心に残ってる感動【ゲーム紹介】Wii用GAMEフラジール「PFの演出が最高だった件を感謝したい」話

FRAGILE~さよなら月の廃墟~

まず、このゲームを知らない人の為に、簡単な説明を。

フラジールは、2009年にWii用ゲームとして発売された。

ジャンルは廃墟探索RPG。

公式サイト:http://fragile.namco-ch.net/(音楽が鳴ります)

発売前から、高品質なアニメーションと楽曲で話題になり、大いに期待を高めてくれた物の、いざ発売してみると2~3ヶ月の間に半額以下まで値を下げて行った、いわゆる「クソゲー」である。

ちなみに、私は店頭予約しフルプライスで発売日に買ってしまった側の人間である。

ファミ通あたりの情報だと、初週出荷本数は2.3万本程度らしい。

今回は、このゲームがどんなにダメで、だが、どんなに素晴らしいかを紹介していきたい。

ダメな所

このゲームの物語は、

謎の大災害によってポストアポカリプス状態となった廃墟世界で、孤独な主人公が世界の謎を解き明かす為に旅に出る。

と言う様な物だ。

大好物な設定である。

そもそも、現代の廃墟探索に力を入れているRPG自体、珍しい。

だから注目を集めた作品でもあったのだろう。

目の付け所が良かったのに、何が駄目だったのかと言うと、色々と設定やゲームの方向性がグズグズだったのだ。

  • 良くも悪くもカジュアルなアクション性
  • 普通に敵として出て来る幽霊(地味に怖い。ってかホラーゲーかよ!)
  • 楽しくないバトル
  • 孤独な廃墟探索かと思いきや、常時コンパニオンが一緒で、喋りまくる事で孤独感皆無の探索(思ってたのと違う感)
  • 貼った伏線の放置
  • 雰囲気で誤魔化す設定の数々

ゲームとして見ても、物語作品として見ても「破綻はしてない」のだが、期待したユーザーの期待に応えるには、完成度が低すぎる出来だった訳である。

音楽とか、本当に良いんだけどね。

今回、感謝したかった所

このゲームには、PFと言うキャラクターが登場する。

パーソナルフレームと言うAI搭載の音声デバイスで、箱と言うかランドセルの様な姿なのだが。

https://twitter.com/pf_fragile_bot

このPFが、とにかく最高なのだ(フラジールプレイヤーの中では真のヒロインポジションで確定している)。

ちなみに、Twitterに非公式botさんがいた事に今更気づき、呟き続けている事実に複雑な気持ちになってしまった。

とにかくだ、このPFさんは、最高のヒロインなのだ。

劇中、長い間廃墟で放置されていた孤独で寂しがり屋なPFを拾った主人公は、一緒に旅をする事になる。

PFはAIなのだが、その機械的な見た目とは対照的に、異様に人間的な性格をしている。

ゲーム開始初期のコンパニオンなので、大半のプレイヤーはPFを背負い、二人きり旅をしながらPFの事を好きになって行く。

PFは見た目からも、手も足も出ないので、出来る事は会話のみ。

だが、敵に気付いたり、迷ったら進み方を教えてくれたり、気を和ませてくれたりと、会話で出来るあらゆる支援とコミュニケーションをしてくれる。

実際にPFが発売されたら欲しいし、廃墟に放置されていたら持ち帰り不可避と言うキャラクターなのだが、そんなPFと別れの時が来る。

悪名高い「PFのバッテリー切れ問題」である。

PFは、なんと旅の途中でバッテリー切れを起こしてしまうのだ。

いや、それだけなら良い。

それだけなら、PFのバッテリーを探し続ける旅にプレイヤーも出ようがある。

要は、ハラペコヒロインを背負ってる状態だ。

むしろ、最高じゃないか。

だが、そうはいかない。

だからクソゲーなのだ。

この物語で問題になったのは、記憶喪失の主人公に一般常識が無く、バッテリー切れになったPFの事を「充電する」と言う発想に至らず「死んだおじいさんと同じ様に埋めよう」と言う様な奇行に出た事にある。

全プレイヤーが「待て待て待て落ち着け早まるな埋めるな充電させてくれ!!!」と思った筈だ。

だが、その願いも空しくPFはバッテリー切れを理由に主人公によって土葬されてしまうのだ。

検死の結果、死因は検死的な酷さがある。

色々と酷いとしか言えないが、語彙を失うぐらい本当に酷いのだ。

どこに感謝?

その後、主人公は、まあ適当に廃墟を進んで適当に仲間との出会いと別れとかあったり、あ、ああ、えっと、まあ、とにかく、東京タワーから怪電波を垂れ流して人類補完計画やろうとしてるマッドサイエンティストさん(ラスボス)を殴りに行かないといけないみたいな「あれ、ゲーム側に設定されたメインヒロインって、いつ仲間になるの?」と言う疑問と嫌な予感を胸に抱きながら、東京タワーでのラストバトルに突入するのだが……

感謝したい一点は、ラストバトル中に待っていた。

ラスボスとの戦いの中、ラスボスが大技を繰り出そうとモーションを始めた時の事だ。

「よけて!」

と、思わぬ場所から声が聞こえて来た。

実は、Wiiリモコンには、スピーカーが搭載されていて、音を鳴らせる機能がある。

音は、テレビのスピーカーではなく、リモコン側から流れて来たのだ。

しかも、その声は主は、主人公の土葬によって死んだPFの物なのだ。

先にも書いたが、この世界には幽霊が闊歩している。

つまり、(主人公の手によって)死んだPFは、AIながら幽霊としての再登場をすると言うサプライズ演出が用意されていたのだ。

PFの呼びかけでラスボスの攻撃を避ける事に成功し、そのまま勝利を収めた運の良い、極少数のプレイヤーは、震えた。

良く分からない人類補完計画も、やっと出会えたメインヒロインも、伏線放置で流れ始めるエンディングも、どうでもいい。

AIが幽霊になった=生命体や霊的な存在に昇華した事を示唆させる、2001年宇宙の旅のHALが、モノリスによって高次元の存在に昇華する様な感動がある訳ですよ。

そして、PFと一緒に旅をして、PFが(主人公の手で)死んだ。

そんな失意の中、ゲームを惰性でクリアしようとしていたら、画面の中のアイツに殺されたと思っていたPFは、実はアイツではなく、操作しているプレイヤーと共に旅をしていたと言う解釈も出来る演出。

PFが好きで、この演出が刺さらない訳が無いでしょ!

おわりに

フラジールは、ゲームとしても、物語としても、非常に中途半端な存在だ。

だが、このPFと言う名キャラクターを生み出し、途中酷い所もあったが、あの演出に繋げた、あの演出を考え世に送り出したスタッフには、大いに感謝したいと思う。

もし叶うなら、PFと二人っきり廃墟を探索して、アイテムやバッテリーや発電機でPFを維持しながら脱出を目論む様なゲームを出して欲しい。

エンディングでは人型の身体を得たPFと広い世界に飛び出す様な。

それ、もう殆んどICOだけど。

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