シナリオの書き方「認められない夢物語」の脚本構造を紹介!願いを叶える代償は?

「認められない夢物語」とは?

ここでは「社会的に認められない夢」をテーマにした物語を解説します。

それは、舞台の社会では罪であって、それ以外の社会では罪ではない夢を扱った物語です。

この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「禁忌を犯して、成長の旅をする物語」となります。

 

目次

  1. 解説
  2. 必須要素
  3. 該当作品

 

解説

認められない夢とは?

まず「認められない夢物語」とは、どの様な物語を指すのか?

この記事では「社会的に認められない目標達成を目指す物語」として解説していきます。

社会的に認められない目標と言う物が、認められない夢であり、社会の都合や合理性上表向きに容認されない目標を指します。

具体的には、極端な優位社会における非優位者の社会進出や、差別社会における被差別者の成功等です。

 

主人公は、夢を持つ

この形式の物語の主人公は、物語冒頭で将来の夢とでも呼ぶべき目標に出会います。

主人公は、その夢に向かって進み生きなければ、本物の人生を生きる事が出来ません。

ですが、その夢は社会的に容認されていない夢であり、どんなに努力しても認められる事は無く、表沙汰にも出来ない物となります。

映画「ガタカ」では、主人公のヴィンセントは、窮屈な世界から飛び出したく思い、宇宙に想いを馳せます。

やがて、宇宙飛行士になる事が夢となります。

しかし、自然出産で生まれたヴィンセントは、遺伝子操作が常識となっている世界では不適正者と言う遺伝的劣等生であり、宇宙飛行士になりたいとどんなに努力をしても、スタートラインに立つ事さえ許されません。

映画「リリーのすべて」では、主人公のアイナーは、とある切欠から女性になる事を願う様になります。

しかし、時は1926年であり、性同一性障害やLGBTに対する理解が無い時代に、男性が女性になる事を願っても、その実現は恐ろしく難しいです。

 

協力者との出会い

ある日、主人公に転機が訪れます。

一人では叶える事が不可能に思えた夢を、叶える大きなチャンスとして協力者が現れます。

映画「ガタカ」では、偽の身分を提供してくれる下半身不随の適正者ジェロームをブローカーに紹介され、ギブアンドテイクの共犯関係を築きます。

これでヴィンセントは、ジェロームとして宇宙飛行士を目指す事が出来る様になります。

映画「リリーのすべて」では、妻のゲルダがアイナーに舞踏会へ女装して行く切欠を与え、共犯者となってくれます。

ゲルダの協力によってアイナーは、リリーとして女性を目指す事が出来る様になります。

 

主人公の成功と試練

協力者を得た主人公は、所属する社会を騙して夢を叶えようと試行錯誤します。

その結果、急速に夢へと近づいていき、主人公の正体を知らない周囲にも認められていきます。

ですが、この形式の物語では主人公は夢に近づくと、社会についている嘘がバレる危機にさらされる事になります。

この嘘がバレると、夢への道が断たれたり、社会的な制裁を受けるリスクがあり、主人公の準備が整うまでは秘密を守らなければなりません。

映画「ガタカ」では、宇宙局に潜り込みジェロームとして宇宙飛行士としてのキャリアを必死の努力によって順調に重ねて行きます。

ですが、ロケットの打ち上げを控えた時期に局内で殺人事件が起きてしまい、警察の捜査からヴィンセントの存在を悟られ、犯人と疑われる最悪の事態に陥ります。

映画「リリーのすべて」では、女装しての舞踏会デビューが上手く行き、その魅力が証明されます。

ですが、男性とキスしている所をゲルダが見てしまい夫婦の関係に変化が訪れます。

ゲルダは協力者であると同時に、最初はアイナーが嘘をバラしてはならない相手の一人でもあります。

 

秘密を守りながら、夢に近づく

主人公は協力者に現状を告白し、協力者の助けによって秘密を守りながら、再び夢に向かう事を決意します。

映画「ガタカ」では、捜査の手を逃れながら、ロケット発射の時まで捕まらずに宇宙局に勤めようとします。

映画「リリーのすべて」では、コペンハーゲンからパリに環境を変え、アイナーとゲルダは答えを求めて医者や友人のハンスを頼り、試行錯誤していきます。

 

社会の価値観との対決

主人公は夢に近づいていきますが、夢を叶える事を快く思わない人との対決を余儀なくされます。

この社会の価値観を代表する人物に認めて貰う事で、主人公の行いは正当化されます。

映画「ガタカ」では、ヴィンセントの弟が実は捜査官で、ヴィンセントを阻止しようと迫ってきます。

ヴィンセントは、遺伝子が全てと言う社会の常識に対して、努力で結果を覆せる事を証明します。

映画「リリーのすべて」では、ゲルダがリリーに対して、元のアイナーに戻って欲しい事を伝えます。

アイナーはリリーから戻る事が出来ないが、リリーになってもゲルダを愛している事を伝え、リリーになる事を認めて貰います。

 

最後の協力者

主人公の夢は、夢を叶えたい主人公と、主人公を応援したい協力者だけで叶えられる物ではありません。

社会一般の価値観を持つ反対派の人に認めて貰うだけではなく、社会に潜む主人公の事を理解してくれる価値観を持つ人からの後押しによって、最後の一押しを受け、ようやく叶います。

映画「ガタカ」では、宇宙局で何度も身体検査をしてきた医師が、実はヴィンセントに気付いていたが、医師の子も自然出産児で、我が子と重ねて見て応援してくれていた事が判明します。

映画「リリーのすべて」では、アイナーとゲルダが最後に辿り着く医師として、ドイツのヴェルネクロス教授に行き当たり、性転換手術の存在を知ります。

 

夢を叶える代償

遂に目指した夢に辿り着いた主人公ですが、その夢を叶えるには、あまりにも大きな代償が必要となります。

映画「ガタカ」では、ヴィンセントを支え、身分を提供してくれていた共犯者であり、最大の理解者にもなってくれたジェロームとの別れです。

映画「リリーのすべて」では、難しい手術に耐えられず、リリー自身が力尽きてしまいます。

 

フィナーレ

多大な犠牲の末に夢を叶えた主人公ですが、主人公にとって本当に価値があった物は、夢そのものではなく、夢を共に追ってくれた協力者達との絆だった事が描かれます。

こうして物語はフィナーレを迎えます。

 

まとめ

以上、社会的に認められていない夢を叶える為に、主人公が仲間と出会い、犠牲の末に夢を叶える物語と言う事でした。

この形式の物語のポイントは、社会の価値観を表す登場人物達でしょう。

社会の声の代弁者としての機能を持ったキャラクター達、社会的多数である反対派、反対派の中にいながらも事情を抱えた者や理解を示す者、多数派のフリをする隠れた賛成派。

社会の縮図であるキャラクター達との交流を通して、主人公は効果的に社会の価値観に晒され、それでも自分の夢を叶える為に戦い抜きます。

夢を叶える為に努力し、結果的に社会が間違っている事を証明する主人公と、主人公と共に同じ夢を追い、応援してくれる協力者達の姿を見れば、きっと感動する事でしょう。

この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。

 

必須要素

タブー破り

  • その社会での禁忌
  • 禁忌を破らないと満足出来ない主人公と仲間
  • 禁忌を破った代償

成長の旅

  • 旅の目的、夢や目標
  • 目的を同じくする仲間の存在
  • 大事なのは成長の過程で、真の報酬は仲間

「認められない夢物語」該当作品

地道に追加、修正予定。

※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。

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