「異世界の旅」とは?
ここでは「異世界での旅」をテーマにした物語を解説します。
異世界と言っても別に、剣と魔法のファンタジーである必要はありません。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「変わり者となって、成長の旅をする物語」となります。
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
異世界の旅って?
まず、そもそも「異世界での旅」とは、ここではどんな状態を指すのでしょうか?
この記事では「異世界に誘われた主人公が経験する出会いと別れの旅」として解説していきます。
別に旅立ちたくなんてなかった
このタイプの物語の主人公は最初、別に旅なんてしたくありません。
ですが、異世界へ唐突に行く事になってしまいます。
旅立つ理由も様々。
偶然異世界への扉を開ける事もあれば、突然召喚される事もあります。
ただ、悪い事ばかりではありません。
元の世界では平凡な一般人だったのに、異世界では一転、特別な存在になります。
元の世界では大して意味をなさなかった特技や性質が、異世界に飛ばされる事で重要な意味を持つのです。
時には、異世界に行く事で特別な力に目覚める事もあります。
ですが、特別だと言う自覚が無い主人公は、特殊能力を手に入れたぐらいにしか受け取りません。
なので大抵の場合は、何かしらの目標を達成してから元の世界に戻る事を目指して、仕方が無く旅に出る事になります。
明確な目標に向かって
この形式の物語では、主人公が最初に何を目指すべきかが、主人公自身が分かっています。
元の世界に帰りたい場合は、その為に何が必要なのかを探る事になります。
大事な物を失ってしまい、それを取り戻したい場合は、大事な物を探す事になります。
どの様な動機でも、主人公は目標の場所に旅立つ以外に選択肢がありません。
アニメ映画「ブレイブストーリー」では、異世界で主人公は、自分の願いを叶える為に宝玉を探す旅に出ます。
アニメ映画「猫の恩返し」では、主人公は異世界で猫に姿を変えられてしまい、人に戻り元の世界に帰るために猫の国で騒動を巻き起こします。
大事なのは、目標に辿り着くまでの過程の方
この形式の物語で見せ場となるのは、旅の過程、つまり目的地に辿り着くまでのプロセスにこそあります。
旅の過程では、何かを集める事が基本となります。
情報、アイテム、仲間、とにかく目標に辿り着くには、何かを集める必要があるのです。
その中で手助けをしてくれる仲間と出会い、時には分かれます。
そして、同じ目標、もしくは全く相反する目標を持ったライバルと出会い、競いあいます。
集めている物を先に手に入れられたり、奪われたり、邪魔をされたりする訳です。
そういった積み重ねによって、主人公は旅を通して成長していきます。
異世界に飛ばされた事に意味があった!?
旅をする中で、主人公は自分が異世界に来た事それ自体に意味があった事に気付きます。
異世界に来た意味が、その世界の伝説や予言といった運命の導きによる場合は、その旅路自体が伝承を何らかの形でなぞります。
予言書や昔話の場面を再現する事で、周囲の者達も主人公がただ者ではない事に気付きます。
異世界に来た意味が、運命的な物ではなく人為的な場合は、主人公を異世界に呼んだ存在によって、その思惑通りに知らぬ間に操られる形で旅路が進みます。
呼んだ存在は、主人公に直接は告げませんが何かして欲しいのです。
いずれにしても、偶然だと思って始まった旅路には、敷かれたレールがあった事に主人公は気付き、物語は加速します。
敷かれたレールに従うか逆らうか
主人公が実は伝説の勇者や選ばれし者だった等の、運命的な理由でレールに沿って話が進む場合、ある程度まではレール通りに進めます。
どんな苦難にあっても、運命によって予め課題を乗り越えられるように御膳立てされているからです。
ここまでで出会った仲間や、与えられた特別な力、全てが運命を切り開く鍵になっているのです。
人為的な理由で旅をする場合でも、主人公にどうしても旅をして欲しい存在によって周到な御膳立てがされており、やはり課題を乗り越えられます。
ですが、旅の終わりに待ち構える結末が望んでいる未来とは限らない事が次第に分かってきます。
運命に従って、操られていると言う事は、実は主人公が壮大な計画を進めるコマとして扱われているかもしれない、そう言う事でもあるのです。
フィナーレ
主人公は、旅の締めくくりでは予め用意されていた結末か、それ以外を自ら選択する事になります。
運命や計画に従い旅をしてきた主人公ですが、旅を通して出会った人からの影響や、数多くの経験を通して、大事な事を学んでいます。
主人公が選ぶ旅の結末は、選びうる最も良い物です。
魔王を封印したり復活を阻止する旅だったのなら、魔王を倒したり無力化ぐらいします。
悪人の計画に組み込まれての旅だったのなら、その計画を壊す事でしょう。
二者択一の究極の選択を迫られれば、どちらも選ぶ方法を見つけるかもしれません。
そうして、主人公の旅は、時に本来の旅の計画よりもずっと良い結末を迎え、主人公がいるべき場所に帰る事で物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、異世界の旅物語とは、主人公が、運命のレールに沿って旅をする中で成長し、その成長によって、より良い締め括りで旅を終える物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、見えないレールが敷かれた旅を通して、主人公がどの様に成長するかです。
一見、目先の目標の為に行き当たりばったりに旅をしている様でいても、実は主人公が試練を乗り越えるのに必要な事を学べる様に御膳立てをする事が重要です。
それが出来ないと、突然覚醒したりと言ったご都合主義と呼ばれる展開を多用する事になり、納得感が低い作品になってしまいます。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
変わり者
- 図太いメンタルの主人公
- 変化する行動or見た目or名前
- 主人公を脅威に感じる存在
- 変わり者で無ければ解決できない問題
成長の旅
- 旅の目的
- 目的を同じくする仲間の存在
- 大事なのは成長の過程で、真の報酬は仲間
「異世界の旅物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
“シナリオの書き方「異世界の旅物語」の脚本構造を紹介!旅の先に待つものは?” への1件の返信