さあストーリーテリングを始めよう。
前回、物語を作るのは、簡単だが大変だとお話しました。
今回は、早速ですが物語を作り始めたいと思います。
さあ、紙とペンを用意して。
もちろん、あなたの書きたい字を記録できるなら、パソコンでもスマートフォンでも、何でも構いません。
それは、誰の物語?
書き方がわからない?
何を書いていいか分からない?
あ、いきなり「むかしむかし」とか「あれは暑い日だった」とか「俺は奴に追われている」みたいに書き始めてる人は、ちょっと待って。
まず、何をしたらいいかとか、そもそも書き方がわからないグループの人。
はい。
順を追って教えるから、少し待ってね。
そこの、いきなり書き始めちゃったグループの人。
一旦止めたけど、一度そのまま行ける所まで書いてみて。
ほら、ここって時間が関係ないから、そのまま勢いで書き進めても持ってこれるから。
……
…………
………………
お、書けた?
最後まで書けた?
どう考えても名作?
なら、才能があるよ。
もしかしたら天才かも。
そういう人には、この記事は退屈かもしれないね。
はい、じゃあ、最後まで書けなかったよって人は?
はい、結構いるね。
書けたけど、思い通りにならなかったって人は?
うん、書けただけでも凄いよ。
いや、本当に凄いからね。
ああ、うん、一度そのまま書いて貰ったのは、ちゃんと意味があってさ。
普通の人だと、そうなる事が多いって事を体感して欲しかったんだ。
前回、スポーツで例えたよね?
いきなり名作書けたって人は、いきなり世界選手権で活躍出来るかもって逸材だよ。
最後までは書けなかった人は、行動力はあるけどスポーツで言えばルールが分からなくて試合にならなかった人って感じ。
最後まで書く事は出来たって人は、本当に初心者ならスポーツで言えば、活躍出来なかったけど、試合には最後まで出続けた様な、ぼんやり大まかなルールは理解している人だ。
あ、ちなみに書き始められなかった人は、ルールが分からないと行動しにくいっていう、まあ、普通の人だね。
と言う事で、気を取り直して始めよう。
文字を記録する物を用意して貰ったのは、いきなり物語の「清書」を書いて貰う為でも、「習作」を作る為でも無いんだ。
まず、最初にする事は……
そう、この章のタイトルだね。
これから書こうって物語が「誰の物語なのか?」を認識して欲しいんだ。
誰って、誰?
誰の物語かって、これだけだと良く分からないよね。
例えば、主人公を描くのだから、そういう意味では「主人公の物語」だ。
他にも、読んで欲しい相手、つまりは、読者に向けて書くって意味では、「読者の物語」でもある。
でも、結局は、あなたが考えて、あなたが正しいと思う世界を物語にしていくと思う。
つまりは、「あなたの物語」だ。
これらは、全部正しい。
混乱してきた?
ああ、ごめんごめん。
つまりは「手紙」と同じなんだ。
手紙書かない?
でも、メールやメッセージアプリぐらいは、使うよね?
あなたが正しいと考えた事を、あなたと言う主人公に乗せて、読者に伝える。
それが「手紙」だよね。
物語って言うのは、基本的に同じ事でね。
誰かが考えた正しい事を、主人公と言う例え話の登場人物に乗せて、誰かに伝える。
これが、物語の基本なんだ。
つまり、物語を作るって事は、だ。
あなたが考えた正しい事を、あなたが描く主人公を通して、あなたが伝えたいと思う相手に伝える。
って事なんだ。
その上で、面白かったり、興奮したり、そういう面が出てくる訳だね。
これを認識すれば、階段を一段のぼった様な物。
あなたが作る物語は「あなたの物語」であって、他の誰の物語でもない。
誰かをモデルにしたり、何かに影響を受けても、それは「あなたを通している」限りは、「あなたの物語」なんだね。
あなたが伝えたいぐらい価値がある物事
って事で、せっかく文字を記録する準備をして貰ったんだ。
まず最初にして欲しいのは、どんな形式でも構わない。
あなたが本心から「伝えたいぐらい価値がある物事」を書いてみて欲しい。
ああ、また混乱する?
抽象的で分からない?
そもそも、抽象的がわからない?
抽象的って言うのは、曖昧、つまり、ぼんやりした言い方って事ね。
この記事を読みに来てるって事は、物語を書こうとか、知りたいとか思っている筈だ。
だ、だよね?
イメージしてる物語とか、または目指している物語が、
例えば「フェイトみたいな話」とか「コードギアスみたいな話」とかって人もいれば、「ヒッチコック作品みたいな」とか「スピルバーグ作品みたいな話」って人もいると思う。
単純に「美少年いっぱいの世界」とか「美少女いっぱいの世界」を作りたいとか、「自分の考えた理想のファンタジー」とか、あると思う。
そういうので良い。
まずは、そういうので良いから「見える化」しよう。
自分の趣味趣向を、誰も見てないし恥ずかしくないから、洗いざらい、包み隠さず、自分の目の前に並べて見て。
あなたの「好き」を「見える化」して。
それで、その中から、仲間でも、家族でも、友達でも良いから「自分以外の誰かに伝えたいぐらい価値がある物事」を、選んで欲しい。
あなたに、好きな映画があるとして、それをあなたの大親友に知っているか聞いたら、知らないと答えたとしよう。
あなたは、大親友が見たら、確実に映画に感動すると感じたとする。
ハラハラ、ドキドキ、ワクワクを伝えたいから、あなたは好きな映画を推薦しようとするだろう。
その「これを共有したい!」と言うのが「伝えたい価値のある物事」だ。
あなたの作ろうとしている物語には、必ず「伝えたい価値がある物事」がある筈だし、もし無いのなら、それを考えなければならない。
その答えは、「あなたの中にしかない」。
この「伝えたい価値がある物事」に、貴賤は関係ない。
恥ずかしがったら、そこから先には進めない。
少なくとも、あなたは「あなたが伝えたいと感じる程の価値ある物事」を伝えたい相手にさえ共有出来ない。
あなたである必要性
あなたが物語を作るからには、あなたを通さなければ作りようが無い。
大事なのは、あなたを通した上で、あなたが正しいと、伝える価値があると感じた事でなければ、物語として正しく機能しない事を、あなたが認識する事だ。
あなたの頭は、あなたと言う価値観を備えた「伝える価値があるか判断するフィルター」の役割がある。
このフィルターを通して、あなたの基準で合格した要素で、物語を作る。
だからこそ、あなたの物語となり、あなたが「伝えるべき価値ある物事」と感じた事柄が、あなたが伝えたい人に伝わる。
これが、あなたが不合格を出した要素を、あなたが納得していない状態で扱い、あなたが「伝える価値を感じない物事」を、想像もつかない誰かさんに伝える為にストーリーテリングをすれば、どうなるか?
そこには、物語の形こそしているが、伝えるべき価値を内包しない駄作が爆誕し、あなたは技術不足では無く、創作者とし失格の烙印を、想像もつかない誰か達に容赦なく押される事になりかねない危険性がある。
「物語を作る人があなたである必要性」は、プロの世界であっても軽んじる人がいるが、決して軽んじてはならない。
他人に言われて適当に書いた営業メールには、誰一人感動させる力など無い。
あなたは、あなたの意志で、あなたと言うフィルターを通して、伝えるべき価値ある物事と向き合い、伝えたい相手を想像して、価値を共有する必要がある。
だからだろう。
ラブレターに例えられる事があるのは。
確かに、良い例えだ。
相手を想像し、あなたはあなたの想いを伝えるべき価値があると信じて、手紙に込める。
そこには、物語を作る上での必要な姿勢が、確かに見て取れる。
終わりに
「伝えるべき価値がある物事」を共有する事が、物語の基本って話でした。
それには「あなたである必要性」があり、その必要性の理由を認識してると、初歩的な失敗を回避できるよって感じ。
ま~たまた抽象的だし、ま~だ物語の一側面って感じだけど、結構大事な話なわけです。
スポーツで言えば「選手として参加して、自分で考えて勝つ為に動かないとダメ~」みたいな話。
すっごい当り前なんだけど、人によっては。
でも、本当に人によっては、でね。
「物語」に対して「そもそもの正しい認識」が出来てないまま「思い通りに書いてるんだけど上手く行かない」みたいな人って、かなり多いんだ。
「シンプルに見えるから、がむしゃらに行動する」って感じの人。
スポーツで言うと、見た目のイメージだけで知った気になってる状態。
短距離走や長距離走なら、知らない人からすると「とにかく早く走れば勝てる」って思いがちじゃない。
がむしゃらに頑張れば、ある程度は速く走れるって言う。
だけど、実際は短距離と長距離で使う筋肉が違うからトレーニング法が異なるとか、靴も作りから違うとか、走るフォームも違うとか、フォームでもいろいろな種類があったり、試合形式によって駆け引きも違うし、って、それはもう「奥が深い」よね。
一つのフォームでも、腕の振り方、足の出し方、足の地面の踏み方、より早く、より上手く、一流になればなるほど、より具体的で、細部まで洗練されていくのがスポーツでは当たり前。
けど、知らない人や、まだ分からない人から見ると「とにかく早く走っている」って所しか認識できない。
物語づくりも、そういったスポーツと同じで「奥が深い」んだけど、知らない、分からない人には「わかりやすくて、とにかく面白い」って認識のレベルだったりね。
まあ、こんな感じで、階段をのぼっていく記事になる予定です。
のんびりでも「実際に考えて、行動すれば」書き方が身につくレベルに出来ればとは考えています。