れ、起きてしまった悲劇を回避する為に謎を追う物語」として解説していきます。
タイムマシンの準備は出来た?
このタイプの物語は、何は無くとも主人公がタイムマシンを手に入れないといけません。
タイムマシンの種類はいくつかあります。
- 内蔵型:主人公の特異体質だったり、呪われたり。死に戻り率高め。
- アイテム型:乗り物タイプや意識だけの転送、声や文字の転送等。バリエーション多め。
- 外部設置型:神の意志だったり、どこかに装置があって全世界をリピートしたり。最初はどうしようもないタイプ。一定時間で自動起動。
主人公は、これらのどれかを手に入れるか、あらかじめ持っている以外は、基本的に平凡な人物です。
そんな主人公の周りで、悲劇が起き、物語は大きく動きます。
悲劇を回避せよ!
主人公には悲劇が待っています。
大切な人が死んだり、自分が死んだり、訳も分からないまま破滅に追い込まれたりします。
それはもう絶望的な状況を体験するのです。
その時、主人公は自分がタイムマシンを持っている事に気付き、これを使って悲劇を回避しようと行動を起こします。
悲劇の原因を特定せよ!
最初は、タイムスリップを受け入れられない事もあります。
夢だと思ったりです。
ですがすぐに、明らかに繰り返している時間や、明らかな違和感によって時を超えた事に気付きます。
主人公はタイムマシンによって、捜査の仲間を得ます。
その多くは、本来なら死ぬはずたった人間を含む事が多いです。
つまり、悲劇の被害者は主人公にとっては強力な仲間であり、悲劇の原因究明への手がかりでもあるのです。
この形式の物語では、悲劇の原因が分かるまでの、普通ではありえない推理や工夫が見せ場です。
映画「オーロラの彼方へ」では、主人公と共に主人公がタイムマシンを使って助けた(殉職する筈だった)父親が連続殺人犯を追います。
過去に送れるのが声だけなので、タイムリープものの様にやり直しがきかない分スリリングな中、殺される予定の女性達(母親含む)を助けようと犯人の先回りをしたりして追い詰めていきます。
原因が分かったら対処法を探せ!
この形式の物語では、悲劇の原因を特定しても終わりません。
原因となる現象や犯人を見つけたとしても、悲劇が起きる前の段階で止めなければなりません。
犯人が分かっても、どこにいるかが分からない事もあります。
その居場所が分かってても、主人公によって止められるとは限りません。
悲劇の原因が分かった主人公は、対処法を探す事になります。
対処法は分かったけれど
主人公は長い苦難の末、悲劇の原因を特定し、なんとかその対処法も見つけます。
ですが、悲劇を終わらせるのは簡単にはいきません。
悲劇の原因が犯人の存在する事件の場合は、直接対決し倒すなり逮捕するなりしなければなりません。
ですが、タイムスリップでもしないと迷宮入りしたり、勝つことも出来ない敵との対決です。
一筋縄でいくはずがありません。
多くの犯人は主人公が自分を追っている事に気付き、タイムマシンの存在など知らなくても先に手を打ってきてます。
また、悲劇回避の方法が究極の選択しか残されていない場合もあります。
悲劇を回避する為に、犠牲が必要とされる状況です。
フィナーレに待つ最後の試練と助け船
主人公は悲劇を回避する為の最後の試練、直接対決や究極の選択に挑みピンチに陥ります。
敵は狡猾で、選択はどちらも選び難いのです。
更に、タイムマシンを使うタイミングが無かったり、タイムマシンが壊されたり、選択の結果タイムマシンが失われる状況に陥っており、今までの様なやり直しがきかない状況の中で戦いを強いられます。
犯人との直接対決ならば、ここまで悲劇回避の為に戦ってきた主人公は善戦しますが、力及ばず追い詰められます。
究極の選択を迫られている場合は、主人公はとてもじゃないがどちらかを選べません。
しかし、ここで思わぬ助け船がやってきます。
主人公が犯人を捜している間に出会った仲間が、巡り巡って主人公の窮地を救うのです。
なるべくして仲間が駆けつけ、ようやく主人公は犯人に打ち勝つことができます。
究極の選択の場合にも仲間の助言によって、情よりも最初の目的を優先させ、決意の末に大事なモノを犠牲にします。
この時、選択の末に犠牲にする者は、主人公が助言を受ける仲間その人であり、悲劇回避の為に仲間の自己犠牲を受け入れ、苦渋の決断をするのです。
こうしてタイムマシンが失われながらも、悲劇が回避された世界では時間が進み始め物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、タイムスリップミステリーとは、タイムマシンを通して、主人公が悲劇回避の為に奔走する物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、本来なら死ぬはずの人が生き残って大活躍したり、主人公の立ち回り方によって思わぬ人物が味方についたり、同じ人物の何通りもの死を描いたりと、「もしも」を劇中で次々と実現していく所にあります。
特に、本来なら死ぬはずだった人が主人公を助けたり、事件後に再会したりする展開は、かなり強力です。
わかっていても感動します。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
◆「特別な力によって、謎を解く物語」
特別な力
- 魔法の力のルール
- 叶えたい願い
- 魔法の力を知る協力者
- 魔法の力無しで叶える本当の願い
ミステリー
- 謎を追う動機がある主人公
- 探求の為に破るルール
- 企てる必要があった犯人
- 謎の暴露によって変化する世界
◆「特別な力によって、怪物を倒す物語」
特別な力
- 魔法の力のルール
- 叶えたい願い
- 魔法の力を知る協力者
- 魔法の力無しで叶える本当の願い
モンスターパニック
- モンスターから逃げられない空間
- 貪欲の罪に罰を与えるモンスター
- モンスターの知識を持つ者
◆「特別な力によって、突然の事件に対処する物語」
特別な力
- 魔法の力のルール
- 叶えたい願い
- 魔法の力を知る協力者
- 魔法の力無しで叶える本当の願い
難題解決
- 突然の事件
- 事件に対して平凡な主人公
- 唯一好意的な仲間
- 生き残りをかけた試練
「タイムスリップミステリー」該当作品
ミステリー
ネイキッド(ネットフリックス)
モンスターパニック
難題解決
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
“シナリオの書き方「タイムスリップミステリー」の脚本構造を紹介!起きた悲劇を回避しろ!” への4件の返信