「異世界革命」とは?
ここでは「異世界の革命」をテーマにした物語を解説します。
異世界と言っても別に、剣と魔法のファンタジーである必要はありません。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「変わり者となって、革命する物語」となります。
なろう系では「現代知識チート」とも呼ばれますね。
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
革命
異世界の革命って?
まず、そもそも「異世界の革命」とは、何を指すのでしょうか?
この記事では「異世界に誘われた主人公が、持っている知識を使って異世界を革命していく事」として解説していきます。
元々は、なんらかの専門家
このタイプの物語の主人公は、元の世界にいた時は、専門家でした。
専門家と言う事は、専門の知識や技術を持っていると言う事です。
主人公の持つ専門性は、主人公だけが持つ特別な力では無く、誰かに知識として伝授できるモノである必要があります。
これが異世界に飛ばされた時、主人公を重要人物に押し上げる特別な才能へと変化します。
異世界に飛ばされる理由は様々です。
ただ、異世界側の人に最初から必要とされて行く事はありません。
偶然必要な専門性を持ち合わせているか、送り込む側の意思によって専門性を買われて、結果的に選ばれます。
漫画「JIN」では、主人公は現代日本の医者です。元々優秀な医者である主人公は過去の日本に飛ばされる事で、日本一どころか世界一の医者になってしまいます。
この物語の特に上手い所は、革命すれば世界が良くなるのに対して、歴史を変えれば未来が変わるかもしれないと言うジレンマが常に付きまとう設定の妙で、葛藤を生み出し続ける事に成功しています。
小説「アウトブレイクカンパニー」では、主人公は現代日本のオタクです。彼は異世界と繋がった日本で、日本政府の依頼を受けて、異世界にオタク文化を売り込むことで異世界を革命していく事になります。
小説「ナイツアンドマジック」では、主人公は現代日本のロボットアニメオタクです。ある日事故で死んでしまい、記憶を残したまま異世界に生まれ変わります。転生した異世界には搭乗型の人型ロボットが存在しており、主人公は自分の持つロボットアニメの発想を技術者兼パイロットとして実現する事で、異世界のロボット技術を一気にレベルアップさせます。
専門性が役に立つ事に気付く
この形式の物語では、主人公は異世界へ行き、戸惑いながらも住民として暮らす事になります。
すると、すぐに自分の持つ専門性が活きる事態に遭遇する事になります。
主人公は、自分の専門知識を活かして問題を解決する事で、すぐに周囲の人間から尊敬を集める事になります。
主人公が異邦人や異世界人ならば、すぐに専門家として重用される為、組織や国の中枢部に入り込む事も少なくありません。
一度、主人公がその世界で最も優れた専門家である事が周囲に知れ渡れば、世界が主人公を放っておく事はありません。
人々の役に立つ
この形式の物語で見せ場となるのは、社会や集団が抱える問題を解決していく場面です。
主人公は、自分だけが持つ専門性によって、問題を次々と解決していかなければなりません。
問題には幾つかの種類があります。
基本は、何かが足りていない事です。
- 発想自体が無い:異世界にまだ存在しないモノは、異世界の人達では、せいぜい想像するのがやっとです。それが主人公の専門性の場合、主人公自体が特別な存在となります。
- 前提が間違っている:固定観念やルールに縛られているパターン。この場合、簡単な提案レベルで悩まされていた問題を解決したりします。主人公が異世界から来た門外漢からこそ出来る事でもあります。
- 前提で封じられている:主に文化や宗教のルールです。医療モノならば、宗教的な理由で輸血や切開が禁じられたりといった具合の問題です。また、まじないレベルを信じる文明レベルになったりすれば、かなり困らされるパターンです。同時に、異世界なら呪いが実在する設定などで、面白く出来るポイントでもあります。
- 知識や経験が足りない:文明、文化、学問等のレベルが足りていないパターン。この場合、主人公の持つ知識や経験は、異世界のレベルの階段を数段飛ばししています。専門家から尊敬されたり、時に妬まれます。
- 力や材料が足りない:これが主人公にとって一番解決が難しい問題となります。権力なら有力者を味方につけたり、材料自体なら代替品を探したり、量が足りないなら確保しなければなりません。
何らかの専門家である主人公はそれを見極めて、解決策を提示し、その場にある物だけで工夫して解決していきます。
それを繰り返す事で、異世界において主人公は評価され、地位が上がったり、名声を得ます。
主人公を邪魔に思う者
主人公が成功すると、それを快く思わない人々が現れます。
異世界に元々いた専門家であれば、プライドを傷つけられたり、地位を追われたり、主人公の出現によって損をする人が必ず出てきます。
また主人公が問題を解決しそう、もしくは、してしまった事で困る人も出ます。
彼らは、失ったモノを取り戻したり、目的を果たす為に主人公の事を排除しようと動き始めます。
この動きは、革命につきものです。
既得権益を守ろうとする者や、不都合を被る者達が主人公の敵として立ちはだかります。
彼らが物語に更なる葛藤を呼び込み、同時にリアリティを与えます。
主人公の革命の影響が強力で巨大である事は、彼らの反応によって語らずとも伝わるのです。
革命が不都合な者との争い
革命を快く思わない人々は、主人公の邪魔をします。
専門性では勝てないことが明白です。
なので、力で押さえつけようとしたり、いっその事、殺してしまおうとさえしてきます。
それ程までに主人公の持つ専門性は、危険なものと見なされるのです。
そこで、主人公のもたらす革命こそが世界にとって必要と考える人々と協力する事で、主人公は邪魔をする勢力と戦う事になります。
これは、その世界が革命を必要としているのかを決める戦いでもあります。
その時、仲間達は主人公から学んだ考えや、専門技術の一部を武器として戦います。
ですが主人公が異世界にもたらした本当に大事なモノは、別にあります。
それは、専門的な知識や技術ではなく、その力を人々の為に使おうと言う基本的な「行動理念」等の「道徳」的なモノです。
フィナーレ
主人公が異世界にもたらした高い専門性と、それに伴う道徳観の革命。
今までは地位が低かったりで虐げられていたとしても、専門性の一部を学ぶことで社会的に重要な役割を与えられ、キャラクター達は自信と自尊心を持ちます。
その上で、主人公の影響を受けた人々の道徳観が上がる事で、間違っている事に対してハッキリとノーを示す事になります。
これらの相乗効果によって、力を一つにして敵に立ち向かった主人公達が勝利する事で、争いは決着します。
世界は革命を完全に受け入れ、主人公が提示した力は次第に常識となります。
革命が過去となった世界は、より良くなり、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、異世界革命物語とは、主人公が専門性と共に、道徳観をもたらす事で起こる革命の物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、主人公と関わる人々が変化していく姿の描写です。
それが無いと、主人公が一人凄くて、周囲がそれに依存しているだけの作品になってしまいます。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
変わり者
- 図太いメンタルの主人公
- 変化する行動or見た目or名前
- 主人公を脅威に感じる存在
- 変わり者で無ければ解決できない問題
革命
- 社会の問題に対して有能な主人公
- 変化に抵抗する人々
- 主人公一人では変えられない社会
- 変化を受け入れ、共に革命する仲間
「異世界革命物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。
“シナリオの書き方「異世界革命物語」の脚本構造を紹介!革命で世界は良くなる?” への1件の返信