シナリオの書き方「シンデレラストーリー」の脚本構造を紹介! 我慢と努力の物語!

「シンデレラストーリー」とは?

ここでは「シンデレラストーリー」をテーマにした物語を解説します。

この形式の物語の代表格はもちろん「シンデレラ」です。

シンデレラストーリーってよく聞きますが、具体的にどの様な物語を指すのでしょうか?

普通の女性が王子様に見初められる話でしょうか?

それも含めて見ていきましょう。

この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「組織の問題に向き合って、成長の旅をする物語」となります。

目次

  1. 解説
  2. 必須要素
  3. 該当作品

解説

シンデレラってどんな話だっけ?

まず「シンデレラの様な状態」とは、どの様な状態を指すのか?

それが分からないと、シンデレラになりようがありませんよね。

なので、この記事では「主人公が抑圧された環境の中で努力を重ね、自分の夢を最後には叶える物語」として解説していきます。

 

辛い日常から始まる物語

このタイプの物語の主人公は、とても努力家です。

努力家ですが、大きな問題を抱えています。

その問題の多くは、何らかの形で社会的に見て自立出来ていない事にあります。

主人公が年齢的か精神的に幼ければ、家に所属し、家族に養われているでしょうし、大人でも会社等の組織に所属しており、組織の意向には逆らえません。

その様に、主人公は自分の意思で変える事が出来ない社会に所属しており、例外無く何らかの形で冷遇されています。

アニメ「シンデレラ」では、主人公は意地悪な継母に奴隷の様にこき使われ、二人の義姉にイビリ倒され、悲惨な日常を送っています。

映画「ドリーム」では、主人公達はNASAに勤めていますが、人種や男女の差別に遭っており、社会的な平等自体が無い日常にいます。

映画「オクトーバースカイ」では、主人公は寂れた炭鉱の町で生まれ育ち、周囲に体育会系の兄と比べられる日常を過ごしており、幸せそうではありません。

夢を掴むチャンス

ある日、主人公には転機が訪れます。

成功に繋がる大きなチャンスです。

冷遇される日常を過ごしながらも、主人公はどうしても目の前のチャンスを手にしたくなります。

ここで主人公は、人生の目標や夢をついに見つけるのです。

アニメ「シンデレラ」では、お城の舞踏会に参加できるチャンスが。

映画「ドリーム」では、各主人公達がそれぞれキャリアアップに向けたチャンスに飛びつきます。

映画「オクトーバースカイ」では、ソ連の衛星打ち上げを機に、主人公はロケットに魅了されます。

夢を叶えるために、とにかく努力

この形式の物語の主人公は、とにかく努力します。

叶えたい夢に出会った事で目標が定まり、そこに向かって一歩ずつ着実に歩き始めるのです。

夢に一直線に向かおうとする主人公ですが、そう上手くはいきません。

なぜなら、この時点では、主人公の夢が叶うと思っている人があまりにも少ない(時には皆無な)上に、主人公には足りていない物が沢山あるからです。

そこで、主人公は夢への不足分を補おうと、また努力を始めます。

まず、主人公を抑圧する存在がいれば、夢を追う許しを得ます。

協力は元々期待出来ませんが、これで準備をする時の邪魔が無くなります。

次に、対等な、同じ夢を追ってくれる仲間を作り、協力し、支え合いながら目標を目指します。

社会のルールが夢を叶えるブレーキに

主人公は着実に夢への道を歩み始め、その姿勢に感化された人々は協力したり声援を送ってくれるようになります。

しかし、主人公の夢が現実味を帯びてくると、それを目障りに思う者にも気付かれてしまいます。

主人公が所属している社会、その管理をしている人達からすると主人公の成功は、自分達の足元を揺るがしかねない脅威に映るのです。

そうなると、主人公は社会のルールを守る事で生まれた「至らなさ」を理由に、時には強引な手を使って夢が叶わないように攻撃を受けてしまいます。

アニメ「シンデレラ」では、継母の言いつけを守りながらも舞踏会用に作ったドレスが、舞踏会の直前に破られてしまいます。

映画「ドリーム」では、何をするにしても人々の間に根付く差別意識や制度が邪魔をし、主人公達はルールを守りながら仕事の結果を出していたにも関わらず、それぞれが窮地に立たされます。 

映画「オクトーバースカイ」では、ちゃんとロケットが飛ぶようになり、科学コンテストに間に合いそうだと言うタイミングで、ロケットの打ち上げが禁止になる事件が起きてしまいます。

ちゃんと見てくれている誰か

夢への道が閉ざされた主人公は、夢を持つ前の自分に戻り、物語の始まった時よりも悪い状況に立たされてしまいます。

すると、そんな主人公に救いの手が差し伸べられます。

これまで主人公が夢に向かって努力してきた姿を見てきた誰かが、このまま終わる事を残念に思い、窮地を救ってくれるのです。

アニメ「シンデレラ」では、妖精がドレスとカボチャの馬車、そして有名なガラスの靴を用意してくれます。

映画「ドリーム」では、主人公の上司や主人公を気に入った宇宙飛行士が助けてくれます。

映画「オクトーバースカイ」では、主人公の恩師の言葉がきっかけとなり、主人公達が事件の真相を究明し、結果的に科学コンテスト出場が認められます。

夢の舞台へ

主人公を支えてくれる仲間や見守ってくれていた人達の助けによって、主人公の努力は実を結び、夢の舞台に立つ事になります。

ですが、ここでも問題が起きます。

問題と言っても、今まで抑圧され冷遇されてきた問題とは別の種類の問題で、完全なアクシデントです。

アニメ「シンデレラ」では、夜の12時に妖精の魔法が解けるのに、王子様と過ごす事で時が経つのを忘れ、ガラスの靴を片方落として帰って来てしまいます。

映画「ドリーム」では、ロケットの軌道計算に導入された新型コンピュータのせいで、主人公の職(計算係)自体が無くなってしまいます。

映画「オクトーバースカイ」では、科学コンテストに出品した展示物を盗まれてしまいます。

せっかくの夢の舞台で、アクシデントなんて、主人公はついていません。

ですが、このアクシデントが後に主人公に思いもよらぬ形で幸運をもたらします。

フィナーレ

主人公と仲間達の夢のピンチに、人々は立ち上がります。

主人公が叶えたかった夢は、既に主人公一人の夢ではありません。

アクシデントで潰えて良い夢では無いと、この時点で誰もが思っているのです。

主人公は、アクシデントから生まれた新たなチャンスを得て、最初に見た夢よりも素晴らしい結果を得ます。

アニメ「シンデレラ」では、王子様がガラスの靴を頼りに主人公の行方を国をあげて探します。当初は舞踏会に出る事までしか考えていなかったのに、主人公は王子様に見初められ、アクシデントによって置いてきたガラスの靴が二人を再び近づけます。

映画「ドリーム」では、新型コンピュータのせいで職を追われた主人公でしたが、コンピュータの計算が正しいか確認してもらう形でロケットの打ち上げに再度関わり、重要な役割につく事になります。主人公は、最高の形で夢の舞台に立ち、NASAの計画に貢献します。

映画「オクトーバースカイ」では、主人公の母親の説得によって、主人公の最大の壁となっていた父親が力を貸してくれ、化学コンテストの展示物を作り直せることになります。アクシデントがきっかけとなり、最も認めて欲しかった父親と分かりあうチャンスを得るのです。

こうして、夢の舞台に立ち、アクシデントを乗り越え、主人公が最高の形で夢を叶えて物語は感動のフィナーレを迎えます。

 

まとめ

以上、シンデレラストーリーとは、抑圧された主人公が努力を重ね、周囲を巻き込み、夢を叶える物語と言う事でした。

普通の女性が王子様に見初められる、と言う「だけ」のイメージは吹き飛んだんじゃないでしょうか。

夢に向かって前向きに行動する主人公だからこそ、王子様も魅力的に感じたのかもしれません。

この形式の物語のポイントは、抑圧された環境の中で、いかにして努力を重ね、周囲に認められていくかを段階を踏んで描く事にあります。

煙たがられたり、脅威に感じられるのも含め、認められたからこその周囲の反応です。

夢へと続く階段を、一歩一歩着実に登っている実感に説得力があればこそ、努力を重ねた主人公の夢が叶い、努力が報われた時の感動も大きくなります。

正当な努力は、報われて然るべきと感じる事には、文化を超えた普遍性があります。

この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。

必須要素

組織を変える

  • 変えるべき慣習やルールのある環境
  • 慣習やルールの異常性に気付ける主人公
  • 慣習やルールに抵抗する主人公

成長の旅

  • 旅の目的、夢や目標
  • 目的を同じくする仲間の存在
  • 大事なのは成長の過程で、真の報酬は仲間

 

「シンデレラストーリー」該当作品

地道に追加、修正予定。

※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。

※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。

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