「腐敗組織と争う物語」とは?
ここでは「腐敗した組織との争い」をテーマにした物語を解説します。
腐敗した組織と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
悪の秘密結社を思い浮かべたのでしたら、ちょっと違います。
ここで扱う腐敗した組織とは、公的で力があるにも関わらず、内部が腐敗しきっている組織です。
本来は困っている人を助けてくれたり、人の為に動くはずの組織が、悪に染まっていたら恐ろしいですよね?
腐敗組織と争う物語は、どの様な話なのかご覧ください。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「組織の問題に向き合って、革命する物語」となります。
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
腐敗した組織って?
まず「腐敗した組織」とは、どの様な組織を指すのか?
上でも触れましたが、この記事では「公的で、力があり、本来は人の為にある筈なのに、内部が腐敗して機能していない組織」として解説していきます。
例えば、汚職まみれの警察署や嘘つきの政治家、不正をしてでも莫大な利権を守ろうとする企業です。
やたら行動力のある主人公
このタイプの物語の主人公は、行動力があり精神的に自立しています。
自己中心的な場合も多いです。
ですが、法律を大きく破る様な人間ではありませんので、普通に働きながら平凡な日常を過ごしています。
きっかけとなる出来事
ある日、主人公には転機が訪れます。
転機自体は様々ですが、共通する事があります。
それは、今まで関りも気付きもしなかった腐敗組織の腐敗に気付くと同時に、戦いを挑む事が出来る立場に立たされる事です。
映画「ダラスバイヤーズクラブ」では、主人公はエイズにかかり、死にたくない一心で調べた結果、国外の治療薬があれば延命出来る事を突き止めます。ですが、あまり効かない自社製品を売りたい製薬会社とFDA(アメリカ食品医薬品局)から邪魔を受けます。仕方が無く法律を破りながら、表向きは合法なエイズ治療薬の密輸を始める事になるのが粗筋です。
死にそうな人間がいるのに、効く薬を自分達の利益の為に使わせようとしない腐敗した組織と、その組織に正面から戦いを挑む個人の密輸業者の戦いとなるのです。
この形式で出てくる腐敗組織は、私利私欲の為に大勢の人々を食い物にしていなければ機能しません。
公的な組織が罪の無い被害者を生み出している図式があって、初めて主人公の戦いが始まります。
最初は自分の為に
この形式の物語の主人公は、持ち前の行動力で腐敗した組織の妨害をかわし、組織によって被害を受けている大勢の人々を助ける事になります。
腐敗組織の力によって泣き寝入りしていた人々に救いの手を差し伸べる事によって、主人公は一躍弱者のヒーローへと変わっていきます。
ですが、主人公からすると、自分の為に始めた事であって、ヒーローになる気などありません。
腐敗組織によって被害を受けている人が多い程、その救済をすると主人公には金が流れ込むようになります。
つまり、この時の主人公からすれば、置かれている状況は、社会的弱者を助けるビジネスを見つけたぐらいの感覚に近いです。
なので、時には被害者救済よりもビジネスを優先させた行動をとってしまい、時に被害者を傷つけてしまいます。
ですが、主人公からすれば自分のビジネスが成功した方が、より大勢の被害者の為になると考えており、この時点で主人公には誰も文句を言えません。
主人公の活動が効果を出す
主人公は被害者救済と言う名のビジネスを成長させていきます。
徐々に主人公の名は広まり、泣き寝入りするしかなかった人々が集まって来たり、賛同する協力者も現れます。
主人公の小さなビジネスから始まった活動は、社会的な影響力を持ち始め、腐敗組織からするとレジスタンス活動とも取れる規模にまで拡大していくのです。
腐敗組織からの反撃
主人公の活動が目障りになった組織は、力のある組織ならではの方法で攻撃してきます。
主人公が裁判の準備でもしていれば、強力な弁護団を用意し、時には証拠品集めの妨害だってします。
主人公の素行を調べて法権力によって逮捕させたり、時には法律を自分達の都合の良いように変えさせて主人公の活動を完全非合法にしてから潰しに来たりします。
追い詰められ、そして
主人公達は追い詰められ、腐敗組織に抵抗する活動自体が困難な状態にまで追い詰められます。
このタイミングで、活動がビジネスとして難しくなります。
その上、腐敗組織の被害者でもある仲間達の受けている被害が、今もまだ続いている事に気付かされる事件が起き、ようやく主人公は自分が始めた活動の重要さに気付きます。
一刻も早く被害者を救済し、公的な組織の隠された腐敗を白日の下に晒す事が、自分のやるべき事だと考え、最後の計画を実行に移すのです。
実は、ここまで活動し、妨害を受けてきた事、それ自体に大きな意味がありました。
裁定の時、そしてフィナーレへ
主人公は、大勢の仲間に支えられ、気持ちを同じくしてくれた協力者達の助けによって、公的な裁定(大抵は裁判)の席で腐敗した組織の、腐敗した活動の決定的証拠を示す事に成功します。
主人公のここまでの活動は、腐敗の証拠を集める活動だったのです。
そして、腐敗した組織を倒せるのは、腐敗した組織を管理する立場にある組織だけでした。
企業が相手ならば国。
国が相手ならば法。
法執行者が相手ならばメディアを使って国民や世界。
より大きな共同体や、力がある存在に訴えれば、どちらの言い分が狂っているのかは正しく判断されます。
醜く歪んだ組織の腐敗はこうして白日の下に晒され、被害者達には救済の光が見え、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、腐敗組織と争う物語とは、公的な組織の腐敗の証拠を白日の下に晒し、被害者を救うために証拠を集める物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、最後に待つ裁判で主人公達が勝てる証拠を、主人公の活動中にどれだけ集めさせるかにかかっています。
頭を使って引き出すでも、良心の呵責に苦しむ内部の者に告発させるでも構いませんが、そこに至る過程が大事です。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
組織を変える
- 変えるべき慣習やルールのある環境
- 慣習やルールの異常性に気付ける主人公
- 慣習やルールに抵抗する主人公
革命
- 社会の問題に対して有能な主人公
- 変化に抵抗する人々
- 主人公一人では変えられない社会
- 変化を受け入れ、共に革命する仲間
「腐敗組織と争う物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。
“シナリオの書き方「腐敗組織と争う物語」の脚本構造を紹介!巨大組織を倒せるか?” への1件の返信