魅力アップの鍵は「連想」!?
「連想」って、何を思い浮かべますか?
連想ゲームとか、ありましたよね。
一つの物を起点に、共通点のある別の物を想起させる、それが「連想」です。
この「連想」って、かなり重要な要素で、創作ツールとしても、大変有用です。
「連想」自体は、受け取り手側が行う行為です。
ですので、創作者側は、どういう連想をして欲しいかの「連想への入口」を用意する事になります。
「連想への入口」の用意が上手い人は、絵でも、文章でも、映像でも、音楽でも、あらゆるコンテンツで、少ない労力で最大の効果を発揮して、魅力的に見せる事が出来ます。
今回は、そんな創作ツールによるテクニック「連想への入口」について、説明していきたいと思います。
「連想への入口」設置の基本
ミステリー小説を想像してください。
良くあるパターンでは、「不審な死体が見つかった」と言うイベントで、事件が発覚します。
そして、主人公は
- 不審な死体の発見→殺人事件
と連想して、捜査を開始します。
これが、「連想への入口」の基本中の基本です。
ここから分かるのは、
- 提示された事実→連想させたい事
が、しっかりと設計されている事です。
当り前すぎて、思わずあくびが出るかもしれません。
ですが、この基本を応用して、あらゆる物に適応していく事が「連想への入口」設置に繋がっていきます。
「連想」の方向性
「連想」は、提示された事実の「前」か「後」に対して、方向性を持ちます。
「不審な死体の発見」と言う先ほどの例えの場合は、「前」、つまり、過去に対して「殺人事件があった」と言う連想を抱かせます。
「新たな死体が発見された」と言う「事実の提示」を追加ですると、途端に「前」だけでなく、「後」、未来にも連想を抱かせる事が出来る様になります。
この場合は「連続殺人事件かもしれない」と言った風にです。
「連想させたい事」=「可能性」
「連想への入口」設置に伴い、まず考えたいのは「連想させたい事」です。
それは「何があった?」か「これからどうなる?」です。
いきなりですが、この「連想させたい事」は、曖昧かつ抽象的だからこそ、効果を発揮します。
抽象的とは、「可能性」が広がっていると言う事です。
別の言い方をすると、まだ正解が分からないが、想像は出来る状態です。
つまり、物語の中で「提示された事実」によって方向性や状況に制限を受けつつも、想像出来る「遊び(可能性)」部分が多い程、良いと言う事になります。
は? と思ったでしょうか。
すみません。
小難しい話になりそうなので、また、例えでお話しします。
例えば、世界観であれば……
想像してください。
遠くの空では竜が舞い、地上では大勢の鎧騎士が整列していた。
緑に覆われた巨大な建築物。
騎士達を奮い立たせようと、高所から演説する冠を頂いた威厳ある王の姿。
奮い立つ騎士達の頭上から画面が引いていくと、全景が見えてくる。
崩れた古代遺跡だと思っていたそこは、打ち捨てられ、長い年月をかけて緑に覆われた巨大な原子力空母だった。
遠景には、竜が翼を休める自由の女神。
と、よくある? ポストアポカリプス(世界崩壊後の再興世界)物のシチュエーションです。
これは、ファンタジーと見せかけて、空母や自由の女神と言った現代の物が朽ち果てている「事実を提示」する事で、実は崩壊後の世界である「可能性を提示」するお約束のパターンです。
このパターンでの可能性とは、「前」への連想として、現代からポストアポカリプス世界への「間にある可能性」を指します。
つまり「パンデミック・終末戦争・米軍の実験失敗・等々」と、様々なポストアポカリプスに至った可能性を、「事実の提示」だけで連想させる事が出来ている訳です。
また、他に良くある物では、例えば、
- 暴力描写連想系
があります。
ホラー、スプラッタ物では、殺人鬼のアジトに、様々な死体が飾られている場面があったりします。
ミステリーでは、特異な死に方の被害者が出てきたりします。
これは、どちらも「何があった」「これからどうなる」と言う連想をさせる仕掛けです。
他に、
- 性描写連想系
も、良く用いられます。
「朝チュン」は有名ですよね。
他に、良いムードのシーンで愛が燃え上がった描写で暗転、何て物も見ると思います。
これ等から分かる事は、
- 説明したら時間がかかる事を、説明せずに印象付ける
使い方と
- 描写自体が難しい表現を、間接的に表現する
と言う、二つの用途に大別出来ると言う事です。
まとめ
「連想への入口」について、いかがだったでしょうか?
- 「連想させたい事」=「可能性」
- 「連想への入口」=「提示する事実」
があるだけで、コンテンツの質や魅力は、恐ろしい程に高まります。
「連想への入口」を作って、導く事で、コンテンツの受け取り手自身の想像力を利用して、期待させ、楽しませる事が出来ると言う事でした。
補足としては、後に実際に「可能性」部分を描写する際は、「納得が出来る」か、「連想を超える」か、いずれかが必ず必要になります。
ミステリーであれば、不審な死体が出来た原因や、犯人の動機に納得できれば、満足出来ます。
連想を超える場合は、そもそも死体が死んでいなかった、別人だった、自殺だった等の様な「どんでん返し」で、連想させる事自体がミスリードだった様な仕掛けが必要です。
短文でも、一枚絵でも、歌詞でも、何でも良いですが「連想への入口」を計算して設置する事で、コンテンツパワーが高まるので、是非試してみてください。
絵なら、キャラは棒立ちよりもポーズを取っている方が良いし、無表情よりも何らかの感情が表情や動作にあった方が良いです。
これは、単純な情報が増える事や、キャラが自然に見える事も、より良くなる要因としてあります。
ですが、ポーズや表情から、見る人が勝手に「連想」出来る事、つまり、そういった情報全てが「連想への入口」として機能する要素だからこそ、より大きな意味がある訳です。
表現の際は「連想への入口」としての機能を意識して、どういう意味があり、伝わり、連想させられるか、を考えながら創作して見ましょう。
また、上手い人の作品を分析したり、比べる事で「連想への入口」のテクニックを学ぶ事も出来ます。
この記事が、創作の役に立てば嬉しい限りです。
“【創作テクニック】「連想への入口」を作れば、魅力的になる?” への1件の返信