知らないのは不味い、物語の難易度を決める5つのポイント

物語を読み解く、難易度について

物語には、読み手に求めるレベルが存在します。

その必要レベルが低い物語ほど、幅広い層が受け入れ態勢の整った物語と言う事になります。

今回は、物語の難易度に関する話です。

物語は、単純であるほど良い。でも、単純って何を指してるの?

物語に求められる単純さとは「物語を形作る各要素の構成」です。

構成が単純であれば、難易度の低い物語になり、構成が複雑であるほど、難易度が高い物語になります。

構成の単純さに加え、構成物の単純さも物語の難易度に大きく関わってきます。

構成物が単純なら、やはり難易度の低い物語になり、構成物が複雑になるほど、難易度が高い物語になります。

例えば、ストーリーテーマが複数にまたがる物語は、それだけで複雑になり、最終的にメッセージで何を伝えたかったのかが大抵の場合、曖昧になります。

他の構成要素も同じで、ある程度の抽象度(曖昧さ、遊び)を保った状態で明快に決まっていた方が、良い意味で単純な物語になります。

構成物の複雑さは、キャラクターや世界観の細かな設定の様な物から、キャラクターの数や、キャラクターが行動する事柄の一般度まで多岐にわたります。

構成物が、余りにも複雑だと構成が単純でも、読み手のハードルがどんどん上がることになります。

レゴブロックを想像してみてください。

ある程度までの細かなパーツで好きなモチーフが作られていれば、満足度が高い筈です。

ですが、余りにも細かいパーツ、複雑な工程が続くと、どんなに好きでも疲れ、完成させるだけでも骨が折れる筈です。

構成物は適度に複雑で、物語自体の構成は実は単純。

これが、一般的には適度なレベルの物語となります。

ちなみに、構成物を単純にし過ぎると、子供向けの様になっていきます。

表現による難易度。はっきり言ってくれないと分からない?

物語の難易度は、その表現手法でも上下する物です。

サブテキスト、暗喩、暗示、例え話、メタファー……

上記表にもある「外的要素」を駆使して、「内的要素」をいかに表現するか、その腕前が、物語創作者の腕の見せ所でもあるのです。

例えば、

『悲しい気持ちになった。涙が溢れてきた』

と「内的要素」をストレートに表現してしまうよりは、

『手を強く握り、青空を見た。頬を雨が濡らした』『歯を噛み締め、俯いた。視界が歪んで見えない』

の様に「外的要素」に出る登場人物の行動や反応によって、暗に伝える方が、より上手い表現と言えます。

これは、あらゆる表現に言える事で、暗に伝える技能は、創作者の腕の見せ所でもあります。

ですが「内的要素」を「外的要素」の表現によって理解する為には、物語の流れを俯瞰して、今までに出てきた構成物同士の関連性を把握していないと出来ません。

つまり、読み手に覚えておいてもらい、察してもらう必要がある訳です。

これが、単純な関連性なら、誰にでも分かります。

そこで、大衆向けと呼ばれながらも名作に位置づく物語は、両方を使います。

つまり、直接表現もするし、暗に伝えもする訳です。

直接的な表現しかしない物語は、稚拙に感じられ、間接的な表現しかしない物語は、ついていくだけでも大変です(多くの人は、途中で投げ出します)。

でも、表現が裏表の両方あれば、より広い人に物語を届けられる訳です。

感情装置としての物語

単純な感情ほど、解かり易いです。

だから「嬉しい」「悲しい」と言ったシンプルな感情に結果的になる物語は、長く愛されます。

逆に、複雑な感情をピンポイントで味わいたい層もいます。

『君の名は』は単純な感情だからこその、爆発的ヒットでした。

ですが『秒速5センチメートル』の様な、新海監督の『君の名は』以前の物語は、複雑な感情を呼び起こす作品が殆んどで、見る人を選んでいました。

でも、昔の新海監督作品の方が好きな人も、一定数いるわけです。

ジブリでも、宮崎監督よりも高畑監督の作品の方が、呼び起こす感情が複雑で好きな人が大勢います。

どちらが良い悪いではなく、物語の難易度が優しい作品の方が、大勢に愛されやすいと言う話です。

物語のストーリーテーマによる難易度

表下部に行くほど、原始的欲求を扱うほどに、幅広い層に理解できる物語になります。

表上部に行くほど、意識が高くなったり、個人的や具体的なテーマになり、難易度が上がり、読み手も選びます。

物語の奥行とは?

上手い物語になればなるほど、関連性自体を故意に隠し、条件が整ってから実は関連していたと暗に知らせてきます。

この「関連性の表現」を仕込む事で、物語は「理解できる人にしか理解出来ない」奥行きを獲得します。

表の直接的表現と、裏に隠された複雑な関連性によって成り立つ暗示の表現。

両方がある場合、大多数の人は直接的表現で最初は物語を理解します。

ですが、裏に隠された構成物同士の関連性に気付くと、隠された表現に気づき始めます。

一つに気付けると、もう一度読んだ時には、更なる関連性に気づきます。

これは、推理小説の一周目と二周目の感覚と似ています。

物語に対する知識、構成物の関連性を知っているから、次の気付きにつながる訳です。

ディズニーやジブリ等の繰り返し見られ、愛される物語は、劇中に仕込まれた小ネタあイースターエッグ以上に、この構成物の関連性の密度が高い事で、繰り返しの視聴に耐えうる奥深さを持っている訳です。

物語の奥行があると言うのは、物語世界の広がりと共に、その関連性の密度が濃いと言う事でもある訳です。

終わりに

物語の難易度についての解説でした。

  • 構成は単純に、構成物はまあまあ複雑に。
  • 表現は、直接と間接を使い分け、重要なシーンでは両方使う事で確実に伝わり、稚拙さも軽減される。
  • 沸き起こる感情は単純な方が簡単。
  • 扱う欲求は、原始的な方が広い層に理解できる。
  • 物語世界の広がりと、構成物同士の関連性の密度が高いと、奥行があり、繰り返し浸りたくなる物語に出来る。

これらの要素を操作して、物語の難易度調節をする事で読者層は上に下に広げる事が出来ます。

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