「禁断の愛の物語」とは?
ここでは「禁断の愛」をテーマにした物語を解説します。
禁断の愛って、設定の時点で惹かれますよね。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「相棒と出会い、禁忌(タブー)を破る物語」となります。
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
禁断の愛って?
まず「禁断の愛」とは、どの様な愛を指すのか?
この記事では「社会的に禁じられていたり、タブーとされる恋愛関係」として解説していきます。
主人公は、最初は普通
このタイプの物語の主人公ですが、物語が始まった時には、まだごく普通の生活を送っている一般人です。
恋愛観は平凡で、社会の一員として学校に行ったり働いていたりしており、派手だったり破天荒な人物だったとしても根は善人であり、一定の常識に縛られています。
きっかけとなる出会い
ある日、主人公の日常に変化が訪れます。
変化とは、あくまでも環境の変化です。
転職や転校と言った移住、目的の場所を目指す旅、事故、事件、理由は何でも構いませんが、ポイントは主人公がいつもとは違う行動を取ったり、周囲の変化に気付く事がきっかけとなります。
いつもと違う行動の結果、主人公は運命の出会いを果たします。
映画「タイタニック」では、主人公がタイタニック号のチケットを手に入れる事から物語が始まります。
漫画「エマ」では、主人公が昔世話になっていた家庭教師の先生の家に、親に言われて渋々挨拶に行く所から物語が始まります。
この様に、別の目的があって、いつもと違う行動をする事で運命がまわり始めます。
本来は出会う筈がない相手と出会うのです。
一緒にいる理由がある
主人公には、変化した環境の中で出会った相手と離れられない理由があります。
同じ職場、同じ家、同じ行先と言った物理的に近い場合が殆どです。
その中で、社会的に見て恋愛をする相手として不適切と見なされる相手と交流する事になります。
交流のポイントは、下心なくお互いの事を話し、共通点を探す事。
それが身の上話なら、更に良い。
一方が困っていたり、弱っていたりすると、なお効果的です。
これによって、相手の中に「この人は自分と一緒なんだ」と言う共通点を片方が見つけます。
ここからが、禁断の愛の始まりです。
たった一個の共通点を見つけた相手の事を「もっと知りたい」と思ってしまった時、片方は恋に落ちているんです。
禁じられた愛
惹かれ合った二人ですが、二人が付き合う事は社会的に許されていません。
下手すると、一緒にいる事自体がNGの場合があります。
それは二人も分かっています。
社会毎にタブーとされる恋愛には、いくつかの壁があります。
- 種族の壁:宇宙人、獣人、亜人、アンドロイド等、そもそも人でさえない場合もあります。
- 人種の壁:白人と黒人、ドイツ人とユダヤ人等、歴史的な問題にも大きく絡む壁です。
- 国境の壁:これも歴史的問題に大きく絡む壁です。隣国は戦争経験がある場合が多く、仲が悪くなる事が多いです。
- 階級の壁:貴族と平民、金持ちと貧乏人、王族とそれ以外、カースト等の社会構造で出来上がった壁です。
- 宗教の壁:宗派や戒律によっても違いますが、社会によっては異教徒間での恋愛にも問題がつきものです。
- 性別の壁:男と男、女と女と、LGBTが認められる昨今では、現実のほうでタブーとされる場面がようやく減ってきた感がある壁です。
- 家族の壁:兄弟姉妹、親子等があります。単純に近親相姦や近親婚を禁じる法律意外にも、義理の家族関係も含めればかなりのバリエーションが存在します。
- 年齢の壁:幼過ぎる、離れすぎている等。
- 対立の壁:思想・主義の違いや、過去の出来事が原因で起きる未解消の対立関係です。他の壁とも共通しますが、あえて独立させたのは、見た目や区分が同じでも発生しうる内的な物が原因で発生する壁だからです。正義と悪、水と油と、多岐にわたります。
これらの、どれか一つにでも関わっていれば、表沙汰になった時には社会的制裁を受けるのは明白です。
ですので、禁じられた愛を育む二人は壁を意識し、壁を正義と捉える人々から隠れながら交流や、再会と別れを繰り返します。
この時点では、両思いになっている場合もあれば、どちらかが片思いでアプローチをしている場合もあります。
ここで大事な事は、タブーの壁に阻まれながらも二人が確実に惹かれ合い続ける事です。
否定する人々
社会的にタブーである事には理由があります。
ですが、禁断の愛の壁となるのは、タブーである理由そのものではありません。
タブーだから禁忌を破ったからと言って「間違った愛を正そうと考え、否定する人々」こそが本当の壁なのです。
映画「ブロークバックマウンテン」では、同性愛者がリンチ殺人に遭う描写があります。
主人公達が育てようとする禁断の愛は、その社会においてそれほどまでに嫌悪されたり、否定されたりする物と言う事です。
そして、この形式の作品では、主人公達がタブーを破った事が、否定する人々に必ずバレてしまいます。
秘密は決して秘密のままでは終わりません。
間違いを正そうとする動き
社会を代弁するキャラクターによって、禁断の愛はピンチを迎えます。
主人公とその相手が、お互い許されない相手を愛している事に最初に気付くのは、身近にいる厳格な人物です。
とは言え、タブーを破ったとはいえ、主人公とその相手は社会の一員である為、秘密を知ってしまった厳格な人物からは、更生のチャンスを与えられます。
その一番の理由は、世間体です。
タブーを破ったけしからない者の家族や仲間と世間に思われるよりは、事実を揉み消そうと言う心理が働くからこそ、チャンスが与えられます。
多くの作品では、ここで正しい相手との交際や結婚を強要されたり、相手と会う事を禁止される事になり、主人公達は逆らう事が出来ません。
しかし、この時になると主人公達は既に、禁忌を破ってでも添い遂げなければ満足の出来る人生は送れない事を理解しています。
社会の代弁者に一方的に与えられた更生のチャンスなんて物は、余計なお世話です。
社会的に禁忌とされていようが、真実の愛を追い求める為に戦う決意を固めます。
フィナーレ
更生のチャンスを蹴り、再び禁忌を破った主人公達は、今度は社会にタブーを破った罪を償わされます。
法律に従った社会的制裁を受けたり、世間体が大きく傷つく程度ならマシな方です。
文化や状況にもよりますが、悪い時には命を狙われ、時には本当に殺される事さえあります。
その社会が禁断の愛に課す罪の重さによって、償いの重さも変わってきます。
世間体、約束された将来、地位、名声、財産、時には命をも捨てて守り抜いた愛は、ようやく真実の愛と証明されます。
こうして罪を償わされた上で、禁断の愛を貫いた主人公達は、社会に新たな形で受け入れられ、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、禁断の愛の物語とは、社会的にタブーとされる相手と育む、真実の愛の物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、タブーを破った時のペナルティが分かった上で、どうしようもなく惹かれ合う二人が、支え合いながら秘密裏に愛を育み、最後まで貫く一途な姿でしょう。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
相棒
- 揃って初めて完全となる主人公と相棒の二人
- 相棒と近づかせ、同時に対立させる事情
- 二人でないと解決出来ない問題
タブー破り
- その社会での禁忌
- 禁忌を破らないと満足出来ない主人公と仲間
- 禁忌を破った代償
「禁断の愛の物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
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