キャラが崩れる原因の話
キャラクター崩壊案件って、結構あります。
今回は、そんなキャラクターが崩壊してしまう2つの原因をお話します。
その1:キャラクター設定
キャラクターには設定があります。
それを無視すると、キャラクターが崩壊します。
例えば「足に古傷があって走れない」と言うキャラクターがいたとします。
そのキャラクター設定を無視して、劇中で「普通に走らせる」と、当然見る人は「???」となります。
設定を無視しては、混乱を招く訳です。
当り前の様ですが、キャラクターの設定管理を怠っていると、時々起きる事です。
その2:ミッシングリンクの補完
実は、あらかじめの設定を無視しても、キャラクターが崩壊しないパターンがあります。
それが「ミッシングリンクの補完」です。
簡単に言えば、キャラクターの設定として連続性が欠けていた部分を、補う設定を付け加えれば、それでいい訳です。
例えば「足に古傷があって走れない」キャラが走った場合は、「名医に足の手術をしてもらった」と言う様な設定が追加出来る状態であれば、取り返しがつきます。
物語として描くなら、事前に病院や医者の下りを伏線として入れておけば良い訳です。
設定厳守と設定補完を徹底する事で、キャラクター、引いてはキャラクターが活躍する物語全体の一貫性が生まれます。
すると、見ている人は「一人のキャラクター」だと分かり、キャラクターを追う事が出来ます。
自然で、どこかにいそうな人物と認識する事が出来るから、納得し、安心して行動を見守る事が出来る訳です。
特に重要なのは、何の設定?
キャラクターの構成要素は、パーソナル、フィジカル、メンタル、キャリアが存在します。
それらの設定で、特に大事にしたいのは、どの設定でしょうか?
物語が描くのは、主人公を始めとしたキャラクターの変化です。
その中で、特に重要なのは「精神の成長」にあります。
つまり、どの設定も重要ですが、特に重要な設定は「メンタル(精神)」です。
例えば、パーソナルなら、キャラクターの名前を、格好悪いですが誤字や誤読したままでも「そのキャラクター」と分かれば、人は騙し騙しでも物語を楽しめます(程度にも寄りますが)。
フィジカルなら「足を怪我していて走れない」としても、場面によっては「必死なら走ろうとする」事も、勝手に納得できます(そのまま走り続けたらアレですが)。
キャリアであれば「元傭兵」なんて設定が飛び出しても、極端なご都合主義でなければ、物語を面白く出来る材料になります(蛇足になる事もありますが)。
ですが、メンタルの場合は「こう考えて、こうする筈」と言う設定どおりの表現をしないと、キャラクターは他の要素以上に大きくひび割れ、崩壊を始めます。
例えば、「自己犠牲的なキャラクター」が「自分勝手」の様な正反対の性格的特徴を見せると、一貫性の無いキャラクターに見えてしまい、その状態を長く維持されると、キャラクターを追う事がストレスになります。
「知っていたキャラクター」が、一気に「理解出来ていないかもしれない、知らないキャラクター」にまず変化し、ミッシングリンクが解消されれば「理解出来ている知っているキャラクター」になり、そうなればキャラクターは再び受け入れられます。
ですが、ミッシングリンクが放置されると、それが「キャラクター崩壊」となる訳です。
「あのキャラは、そんな事するキャラじゃない」と。
おわりに
この、キャラクターへのイメージを、個々人の感じるイメージだと思う人もいますが、それは程度の話であって、大きな間違いです。
キャラクターの設定やイメージは、それまでのキャラクターの行動や選択の累積で出来ていて、そのキャラクターの許される選択のふり幅から大きく外れた時にだけ、人は違和感を感じます。
これを理解していないと「箇条書きされた設定」をベースに、ふり幅を予想してキャラを動かし、崩壊するなんて事もあります。
質が悪いのは、キャラクターを商品として見ていて、設定自体を訂正(無視)して、キャラクターの連続性を無視しても、商品価値が維持されれば良いと考える人がいる事です。
ですが、キャラクターのイメージは、キャラクターを生きた一個人として見れば、どうする事が正しいのか明白です。
キャラクターは実在しませんが、愛する人からすれば、あくまでも生きた一個人であって欲しい存在なのです。
突然、良く知る親友や恋人が洗脳されて、今までのその人なら絶対にしなかった行動を取れば、誰だって不安になるし、洗脳した人の事が許せないのも当たり前です。
キャラクターにとって、連続性の欠如は、死活問題である事を肝に銘じましょう。
キャラクターが、そういう存在であり、愛したいと感じている人達によって愛されるからこそ、大きな力を持つ事を理解していない人は、キャラクタービジネスに関わるべきではありません。
キャラクターへの愛が無い人が、連続性を弄べば、その先に待っているのは「けものフレンズ2」の様な、大炎上です。