シナリオの書き方「入れ替わり物語」の脚本構造を紹介!変身で人生変わる?

「入れ替わり」とは?

ここでは「入れ替わり」をテーマにした物語を解説します。

入れ替わりというワードが示す通り、主人公が別人と入れ替わる事がキーワードです。

昔から「入れ替わり喜劇」がジャンルとしては有名ですね。

この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「変わり者となって、特別な力を得る物語」となります。 

目次

  1. 解説
  2. 必須要素
  3. 該当作品

  

解説

入れ替わりって、具体的には?

まず、そもそも「入れ替わり」とは、ここでは何を指すのでしょうか?

この記事では「存在する別人や空想の別人に変装し、その人として生活する事」として解説していきます。

 

入れ替わるのには理由がある

このタイプの物語は、主人公が別人に変装しなければなりません。

別人に変装する主な理由は

  • 元の自分のままだと不都合がある
  • 特定の別人になる必要がある
  • その両方

と、それほど種類はありません。

この、別人に変装する主人公には、突出した才能が隠されています。

元々、その才能を生かした仕事をしている場合もありますが、入れ替わって初めて才能に気付く場合もあります。

どちらにしても、主人公は他人に変装し、周囲を騙して生活出来るだけの図太い精神を持った人物です。

正体を隠して社会に溶け込め!

各々の理由、事情によって変装した主人公は、その正体を隠して別人として生き始めます。

多くの場合、正体が表沙汰になると面倒な事になる為、率先して正体を隠します。

ドラマ「スニーキーピート」では、天才詐欺師である主人公はギャングに借金があり、身を隠す必要があります。

そこで刑務所で同じ監房にいた囚人のピートになりすまし、ピートとして彼の実家に転がり込んで、正体を隠したままギャング対策に追われる生活を始めます。

ピートの家族にもギャングにも正体がバレたら不味い状況と言う訳です。

映画「ミセスダウト」では、俳優をしている主人公が離婚した妻の所にいる子供に会う為、女装して家政婦となり元妻の家に潜入します。

元妻に正体がバレるのは避けなければなりません。

映画「ブルーストリーク」では、泥棒の主人公が建設中のビルに隠した特大のダイヤを回収しようとしたら、ビルが警察署になっているという不幸から始まります。

主人公はダイヤを回収する為に別の署から来た刑事として警察署に潜入します。

バレたら即逮捕です。

この様に、バレたら危険な状況であるほど、この形式の物語は見ている方をハラハラさせ、楽しませてくれます。

 

本来の目的から脱線!

主人公は別人に変装した事で、自分がしたい事以外にも、その変装した別人が本当にいたとしたらしなければならない事をしなければなりません。

主人公にとっては、面倒な事ばかりなのですが、ココこそが物語にとって重要な所なのです。

ドラマ「スニーキーピート」では、ピートとして家業を手伝ったり、家族の悩みを解決しなければなりません。

映画「ミセスダウト」では、家政婦としての潜入なので、子供の世話だけでなく家事をしなければなりません。

映画「ブルーストリーク」では、刑事に変装したので、犯罪捜査に駆り出されてしまいます。

こういった主人公にとってどうでもいい事こそが、主人公の成長や変化にとって最も重要なのです。

やってみたら出来ちゃった

主人公は、別人として変装する中で、その別人としての仕事や義務をこなしていきます。

すると、そのどれもが驚くほど上手くいくのです。

それは、主人公に劇中の最初から備わっていた才能が、その別人の仕事や義務と完璧にマッチしていたからです。

ドラマ「スニーキーピート」では、詐欺師として培ってきた知識やスキルが、家業や悩み解決で大活躍し、家族に信頼され重要な一員になっていきます。

映画「ミセスダウト」では、俳優として役として家政婦を完璧に演じる事で、最高の家政婦になり、元妻と子供達の心まで掴みます。

映画「ブルーストリーク」では、泥棒としての経験が、刑事をする事で犯罪捜査に大いに役立ち、恐ろしい速度で出世し、信頼も獲得していくのです。

主人公にとっては、完全な脱線なのですが、元の自分よりも別人の自分の方が愛され重宝されるという、皮肉な状況に遭遇しながらも、周囲からの影響によって主人公自身が変化していきます。

 

目的にも向かっていく

物語が進むと、手に入れた幸せを守りながらも、本来の目的もこなさなければならない状況に主人公は追い込まれます。

誰かから身を隠している場合は、敵に見つかったり、気付かれそうになってしまいます。

すると、自分だけでなく、悪くすると新しく出来た仲間達にまで危険が及ぶ可能性が出てきます。

身を隠している訳では無い場合でも、周囲が違和感を抱き始めます。

どちらにしても、主人公は本来の目的を達成しつつ、別人の自分を受け入れてくれた仲間達も守らなければなりません。

仮の住処だと思っていた場所は、今では大切な場所になり、主人公は既に元の自分と変装した自分の境界線も曖昧になり始めているからです。

 

本当の自分、そしてフィナーレ

クライマックスでは、主人公は追い詰められます。

ずっと主人公を追っている敵との遭遇や、正体を知る敵に襲われたり、周囲の一部に正体がバレてしまったり……

または、それらが同時に起きてしまうからです。

ここまで殆どを嘘で塗り固めてきた為、嘘が一度剥がれ始めると今まで通りではいられません。

敵と戦う場合には、変装生活をしながら手に入れた物で勝負する事になります。

それは、表の自分と裏の自分、その両方の力と仲間を総動員した戦いとなります。

ドラマ「スニーキーピート」では、巧妙に家族からは正体を隠しながらもギャングをペテンにかけつつ、家族の問題にも立ち向かっていきます。

映画「ミセスダウト」では、妻に正体がバレて一度は完全に見放されてしまいます。ですが、家政婦として接してきた主人公の存在の大きさに妻は悩みます。主人公ほど子供に好かれ優秀な家政婦はいないのです。

映画「ブルーストリーク」では、自分の正体を知る敵とのダイヤ争奪戦をしながら、刑事として敵を追っていきます。

ここで大事なのは、戦いの末に主人公がある選択をする事です。

その選択とは、誰として生きるかです。

  • 変装を続ける

変装を続ける場合は、正体を知った敵は排除し、味方とは口裏を合わせる事になり、居心地は良いですが本当の自分は表に出せません。

  • 完全に別人となる

自分を捨て、変装していた別人を本当の自分にしてしまう方法です。

  • 元の自分に戻る

変装する理由がなくなり、元の生活に戻っていくパターンです。

  • 元の自分に戻ってから、別人としてやり直す

元の自分に一度戻る事で今まで嘘をついてきた罪を清算し、元の自分のまま変装中に出来た仲間達に受け入れられるパターンです。

この中から主人公は選びます。

選択肢全てから選べる事は、まずありません。

この中から二択を迫られるのです。

主人公が誰として生きるかを選ぶと、物語はフィナーレを迎えます。

主人公が全ての問題を清算した末に本当の自分をさらけ出した場合、それは仲間達に受け入れられたり、実は途中からバレている事が分かったりするのがお約束です。

 

まとめ

以上、入れ替わり物語とは、変装を通して主人公が成長し、最後に誰として生きるかを選ぶ物語と言う事でした。

この形式の物語のポイントは、別人になった時の方が成功してしまう皮肉めいた所にあります。

好きで始めた筈の本業よりも、試しにやってみた副業の方が楽しいし稼げてしまって複雑な感じですかね。

この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。

必須要素

変わり者

  • 図太いメンタルの主人公
  • 変化する行動or見た目or名前
  • 主人公を脅威に感じる存在
  • 変わり者で無ければ解決できない問題

特別な力

  • 魔法の力のルール
  • 叶えたい願い
  • 魔法の力を知る協力者
  • 魔法の力無しで叶える本当の願い

 

「入れ替わり物語」該当作品

地道に追加、修正予定。

※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。

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