「魅力的なキャラクターの作り方」や「葛藤の生み出し方」等で、様々な「ポジティブとネガティブが両立する」事によって効果を得られる手法を、このブログでは何度か紹介してきました。
今回は、それらのいわゆる上位概念、基本的かつ、少し抽象的な「反対概念両立メソッド」について説明していきます。
創作では、例に出した様に非常に有用なツールですが、これは「幅広い場面で使える」割と万能ツールでもあります。
何が出来るメソッドなの?
- 要素を整理して、あらゆる矛盾の解消が出来ます。
- 対象の欠点を無くし、利点だけを残す事が出来ます。
- 物語創作においては、大きな欠点と大きな利点を合わせる事で強烈な葛藤を生み出す事が出来ます。
要するに、正反対の物を矛盾無く同居させると、良い感じになるって事です。
理想のカップリング探しとでも思ってください。
大体同じ事?なので。
さっそく反対の概念を足そう!
例えば、上でカップリングと言うワードを使ったので、男と女で考えてみましょう。
男と女と言う分かりやすい概念を単純に足す場合だけでも、様々な効果を得られます。
まず「ただ足すと、矛盾する」を知ろう。
「男であり、女である」あるいは「女であると同時に、男である」。
これは、概念の階層を「性別」と言う層で横に揃えた状態です。
このままでは、どちらでもあるし、どちらでもない、と言う状態です。
この曖昧な部分を残した状態を「矛盾」している状態と言います。
つまり、曖昧なポイントを具体的にすれば、それだけで「矛盾」解消に一歩近づきます。
同階層の概念で両立させると?
このまま両立を目指すと、肉体であれば両性具有であったり、特殊な遺伝的特徴となるし、精神で言えばある種のトランスジェンダーや、バイセクシャル的な特性を持つ事になります。
性別の明快な境界線が曖昧になって来た昨今、明快に切ると必ず「例外」パターンが出てくるので細分化はしませんが、反対の概念を足して両立させると、本来は反対概念の存在を「融合」させた状態がまず考えられます。
同階層で上下を作る
次は、同階層で対立させる場合です。
「矛盾」は「なんでも貫く矛と、なんでも防ぐ盾、どちらが勝つか?」と言うパラドクスから来ています。
この場合は「矛盾」の解消をさせる一番簡単な方法は、実際に戦わせてみる事です。
矛が貫けば、矛が上位の存在であり、盾が防げれば、盾が上位の存在になる。
矛盾の解消の基本とは「さっさと結果を見る」か「矛盾の無い条件の具体化」で大抵上手くいきます。
矛盾の無い条件の具体化
「槍の名手が持った矛なら何でも貫ける」なのか「誰が使っても何でも貫ける」なのか?
「盾の達人がパリィをすれば、いなせるが正面から受ければ難しい」なのか「絶対に穴が開かない」なのか?
この様に条件を出していき、条件の中で矛盾が無い状態に出来れば、戦わずしてロジックの上で勝敗が見えてきます。
人によっては面倒に感じる作業ですが、この「矛盾の無い条件の洗い出し」は、創作においては非常に強力な武器となります。
階層を上下にずらして矛盾を無くそう!
人種問題において多様性と一貫性、どちらが大事か?
この問題は、文明が出来てから特に人類を苦しめてきました。
例えば、意識の高い人は「多様性こそが重要、アメリカを見ろ、人種のるつぼだ」と言うし、どちらかと言えば保守的な人は「一貫性こそ大事。人種は分かれて暮らす方が喧嘩が無くて幸せ。アメリカを見てみろ」と言います。
この議論は、両者共にある視点では正しい事を主張している為、平行線のまま進みます。
ですが、この正反対の意見は「多様性と一貫性」の視点をずらしてやれば、自ずと答えは見えてきます。
「多様性こそが革新を生む」事は間違いないですが「多様性が争いを生む」事も事実です。
「一貫性が安定を生む」事も事実ですが「一貫性からは新たな物は生まれない」事も事実です。
ここで問題なのは「人種」と言う切り口で両者が語ろうとしている事で「人種」で語りたがる人は「肌の色や国籍」で語りがちです。
この問題は「多様性と一貫性」を横から縦の上下関係にする事で解決の糸口が見えてきます。
「人種と言う多様性は、国と言う一貫性でまとまりを持つ」と思ってやってきたのがアメリカでした。
それは、問題を抱えながらも、それなりに上手くいっていた部分もあります。
これは、一貫性を国と言う上位概念でまとめ、その下に多様な人種と言う下位概念を持ってくることで上手くいかせたパターンです。
ですが、国と言う一貫性のベルトを一人占めしたい人がいる事で、多様性が崩壊しつつある訳です。
つまり、別の上位概念にある一貫性のベルトを巻き直せば、下位概念にある人種を超えた多様性も復活します。
そこで登場したベルトがインターネットや、その上にあるSNSです。
その中では人々は住み分け、一貫性を持っていますが、全体から見ると多様性を持った超巨大なコミュニティであり、国も人種も超えた新たな概念です。
多様性と一貫性は、上下関係によって矛盾なく両立し、その中には入れ子構造の様に多様性と一貫性の階層が出来上がっています。
多様性と一貫性を横で考える人は、周囲と衝突します。
ですが、縦で考えられている人は自然体なので、衝突しません。
例えでは「多様性と一貫性」と言う反対の概念を、横で考えるか上下にするかで起きる変化を挙げましたが、他の対立する反対の概念でも同じことが言えます。
民主主義と社会主義も、一方だけで考えるよりも「民主主義的な社会主義」か「社会主義的な民主主義」で運用する方が、一方だけの概念で偏らせて運用するよりもバランスが取れる事が分かっています。
資本主義と共産主義も、一方よりは両立を目指すべきで、今ある大抵の上手くいっている国は両立状態にあります。
例えば「資本主義だが、ベーシックインカムや生活保護がある」と言う状態は両立状態ですし、中国は社会主義の共産主義国家ですが、経済に関しては資本主義を取り入れる事で大きく発展しました。
反対の概念を両立する事の利点は、国を発展させるほどの力を持っている訳です。
反対の概念を足す事で、対象の利点だけ残す
これは、【簡単】魅力的なキャラクターの創り方で説明しました。
詳しくは記事を読んでもらえれば分かりますが、キャラクターに限った事ではないので、軽く説明します。
例えば、エアガンやモデルガンってありますよね。
あれは、銃と言う「カッコいい」物と言う利点を持った「武器」に対して、「玩具」と言う相反する概念を足す事で「カッコいい」を残して「殺傷能力」と言う欠点のみ消す事で、大人から子供まで楽しめる物になっています。
模造刀もそうですが、武器は総じて「カッコいい」ですが、普通の人が持つには「殺傷能力」と言う欠点が大きすぎる訳です(特に日本では)。
この様に、様々な物が実は反対の概念を足す事で利点だけを残した結果、愛されているパターンがあります。
アルコール0%ビールや、カロリー0%コーラなんてのも、この発想ですね。
葛藤を生み出す!
記事 ゼロから面白い物語の基礎を作る方法 の中でも何度か触れていると思いますが、反対の概念を足す事で、物語に必要な「葛藤」を生み出す事が出来ます。
物語の中で出てくる良い例では「すぐに大金が必要、だが、手持ちの稼げる手段が犯罪」だったり「運命の人に出会った、が、年齢・種族・階級などが違う」や「正解を救う為に旅に出なければならない、が、危険で過酷」と言った感じです。
これらの場合、反対の概念と言うよりは、主人公が利点と同じ程度に欠点と感じる事を、行動に足せばよく、気を付けるポイントは利点と欠点が一つの行動に表裏一体で切り離せない状態と言う事です。
ポジティブな行動を取ると、常にネガティブな要素が同時に顔を出す、その様な状況を維持しながら主人公に綱渡りの様な行動を取らせることが、物語を劇的に面白くするポイントとなります。
まとめると
反対の概念を矛盾なく足すのが上手くなる事は、思考ツールとして現実でも、創作でも強力なツールになると言う事でした。
- 横で融合する
- 優劣を決める
- 矛盾の無い条件を具体化する
- 縦で両立させる
- 利点が残り欠点が消えるように反対の概念を足す
- 利点と同じぐらい大きな欠点を抱えるように概念を足す
これらの考え方が、誰かの人生や創作活動で役立つことがあれば幸いです。
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面白い物語を創りたい同志諸君、よろしくおねがいします!
“【創作ツール】反対概念両立メソッド。矛盾を無くすと自然と上手くいく法則” への3件の返信