あなたは知ってる? 創作者に必要な10,000時間の法則

プロになるなら10,000時間?

10,000時間の法則って聞いた事ありますでしょうか?

ザックリ説明すると、マルコム・グラッドウェル氏が広めた

  • 「プロフェッショナルになるためには10,000時間の努力が必要」

と言う法則の事です。

氏の本が出た直後はブームになり、何にでも当てはまる様な風潮が一時はありました。

その後「全てには当てはまらない」「20時間で十分」と言う様な法則も出て、話題になった物です。

結論から申しますと、創作に関して言えば「10,000時間の法則」は、おおむね正しい物です

同時に「全てには、当てはまらない」法則でもあり、「20時間で十分」な領域もあります。

今回は、創作者に必要な「10,000時間の法則」について解説したいと思います。

どうして、10,000時間も?

なぜ「10,000時間」も努力しなければプロフェッショナルになれないのか?

それは「パターン」を身体に覚え込ませて、スキルを「考えずに使う」事がプロフェッショナルには、必要不可欠だからです。

漫画家なら、絵を描く技術、物語を創作する技術、漫画を構築する技術等、あらゆる必要技術が連携し、使い物になる様になるまでに「10,000時間」の努力が必要なのです。

小説家なら、文章を書く技術、物語を創作する技術、小説を構築する技術等が必要になります。

他の職業でも、同じ事です。

プログラマー、職人、スポーツ選手、等々の独自の「パターン」を「考えずに使う」スキルがプロになるには必須です。

一々、考えながら手足を動かしていては、効率的に動けませんし、そもそも思い通りに手足は動かせません。

サッカーのリフティングを想像して見て下さい。

誰が見てもやり方は分かりますが、実際に出来る様になるには、相応の練習が必要になります。

絵を描く事を想像してみても良いです。

画材が揃っていても、プロの様に線を引き、色を塗る事は素人には出来ません。

その為に、複数の技術を「パターン」として、必要に応じ連携させて「考えずに使う」様になるには、およそ「10,000時間」の努力が必要なのです。

それも、ガムシャラに「10,000時間」、何も考えずに「10,000時間」積み重ねても無駄になります。

毎日、歩いて、瞬きして、息をして、その動作のプロフェッショナルになれるでしょうか?

必要なのは、弱点を克服する為等の、熟考した努力を伴う「濃密な10,000時間」なのです。

弱点克服と言えば

別の言い方をすれば「PDCA」です。

ビジネスの世界では、よく出て来る言葉ですね。

「PDCA」とは、簡単に説明すると、

  • Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
  • Do(実行):計画に沿って業務を行う。
  • Check(評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。本当は、評価よりも研究した方が良いらしい。
  • Action(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。

の事で、この繰り返しを「PDCAサイクル」と言います。

今回は余談になりますが、合わせて「OODAループ」を使うと、更に良い感じです。

「OODAループ」とは、「PDCA」を回す前の「意思決定の段階」で行う物です。

これも簡単に説明しておくと、

  • Observe(観察):意思決定者自身が直面する自分以外の外部状況に関する「生のデータ」 収集。
  • Orient(情勢への適応):収集した「生のデータ」をもとに情勢を認識し、「価値判断を含んだインフォメーション」として生成する 。
  • Decide(意思決定):判断された情勢をもとに、行動として具体化するための方策・手段を選択し、場合によっては方針・計画を策定する。
  • Act(行動):採択された方針に基づいて、指揮官の意図・命令を踏まえて、実際の行動に移る。
  • Feedforward / Feedback Loop(ループ): 再び「観察」段階に戻る。

のループによって、ザックリ言えば「置かれた状況で、より良い選択肢を探す」為の理論ですね。

話を「PDCA」に戻します。

出来なかった事を、どうやったらできる様になるだろうと言う試行錯誤の末、意識的に出来る様になり、それがやがて無意識に出来る様になる。

その「パターン」を脳にしみ込ませるのに必要な時間が「10,000時間」と言う事です。

10,000時間をイメージする

10,000時間は、どの様な長さでしょうか?

一日が24時間なので、不眠不休が可能でも単純に417日かかる事になります。

ですが、寝ず、食べずに一つの事に打ち込む事など、人には不可能です。

それも、「PDCAサイクル」を回し、熟考しながらなんて、出来たら苦労はありません。

それに、残念な事に、人の意識的な集中力の持続時間は「20分」と言われています。

テレビドラマ、アニメ、映画、漫画、小説、どのエンターテインメントでも「20分」と言う尺は非常に重要で、その前後に飽きさせない工夫を必ず入れます。

事件が起きたり、気になる引きが入ったりと言った物です。

よく出来た映画は、20分前後の時点で、必ず大きなイベントが起き、物語が動き始めます。

まあ、人は、それぐらい飽きっぽい生物と言う事です。

それでも、この数字を出したのは、それぐらいの時間的長さが、どうあがいても必要と言う現実を知って欲しかったからです。

10,000時間の間に、人は意識をしないと最低でも30,000回も「飽きる」危険があるのです。

プロフェッショナルになる事の難しさが、少し分かったと思います。

大半の人は、ここで心が折れてしまうのです。

では、やや暗い話はこの辺にして、より具体的な数字に変えてみましょう。

一日、1時間の努力を毎日行った場合では、どうでしょうか?

当然、10,000日かかる事になります。

そのペースでプロフェッショナルを目指すと、27年以上かかる計算になり、現実的ではない事が分かります。

では、一日、3時間だったら?

すると、9年強で到達します。

ではでは、一日、8時間を費やす事が出来た場合は、どうでしょうか?

すると、3年半でプロフェッショナルに届く事になります。

一日、12時間なら、2年でイケます。

一日、16時間なら、1年半です。

それを考えると、プロフェッショナルになるのは、数字を見たままに、大変でこそありますが「絶対に無理では、無い」事も分かると思います。

日本人は、仕事を一日6~8時間やるのが当たり前の人が多いですよね?

褒められた例えばなしではありませんが、残業時間も入れて考えてしまえば、時間的には現実的です。

2019年3月5日追加分

人の一日の限界集中時間は、一日200分前後、週5日程度と言う研究の結果があるそうです。

つまり、どんなに頑張っても一日3~4時間を毎日とかが、常人の限界と言う事になると思います。

それを考えると、一日8時間も仕事をしている場合、半分は集中力が切れた作業になっていると言う事ですね。

少し複雑な気分です。

これは、プロフェッショナルへの道は、最短でも10年近い道のりが必要と言う事ですね。

ですが、本当のプロフェッショナルになる前でもプロの実用に足る水準に辿り着くには、1,000時間程度で良いそうです。

最短1年でプロにはなれる可能性があると言う事なので、希望を持てる良い情報なのではないでしょうか。

※追記分終わり。

ただ、問題は仕事ではない創作者が、どうやって時間をひねり出すかですが、それも簡単です。

テレビやネットに使う時間を少し減らせば、それでどうにかなります。

残業に苦しんでいるなら、帰る方法を探しましょう。

ブラック企業だったら、転職を考えた方が早いかもしれません。

創作に割く時間をとにかく作る事が、上達には必要です。

PDCAを回す感覚

誰でも「PDCAサイクル」は、回した事がある筈です。

要は、プロフェッショナルになりたい領域で「PDCAサイクル」を回すコツが掴めれば良いのです。

「PDCAサイクル」を自然に回すコツを掴むには、自分が既に「PDCAサイクル」を回している領域に目を向けて見て下さい。

あなたが漫画を描いているとします。

漫画を描く工程の中で「PDCAサイクル」は、回っていますか?

好きな絵を漠然と描いても、回せないかもしれません。

描けなかった構図や物に挑戦し、出来なかった事を減らし、出来た事を研ぎ澄ませる必要があります。

物語を考える上でも、構想を練るだけでは上達しません。

実際に形にしてみて、上手くいかなかった部分を改善する事で上達の助けになります。

もし、創作者を目指しているのに、創作領域で「PDCAサイクル」が回っていない場合は、成長速度が落ちたり、止まっている可能性があります。

また「PDCAサイクル」を回す実感が分からないと言う方がいれば、私はゲームをおススメします。

運以外の要素が絡めば、どんなゲームでも構いません。

レースゲームであれば、タイムアタックの上達等があります。

音ゲーなら、フルコンボ出来ない曲への挑戦等です。

格闘ゲームなら、出せなかった技やコンボを練習等をして見て下さい。

これらの上達は「PDCAサイクル」を回す実感となります。

ゲームが楽しいのは、手軽に「PDCAサイクル」を回して、上達や成長を実感出来ると言う側面があるからです。

似た感覚を、創作の領域で感じる様に「PDCAサイクル」を回して見て下さい。

ゲームなら、面白ければ100時間、1000時間が経つのは、あっという間です。

「10,000時間の法則」も、上達を楽しんで努力すれば、あっという間に出来ると言う事です。

最初に言った例外や、20時間で出来る事って?

この10,000時間の法則は、スキルの上達には大いに係わる物です。

ですが、創作に必要なのは、スキルだけではありません。

それは「アイディア」です。

どんなに絵が上手くても、成功するとは限りません。

どんなに物語を上手く語れても、成功には直結しません。

10,000時間によって技術的な上達をすると言う事は、成功の確度を上げる事までしか出来ないのです。

それは、フランス・ヨハンソン氏が提唱した「メディチ・エフェクト(メディチ・インパクト)」「クリック・モーメント」理論で詳しく説明されています。

10,000時間の法則が適応される領域とは、

  • 環境のルールが大きく変化しない領域(スポーツ、楽器演奏等)

に限られます。

一方で、創作と言う分野は、環境の変化が激しい物です。

常に新しい物を求められる環境で求められるのは、プラスアルファとして「アイディア」なのです。

それも、先に軽く触れた「OODAループ」等によって判断した「環境に適応したアイディア」が求められます。

創作は、創作者の好きに作れば良いと言う訳ではありません。

好き勝手に作っても悪くは無いですが、ヒットする確度は市場や環境が求める物にマッチするかが問われます。

極端な例を出します。

ヒトラーを褒める作品を、あなたが創作したとします。

ヒットすると思いますか?

炎上はするかもしれないですが、愛される事は難しい可能性の方が高いです。

ですが、もし、もしですよ?

1941~1943年ぐらいに、ドイツで発表出来たとしたら?

愛されるかはともかく、今よりもヒットしそうじゃないですか?

環境に適応するヒットの法則

創作者なら、ヒットを狙いたいですよね。

ヒットって、狙える物なのでしょうか?

こればかりは、確度を上げる以上の事は言えませんが、狙う事は可能だと思います。

狙い目は、主に二つ。

  1. 熱狂的なブームの空白地帯を狙う
  2. 社会に溜まった不満の発散を狙う

この二つです。

「1」は、アイドルブームなら、存在しないコンセプトのアイドルを投下すれば、火が付きやすいです。

擬人化ブームも同じですね。

既にあるブームに乗っかる事は、戦略的に見れば正しい事ですので、恥ずかしがらずに乗りましょう。

「2」は逆に、溜まった不満の発散を狙う場合は、暗黙の了解で皆が抱える社会や業界に対して批判、否定を汲み取り、それを解決したり発散する事を表現で狙えばヒットを狙えます。

ゾンビランドサガは「1」で成功しました。

なろう系は「2」で人気を博している事が多いです。

20時間の法則とは?

もう一つ「10,000時間の法則」の後で話題になったのが、「20時間の法則」です。

飽きる可能性も30,000回から60回に減っていて、非常に手が届きそうな数字です。

この「20時間の法則」は、ジョシュ・カウフマン氏が提唱したものです。

内容の特徴としては「10,000時間」はプロフェッショナル化に必要な時間であって、スキル習得に必要なのは「20時間」あれば十分と言った内容。

その前提や条件は、およそこんな感じです。

  1. 学習曲線で考えた時に効率的と言える80%ライン
  2. 要素の分解による具体化と単純化
  3. 既にあるハウツーの有効活用
  4. 自己修正
  5. 逃げない

が挙げられます。

「1」学習曲線で考える効率とは、80%の完成度ならすぐに出来るが、100%を目指すと時間がかかると言う物です。

まず、80%を目指す事で、成長曲線の上がり具合が少なくなったら、それ以上の努力は細部の変化にしかならず、最初は意味がないと言う事ですね。

「2」要素の分解とは、努力する領域を分解して、欲しい一部に絞って習得を目指す事です。

つまり、漫画全てを最高の水準で上手く描くには「10,000時間」必要ですが、絵をまあまあ上手く(80%)描くだけなら、その習得に必要なのは20時間で済みます。

「3」ハウツーの活用とは、その努力する領域が体系化されている事が条件として必要と言う事です。

先人達が積み上げて来た上達のコツを利用しなければ、20時間での習得のハードルは途端にあがります。

手探りは、どうしても無駄が出るからです。

「4」自己修正は、自分で悪い所を意識して直せるか否かです。何が悪いか分からない様な状態だとしたら、改善の使用がありませんよね。

「5」逃げない事が肝心です。

面倒だと先延ばしにしたくなったり、下手過ぎて嫌になったり、他の楽しい事に目移りしたり。

「1」~「4」が揃っているなら、逃げないで向き合えば必ず上達できるはずです。

完成度80%ですが、最初はそれで良いのです。

逆に最初から100%を求めると、超々高確率で挫折します。

超一流の10,000時間

漫画の神様、手塚治虫先生は9歳で処女作を描き、19歳プロデビューしたと言われています。

漫画に対して向き合った時間が、この時点で「10,000時間」を超えているのは容易に想像できます。

一方で、手塚アニメで育ったドラゴンボールの鳥山明先生は、22歳から漫画を描き始めました。

元々絵は上手かった為、それから担当編集になる鳥嶋氏のもとで1年の修行をさせられ、デビューしますが、最初は全然売れませんでした。

23歳でデビューした物の、25歳でドクタースランプを連載するまでは、辛い時代があった訳です。

漫画尽くしで2~3年を過ごしてからのヒットですから、絵が上手いと言う有利性があっても一日数時間は漫画を描いていた事は容易に想像できます。

それから5年近くも週刊連載をしていれば、その間に「10,000時間」なんて簡単に超えます。

それから発表されたドラゴンボールは、今でもコンテンツ展開が続き、世界的ヒットをしてますね。

ワンピースの尾田栄一郎先生は、4歳から漫画家を目指していたと言うのだから、凄いですね。

17歳でジャンプ新人賞に応募して手塚賞を取ったと言うのだから、驚異的です。

この様に、若くしてデビューを飾る超一流のプロは、生まれつき天才だった訳ではなく、選んだ領域で研鑽を積んだ幼少期や少年期がある訳です。

スポーツ選手も大抵は地道な練習を積み重ねている物です。

まあ、稀に、天才的な人もいるかもしれません。

それは認めます。

ですが、天才の真似をしても「10,000時間」の努力によってしみ込む「パターン」を「考えずに使う」技術は、天才以外には身に付きません。

天才になりたいなら、自分が努力しないで秀でた事が出来る分野を探すしかありませんが、それが望む分野とは限らないし、無い可能性さえあります。

ですが、望んだ分野でプロフェッショナルになりたいなら「10,000時間の法則」をゲームの上達の様に、楽しんで受け入れてみましょう。

また、あなたが目標にしたり憧れている人の10,000時間を調べたりしても、モチベーションアップに良いかもしれません。

まとめ

というわけで、創作者に必要な10,000時間の法則の説明でした。

要するに、正しい努力を重ねる事が、成功への近道と言う事ですね。

この記事が、役立ったり、創作の発破をかけるきっかけにでもなれば幸いです。

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