コラム物語論。物語を132種類に分ける実践的で簡単な方法。

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1 物語の種類を見分ける!

物語の種類を見分ける!

世の中には、沢山の物語があります。

別の物語同士を見比べてみれば、当然ながら全く同じ物語は一つもありません。

ですが、どこか似ている物語はあります。

それらを、一定のルールで分類する事をカテゴライズと言いますが、物語を構成する要素は大量にあるので、そのカテゴライズルールを決める切り口は様々です。

万人に意味のある切り口もあれば、一部の人を除いて意味のない切り口もあります。

ここでは、既存の作品だけでなく、創作中の物語が何の仲間になるのかまで見分けられる様になる方法を紹介します。

ストーリーカテゴライズの能力獲得による利点

種類の見分け方を身に着ける事で得られる利点は、幾つかあります。

  • 創作者であれば、自分の作っている作品と同じグループの物語を見分ける事が出来る様になれば、先人の知恵を借りる事が容易となります。定型の物語パターンが掴み取れれば、王道の展開を自身の作品に適応しやすくなり、複数の王道を知る事は、同時に、道を外す邪道も習得しやすくなると言う事になります。創作している物語においてワンパターンになる事態を避けられると言う訳です。
  • 直接でなく、編集や他の形で創作に携わる方は、担当している作家やパートナーがスランプに陥った時等に、適切な打開策を提示しやすくなります。創作に行き詰っている人に、同系統のパターンだが、その人が知らない作品を見せれば、それは刺激になり、同時に自作品への客観視にもつながります。そうすれば、ヒントを得たり、自分ならこうするのにと言う創作脳のエンジンをかけ直す等の助け舟も出せます。

カテゴライズの基本

色とりどりのフルーツがテーブルに置いてあるのを想像してください。

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Photo by Element5 Digital on Pexels.com

これらを仲間毎に分けてみましょう。

と言うのが、カテゴライズの基本的な考え方です。

フルーツであれば、色、形、味、何科の植物か、種の有無、好き嫌い、他にも無数の分け方が想像できます。

これは、物語でも同じ事です。

以前の記事でも取り上げた様に、ジャンルや構造でいくらでも種類を分けられるのは、この為です。

いくらでも分けられる故に、分け方の切り口によってカテゴライズの意味と価値が変化します。

分け方を知る

カテゴライズとは、整理です。

決められたルールに従って、一般的に誰にでも納得出来る形で、決められたタグやラベルを張ったり、決められた場所に移動する事です。

正しい位置に移動させていくと言う意味で、それはパズルを解く事と少し似ています。

パズルの解き方には、幾つかあります。

一つ目は、目に入った物の特徴を頼りに、最初から細かく分類していく方法。

パズルをしていて、どこにピースがハマるか分かる場合は、分かる所から進めて行った方が、早く正しい位置にピースを移動する事が出来ます。

分類したい物のステータスが明確だったり、切り口が分かり易い物をカテゴライズするのに向いている方法です。

ですが、分かり易い所、つまり見た目での分類は、指標の一つにはなりますが、こと創作に置いては、やはり見た目の参考にしかならないカテゴライズになりがちです。

二つ目の分け方は、与えられたルール以外での分け方を創作しての分け方になります。

パズルで言うと、正しい位置に配置する前に「周囲の枠とそれ以外を分ける」と言う戦法を取った事はありませんか?

パズルの攻略法では定番ですが、この「欲しい物とそれ以外に分ける」と言う、2分割は最もシンプルかつ、有用なカテゴライズ方法の一つです。

他にも、パズルなら枠以外に、特徴的な色だけ集めたり、一つの図形だけ先に完成させたりと、その場その場で2分割を行う事で、その攻略を容易にします。

これは、物語のカテゴライズでも(もちろん、それ以外のカテゴライズでも)同じ事です。

まずは「欲しい物とそれ以外」に分ける線を引くルールを決める訳です。

分割する

まず物語は、2種類に分けられます。

世の物語の種類を紹介したサイトやブログには、全ての物語は、たったの2種類とか、6種類とか10種類とか、色々書いていますが、それは分けるルールと回数が違うだけで、どれも正解です。

分けずに共通点を言って1種類しかないと言う人さえいますが、それではカテゴライズの意味がありません。

同じ特徴を持った物語を分類する事で、創作から娯楽まで、選ぶ指標にする訳ですから。

では、最初に分ける為の線引きは、どこに引けばいいでしょうか?

例えば「洋画と邦画」と言う分け方は映画を選ぶ指標にはなりますが、そのままでは創作の足しにはなりません。

他にも「男主人公と女主人公」と言う分け方も時々見ますが、分け方としては同じで、選ぶ指標にはなりますが、どちらが見たいと言う意思がない限りは、あまり意味のある分け方にはなりません。

  • ドラマ
  • アクション
  • SF
  • ミステリー・サスペンス
  • コメディ
  • ラブロマンス
  • ホラー
  • アドベンチャー
  • ファミリー
  • 青春
  • ファンタジー
  • ミュージカル・音楽映画
  • 戦争
  • エロス
  • ドキュメンタリー
  • 西部劇
  • 史劇
  • 伝記
  • メイキング

アマゾンには映画のジャンル分けが用意されていますが、その殆どは見た目や世界観から分けられたジャンルです。

世界観のジャンルで「SFとそれ以外」「ファンタジーとそれ以外」「西部劇とそれ以外」「時代劇とそれ以外」と分ける事も出来ますが、見た目の参考にはなりますが、中身が役立つかは分かりません。

この記事で推奨したい分割法は、物語構造に対する分割法になります。

見た目では無く、主題とした内容に言及した線引きです。

ジャンル一覧にあって一般的なのは「ラブロマンスとそれ以外」「ミステリーとそれ以外」等の分け方で、これらは物語の構造に対するカテゴライズです。

感情値での6分割

1995年にアメリカの小説家カート・ヴォネガット氏が提唱した理論を基に、2016年にアンドリュー・J・レーガン、ルイス・ミッチェル、ディラン・カイリー、クリストファー・M・ダンフォース、ピーター・シェリダン・ドッズらによって物語の形に関する6分類理論が発表されました。

その内容は、

  1.  『地下の国のアリス』(ルイス・キャロル)など、立身出世物語に見られる、感情値の「一定して継続的な上昇」型
  2. 『ロミオとジュリエット』(ウィリアム・シェイクスピア)など、悲劇に見られる、感情値の「一定して継続的な下降」型
  3. ヴォネガットが説明した穴の中の男の物語のような感情値の「下降から上昇」型
  4. 『イカロス』(ギリシャ神話)など、感情値の「上昇から下降」型
  5. 『シンデレラ』(グリム童話等)など、感情値の「上昇⇒下降⇒上昇」型
  6. 『オイディプス』(ギリシャ神話)など、感情値の「下降⇒上昇⇒下降」型

と言う、物語の中の感情値の上下によるカテゴライズでした。

https://epjdatascience.springeropen.com/articles/10.1140/epjds/s13688-016-0093-1

これは、

冒頭の感情値が「高い位置」か「低い位置」かを分けます。(一分割目)

中盤で感情値が「上昇する」か「下降する」かを分けます(二分割目)

終盤で感情値が「上昇する」か「下降する」かを分けます(三分割目)

これを網羅的に表すと、

  1. 低い→上昇→上昇「下降から上昇」型
  2. 低い→下降→下降「一定して継続的な下降」型
  3. 低い→上昇→下降「下降⇒上昇⇒下降」型
  4. 低い→下降→上昇「下降から上昇」型
  5. 高い→上昇→上昇「一定して継続的な上昇」型
  6. 高い→上昇→下降「上昇から下降」型
  7. 高い→下降→下降「上昇から下降」型
  8. 高い→下降→上昇「上昇⇒下降⇒上昇」型

という風に2×2×2で、8通りのカテゴライズが出来ます。

ですが、感情値の上昇の仕方だけを見れば、6種類に分けられる事が分かると思います。

実際の物語の感情値による6分類自体は、大量の物語を分析する事で得られたビッグデータを用いたデータマイニングによって得られた理論なので、実際は、この様な分類の仕方で分けた訳ではありません。

ですが、分割を繰り返す事で細かいカテゴライズが出来る事は、分かったと思います。

この6分割から分かる感情の上下を把握して見る作品、参考にする作品を選べば、物語の構造から欲しい作品を選ぶ事も出来、感情値を基準として作品を見たければ、カテゴライズとしても役に立つはずです。

下降で終わっている物は、バッドエンドやビターエンド寄りで、上昇で終わっている物は、ハッピーエンド寄りだと分かります。

創作では、エンディングが決まっているなら、上昇と下降、どちらで終わるかによって物語のグループが変わるし、エンディングが決まっていなくても、感情値が大きくどの様に動くかの指標や参考になります。

ですが、感情値の上下から作品を選ぶ人は、どちらかと言えば稀でしょう。

何でもいいからハッピーエンドが見たい、とかならば、まあ分かりますが、カテゴライズとして一般化もされていない為、欲しい物なのかや、参考に出来るのか等、その作品を全て見た後でないと分かりません。

なので、もっと表面的に分かったり、冒頭で分かる内容から、物語の構造で分けるルールがあった方が、便利な訳です。

構造による10分割

以前にも紹介したブレイク・スナイダー氏による物語の10分類

  1. 家の中のモンスター(モンスターパニック)
  2. 金の羊毛(旅物語)
  3. 魔法のランプ(特別な力)
  4. 難題に直面した平凡な奴(大事件)
  5. 人生の節目(人生の岐路)
  6. バディとの友情(ラブロマンス等)
  7. なぜやったのか?(ミステリー等)
  8. バカの勝利(変人の勝利)
  9. 組織の中で(ノワール等)
  10. スーパーヒーロー(ヒーロー物)

これらは、全て物語の構造による分割法で出来ているカテゴリーです。

つまり、同じカテゴリーの物語として、創作者であれば参考にしても問題が無い物を見分ける事が容易になる。

そう言うカテゴライズとなっています。

ブレイク・スナイダー方式は、更にカテゴリーを子カテゴリーに分け、同類の物語へと導いてくれます。

※ブレイク・スナイダー氏の「セーブ・ザ・キャット」シリーズ内で、詳しく解説されています。

では、ブレイク・スナイダー方式を軽く見て行きます。

まず、本の中では、この様に見分けるポイント=必須要素が紹介されています。

家のなかのモンスター

  • 死ぬより恐ろしい「怪物」
  • 怪物が入り込んだ逃げ場のない「家」
  • 怪物を呼び込んだ「罪」

子カテゴリー

  • 純粋
  • 家庭内
  • 連続殺人鬼
  • 超自然的
  • ニヒリスト

該当作品

「エイリアン」「危険な情事」「スクリーム」「ザ・リング」「ソウ」等

金の羊毛

  • 「道」
  • 主人公を道草させる「路傍の林檎」
  • ともに旅する「チーム」
  • 求める「報酬」

子カテゴリー

  • 叙事詩
  • 相棒
  • ソロ
  • スポーツ
  • 犯罪

該当作品

「がんばれ!ベアーズ」「大災難P.T.A.」「プライベート・ライアン」「オーシャンズ11」「そして一粒のひかり」等

魔法のランプ

  • 誰かの「願い」
  • 魔法に伴う「規則」
  • 「教訓」

子カテゴリー

  • 身体交換
  • アイテム
  • 天使
  • 呪い
  • シュール

該当作品

「フリーキー・フライデー」「コクーン」「ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合」「ハート・オブ・ウーマン」「エターナル・サンシャイン」等

難題に直面した凡人

  • 無垢な主人公
  • 突然の出来事
  • 生死の危機

子カテゴリー

  • スパイ
  • 法執行
  • 家庭内
  • 叙事詩
  • 病気
  • サバイバル

該当作品

「コンドル」「ダイ・ハード」「愛がこわれるとき」「ディープ・インパクト」「オープン・ウォーター」等

人生の岐路

  • 人生の問題
  • 誤った方法
  • 主人公の変化

子カテゴリー

  • 中年期
  • 別離
  • 依存
  • 思春期

該当作品

「テン」「クレイマー、クレイマー」「普通の人々」「28DAYS」「ナポレオン・ダイナマイト」等

相棒愛

  • 不完全な主人公
  • 主人公の穴を埋める相棒
  • 主人公と相棒の複雑さ

子カテゴリー

  • ペット
  • 職業
  • ロマンスコメディ
  • 叙事詩
  • 禁断の愛

該当作品

「ワイルド・ブラック/少年の黒い馬」「リーサル・ウェポン」「恋人たちの予感」「ブロークバック・マウンテン」等

なぜやったのか?

  • 探偵
  • 秘密
  • 暗雲

子カテゴリー

  • 政治
  • ファンタジー
  • 警官
  • 私的
  • ノワール

該当作品

「大統領の陰謀」「ブレード・ランナー」「ファーゴ」「ミスティック・リバー」「BRICK ブリック」

おバカさんの勝利

  • おバカさん
  • 権威・内通者
  • 変容

子カテゴリー

  • 政治
  • 覆面
  • 社会
  • 水から上がった魚
  • セックス

該当作品

「チャンス」「トッツィー」「フオレスト・ガンプ 一期一会」「キューティー・ブロンド」「40歳の童貞男」等

組織のなかで

  • 組織
  • 選択
  • 犠牲

子カテゴリー

  • 軍隊
  • 家族制度
  • 社会組織
  • 組織の中の師
  • 組織の中の問題

該当作品

「M★A★S★H マッシュ」「ドゥ・ザ・ライト・シング」「リストラ・マン」「トレーニングデイ」「クラッシュ」等

スーパーヒーロー

  • 特別な力を持つヒーロー
  • ヒーローと同等以上の自作の能力を持つ宿敵
  • ヒーローの敗北・克服すべき呪い

子カテゴリー

  • 実在
  • スト-リーブック
  • ファンタジー
  • 民衆の
  • コミックブック

該当作品

「レイジング・ブル」「ライオン・キング」「マトリックス」「グラディエーター」「スパイダーマン2」等

この様な感じで、10種類に物語を類型で分割、子カテゴリーで更に分割する事が出来ます。

ですが、理解していれば必須要素であったり、カテゴライズの根拠も分かるのですが、中には分かりづらい要素や曖昧な線引きも多く、このままでは、万人が簡単に使うには、少し厳しい部分もあります。

そこで、この記事では、そこからカテゴライズのルールを発展させて行きます。

構造による10分割、実践

物語の基本は「世界観」「登場人物」「行動」そして「壁」です。

それらを基準に、カテゴライズできるか見てみましょう。

家の中のモンスター(モンスターパニック)

分割ルール

  • 物語の壁:解決しないと破滅確定のピンチ(モンスター、殺人鬼等)
  • 世界観:定まった場所(事実上の密室)
  • 登場人物:ピンチに対して無力だが有能
  • 行動:命がけで立ち向かう

金の羊毛(旅物語、スポーツ物)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には未熟
  • 行動:目的に向けた積み重ねをする

魔法のランプ(特別な力)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には未熟
  • 行動:手に入れた特別な力に頼る

難題に直面した平凡な奴(大事件)

分割ルール

  • 物語の壁:解決しないと破滅確定のピンチ(自然災害、人災等)
  • 世界観:定まった場所(事実上の密室)
  • 登場人物:ピンチに対して無力だが有能
  • 行動:命がけで立ち向かう

人生の節目(人生の岐路)

分割ルール

  • 物語の壁:解決しないと破滅確定のピンチ(進路の行き詰まり)
  • 世界観:定まった場所(事実上の密室)
  • 登場人物:ピンチに対して無力だが有能
  • 行動:間違った方法で解決を試みる

バディとの友情(バディ物、ラブロマンス等)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には未熟
  • 行動:相棒の力に頼らなければならない

なぜやったのか?(ミステリー等)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(興味、探求心、好奇心、使命)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には有能だが、持っている情報が足りない
  • 行動:真実を追い求め、最後には暴露する

バカの勝利(変人の勝利)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には有能だが、変人故に周囲に理解されない
  • 行動:姿勢を貫き、周囲に正しさを認められる

組織の中で(組織物)

分割ルール

  • 物語の壁:解決しないと破滅確定のピンチ(組織との対立)
  • 世界観:定まった場所(事実上の密室)
  • 登場人物:ピンチに対して有能だが、反逆者故に周囲に理解されない
  • 行動:姿勢を貫き、組織を壊すか、組織によって壊される

スーパーヒーロー(ヒーロー物)

分割ルール

  • 物語の壁:解決しないと破滅確定のピンチ(ヴィラン等)
  • 世界観:定まった場所(事実上の密室)
  • 登場人物:ピンチに対して有能だが、超人故に周囲に理解されない
  • 行動:自分を犠牲にして、人々を守る

という風に、分割ルールを分けてみました。

物語の壁「ピンチ」か「目標」か、登場人物が壁に対して「無力」か否か、壁が「環境にある」か「環境が壁になっている」か、と2分割を3回行うだけで、8通りの物語にカテゴライズされ、最後に「主人公の行動」として「どうやって対処する」かを設定すれば、簡単に10分割出来てしまいました。

これを更に分割を続けて具体化すれば、詳細なカテゴライズが出来ます。

ですが、当ブログでは以前から、ブレイク・スナイダー方式に更に「2つ足す」事を推奨しています。

つまり12分割です。

当ブログが必要だと提唱したいのは、現在は10分割の中に埋もれてしまっている2カテゴリー。

「タブー」と「革命」の存在です。

追加した2カテゴリーを足した12分割

タブー(禁忌破り)

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には有能だが、そもそもタブーに触れる為、秘密にしなければならない
  • 行動:多大な犠牲を払いながらも、夢を叶える

革命

分割ルール

  • 物語の壁:主人公に目的や目標がある(夢、使命、野望等)
  • 世界観:目的に向けて必要な物が配置されている道(実際の旅の道程もあれば、スケジュール等も含む)
  • 登場人物:目的達成には有能だが、周囲が固定観念にとらわれている為、なかなか理解されない
  • 行動:姿勢を貫き、周囲を良い方向に変える

これで、物語が12種類に分類出来ました。

この様に、物語をカテゴライズして判断できれば、創作に置いて前述の通り有利な事が多々あります。

その中でも、創作者に嬉しいのは、必須項目のチェックリストに創作中の作品をかけられる事でしょう。

書いている途中で、必須項目の有無を確認出来る訳です。

備わっているなら安心して制作進行が出来ますし、足りていないなら不足を補う必要があります。

以下、構造カテゴリー毎の、重要な必須要素となります。

当ブログでは、お馴染みの要素ばかりだと思います。

ベースは、ブレイク・スナイダー方式で、追加の2カテゴリー分以外は、ほぼ同じです。

モンスターパニック

  • モンスターから逃げられない空間
  • 貪欲の罪に罰を与えるモンスター
  • モンスターの知識を持つ者

成長の旅

  • 旅の目的、夢や目標
  • 目的を同じくする仲間の存在
  • 大事なのは成長の過程で、真の報酬は仲間

特別な力

  • 魔法の力のルール
  • 叶えたい願い
  • 魔法の力を知る協力者
  • 魔法の力無しで叶える本当の願い

難題解決

  • 突然の事件
  • 事件に対して平凡な主人公
  • 唯一好意的な仲間
  • 生き残りをかけた試練

人生の岐路を迷走

  • 問題に対して平凡非力な主人公
  • 魔法の力を得て、問題に立ち向かう切欠に
  • 現実を受け入れる結末

相棒

  • 揃って初めて完全となる主人公と相棒の二人
  • 相棒と近づかせ、同時に対立させる事情
  • 二人でないと解決出来ない問題

ミステリー

  • 謎を追う動機がある主人公
  • 探求の為に破るルール
  • 企てる必要があった犯人
  • 謎の暴露によって変化する世界

変わり者

  • 図太いメンタルの主人公
  • 変化する行動or見た目or名前
  • 主人公を脅威に感じる存在
  • 変わり者で無ければ解決できない問題

組織を変える

  • 変えるべき慣習やルールのある環境
  • 慣習やルールの異常性に気付ける主人公
  • 慣習やルールに抵抗する主人公

スーパーヒーロー

  • 弱点や制限
  • ヒーローとしての名前
  • 守るべき相手
  • 倒すべき相手、解決すべき問題

タブー破り

  • その社会での禁忌
  • 禁忌を破らないと満足出来ない主人公と仲間
  • 禁忌を破った代償

革命

  • 社会の問題に対して有能な主人公
  • 変化に抵抗する人々
  • 主人公一人では変えられない社会
  • 変化を受け入れ、共に革命する仲間

以上が物語の構造12カテゴリーの重要な必須要素となります。

これらは創作中の物語が分類されるカテゴリー群に入れば必要になる物で、無いと物足りない物語となります。

ちなみに、これらカテゴリー群に入らない外側の物語を描こうとするのは、かなり困難な道になります。

それは、物語と言う物に2分割を繰り返した結果の12カテゴリーだからです。

つまり、紹介して来た2分割も6分割も10分割も12分割も、よほど間違ったルール設定をしていない限りは、ある程度、網羅的なカテゴリーとなっている訳です。

最初の方の2分割で例に出した「洋画と邦画」と言う分け方ですと、印度映画等のその他が発生します。

つまり、穴のある分類と言う事です。

ですが、正しい構造のカテゴライズがされている物に関しては、カテゴリーの外を探すのは当然難しくなります。

終わりに、132種類に分割する?

132カテゴリー化計画。

これが当ブログが地道に進めているプロジェクトの一つとなります。

考え方としては、既に紹介した12×12では無く、そこから同じカテゴリーを廃した11×12の計132カテゴリーに物語を分けてやろうと言う物です。

なぜ、わざわざカテゴリー同士を掛け合わせるのかと言えば、それは12分類のカテゴリー分けだけでは、十分ではないからです。

実は、物語は二つ以上のカテゴリーが掛け合わさってメインプロットが出来上がっています。

つまり、12カテゴリーでは、必須要素の半分しか押さえていない訳です。

プロジェクトですが、牛歩の様な進み方ですが、一応着実に進んでいます。

ただ、一つ、大きな問題が発生しているのも事実です。

かなり物語を見て聞いて、分析してきたつもりなんですが……

世には人気ジャンルと言うカテゴリーの偏りと、執筆者の好みと言う偏りがあり、一部の二ッチなカテゴリーの物語に、遭遇さえしていない事です。

現状「84種類」程度は分け、その中で執筆したのは「26種類」と言う感じになっております。

100近い手付かずのカテゴリー群に手を焼いている訳です。

これからも地道にプロジェクトは進めるのですが、はっきり言ってしまえば今の速度で書き終わるまでに、かなりの時間がかかってしまう為、この記事を通してカテゴライズルールを共有した訳です。

見分け方は単純です。

12カテゴリーのどれかに分類後、他の1カテゴリーの要素を探します。

それだけで132分の2、程度にまで限定出来ます。

次は、その2を1にする見分け方ですが、例えば「特別な力(ランプの魔人)」のカテゴリーに分けられた物に「変わり者(バカの勝利)」の必須要素があったとします。

それは「特別な力によって変わり物になった話=呪いによる変身物語」なのか「変わり者になった事で特別な力を得た話=入れ替わり物語」なのかを判断すれば良い訳です。

この132種類の分類法によって、より正確な物語のカテゴライズが可能になり、物語の構造に必要な必須要素を簡単に導き出す事が出来る様になります。

以上が、132カテゴリー分類法の紹介でした。

必須要素でも分割ルールでも、好きな方で分割して見て下さい。

また、オリジナルのカテゴライズを行えば、自分の好みが分かったりと、自己分析にもおすすめです。

※追記:2021年3月現在、構造カテゴリーが62種類程度まで増えました。半分行ってない(⁉)ですが、この記事を見てパターンが分かれば皆さんが自分でも見分ける事が出来ます。大丈夫!

番外:シェイクスピアの36分類

  1. 哀願・嘆願
  2. 救助・救済
  3. 復讐
  4. 近親者同士の復讐
  5. 追走と追跡
  6. 苦難・災難
  7. 残酷な不幸の渦に巻き込まれる
  8. 反抗・謀反
  9. 戦い
  10. 誘拐
  11. 不審な人物、あるいは謎
  12. 目標への努力
  13. 近親者間の憎悪
  14. 近親者間の争い
  15. 姦通から生じた残劇
  16. 精神錯乱
  17. 運命的な手抜かり・浅い配慮
  18. つい犯してしまった愛欲の罪
  19. 知らずに犯す近親者の殺傷
  20. 理想のための自己犠牲
  21. 近親者のための自己犠牲
  22. 情熱のための犠牲
  23. 愛するものを犠牲にしてしまう
  24. 三角関係
  25. 姦通
  26. 不倫な恋愛関係
  27. 愛するものの不名誉の発見
  28. 愛人との間に横たわる障害
  29. 敵を愛する場合
  30. 大望・野心
  31. 神に背く戦い
  32. 誤った嫉妬
  33. 誤った判断
  34. 悔恨
  35. 失われたものの探索と発見
  36. 愛するものの喪失

と言う物があります。

カテゴリーと言うよりは、物語の大筋や主題を非網羅的にまとめた物です。

ですが、創作に詰まった時やヒントを探している時に、ふと眺めて見るとアイディアの足しになるかもしれません。

※お恥ずかしながら計算ミスをしておりました。121種類では無く132種類が正解です。また、この記事を流用した記事でも当然の様に間違った数字になっている物がありますが、正解は132種類です。種類数自体は、そこまで重要では無い事ですが、混乱されるといけないので訂正しておきます。(2019年6月26日時点)

※記事内の図の一部が間違っていました。「人生の岐路」がチャンスになっていたのでピンチに変更しました。図は訂正した物に差し替えました。混乱した方は申し訳ございません。(2021年3月10日時点)

良ければアンケートに答えて欲しいな。:)

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“コラム物語論。物語を132種類に分ける実践的で簡単な方法。” への13件の返信

  1. あ、これは素晴らしいですね。

    天皇即位の日に、日本語の分類分けで頂点に立つ
    (日本語レベルではウィルスより別種の生物である可能性を誤解させる)
    から帝は偉く感じるのか・・・と知った者です。

    シェイクスピアなどのめっちゃ偉い人は、絶対的な主観で書きますが、
    この時代ですから普通の人でも物語になると思います。
    なので、分類分けの上の界に、読者・筆者を考慮するタイプかどうか
    が入ってくるかと思います。

    帝の上のsystem(生物であるか)の分類で物語を分類するという発想にユニークを感じました。

    言葉でやりとりをする現在の人類の益になると思います。

  2. >1995年にアメリカの小説家カート・ヴォネガット氏が物語の形に関する6分類理論を発表しました。

    ふと疑問に思ったので。
    6分類法は1995年のVonnegutではなく、VonnegutのG-I軸, B-E軸を基にした2016年のReaganらの研究成果、 The emotional arcs of stories aredominated by six basic shapesのものでは?

    1. ご指摘ありがとうございます。
      仰る通りで、表現として正確では無いですね。「基にした物」と言う風に直しておきます。

  3. すみませんピンチに無力だが有能というのがピンとこないのですがどういう意味なんでしょうか?

    1. 問題を正しい方法で解決するのに役立つ能力は無いけど、変化球や邪道で対処する能力は持っている。と言う事です。

      例えば、襲ってくる凶悪なモンスターがピンチの原因の場合、モンスターを正面から倒せる場合は、ピンチに対して有能ですが、モンスターを倒す事は出来ないが生態に詳しいとか運転が上手いとかの場合、モンスターが追ってくるピンチを直接解決出来ない無能ですけど、役立つ特技を持っている事になります。

      海外ドラマブレイキングバッドの場合は、遺産を家族に残す為の金稼ぎの正攻法では主人公は無能ですが、化学知識と技術力を使ってクリスタルメスを作れる点では有能で、金稼ぎ手段としては邪道です。

      分かりそうでしょうか?

      1. 理解できました!ありがとうございます!
        それともう一個分からなかったのがカテゴライズルールで
        状況=(環境が壁)は何となく理解できるのですが、敵=(環境に壁)と言うのがよく分かりませんでした。『に』と『が』の使い方で混乱してしまっているので自分の日本語の理解不足のせいかもしれませんが、もう少し具体的に教えてもらうことは可能でしょうか?

      2. 環境に敵がいる、つまり、ヴィラン、魔王、モンスターと言った存在が出てくる傾向があると言う事です。

        いかがでしょうか?

  4. たぶん理解できたと思います!
    ストーリー上の障壁が具体的な敵なのか?、それとも状況なのか?という理解で良かったでしょうか?

      1. 長々と質問してしまいすみませんでした。
        大変勉強になりました!

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