どうやって物語を組み立てるのか
物語とは、「伝えるべき価値がある物事」を登場人物の行動で表現して、伝えたい相手に伝える為の表現方法の一つと言う事だった。
行動を「伝えるべき価値がある物事」に合わせてデザインし、「動機」と「目的」を主人公が持てるシチュエーションに設定する事で、物語は動き出す。
- 親子愛を伝えたいなら親子愛を感じ取れる行動を
- 可愛さを伝えたいなら可愛さが感じ取れる行動を
- 理不尽さへの怒りを伝えたいなら理不尽な状況と怒りを感じるリアクションと言う行動を
その中で、主人公の行動は「伝えるべき価値がある物事」を表現する為にデザインされている。
- 可愛さのデザインであれば、動物的可愛さ、幼い可愛さ、様々な可愛さがある
それと同時に、主人公が持つ「目的」の達成に行動は常に向かっている。
そこには、主人公にモチベーションをもたらす「動機」がセットであり、「欲望」か「状況」が主人公を突き動かす。
- 可愛さを伝える為の登場人物、その「動機」が「好きな人に構って欲しい」として「目的」は「仲良くなる」だとしよう。
- すると「目標」として「心地良い交流」をする事等と出来るだろう。
- その為の行動は、「可愛い」事と同時に「目的に向かって」一貫したデザインが出来るのが分かる。
その状況を「起承転結」によって、パラダイムに沿っているのか比較する事で、不足が無いかチェック出来る。
更に「要素の因果関係が、矛盾無く全て繋がっているか」と言う観点が加わる事で、物語が「機能しているか」を論理的に評価する事が出来る。
と、
ここまでのレッスンで、着実に積み上げてきた事で、物語に必要な物は理解出来たし、簡単な物語であれば作る事も出来る様になった。
なったよね?
でも、待って欲しい。
このアプローチは、本当に、あなたに合っていただろうか?
あなたに合ったアプローチ探し
まず、最初に言っておくと、ここまで学んで来た要素は、どの道必要な考え方だし、わざわざ考えなくてもあなたが面白い物語を作れば、自然と満たされる類の物って事。
つまり、学んで来た要素をわざわざ「排除した作品」を作ろうとしない限り、空気の様に付き合っていく事になる。
あなたには「伝えるべき価値がある物事」が必要だし「行動」「目的」「動機」「登場人物」「世界観」等々は、物語作りでは欠かせない訳だ。
どんなに言い方や考え方を変えても、あなたは登場人物の行動に一貫性を持たせてデザインする事になる。
しかし、組み立てる順番は、あなたの自由だ。
むしろ、あなたがやり易い方法で、あなたは物語を組み立てる必要がある。
絵を描くのに、あなたが全体のバランスを見て描き始めるか、キャラクターの顔を真っ先に書くか、消失点を決めるのが先か、それぐらい違って良い。
あなたの発想の原点
あなたのアプローチが「伝えたい事」から始まる必要も「伝えたい相手」が予め、いる必要もない。
それらは、作っている途中で認識出来れば構わない事もある。
完成後に探す事は推奨出来ないが、製作途中に気付けば良い事だ。
過去記事で
なんて記事があるので、参考になれば嬉しい。
発想の原点が、あなたが「物語を作りたい」と興奮する瞬間がどこにあるかで、スタート地点が異なる。
スタート地点が異なれば、アプローチも当然変わる。
例えば、あなたが自主的に「エベレスト」に行かなければならない理由が出来たとして、あなたの今いる場所によって、そのアプローチが異なるのと同じ事だ。
大陸にいれば、あなたは電車や自動車で行くかもしれない。
日本に住むなら、船か飛行機が必須となる。
山頂に行くにしても、どのルートで行くか、あるいはヘリコプターを使うのかでアプローチは違う。
あなたは、もしかしたらハウツー本や創作教室、そして、この連載記事に従う事で、物語作りの「やり方が分かる」と考えていたかもしれない。
だが、実際は違う。
それらは「比較的楽が出来る一例」を示されるだけで、本当の意味であなたに合った「あなたの創作アプローチ」は、あなたが自分で選ぶ必要がある。
スタート地点だけでも多種多様で嫌になるかもしれないが、難しくはない。
あなたが「自分に合っている」アプローチを、選べば良いだけだ。
その方法は「色々試す」か「慣れ親しんだ物を使う」以外に、無い。
物語作りは、簡単だ。
そして、難しくないが大変と言う意味が、分かっただろうか。
自分に合ったアプローチが分からない、または探したい場合は、様々な試行錯誤をする必要がある。
その個々は、どれも簡単だが、一個一個試すのも、自分の責任と判断で決めるのも、実に大変って事だ。
山頂に行きたいけど、どうやって?
引き続き、エベレスト登頂を例えに話を進める。
スタート地点が違えば、アプローチが変わる事は分かった。
あなたの性格、置かれた状況、様々な要素によって、たどり着くまでのアプローチも違う事も分かるだろう。
上の例えでは、乗り物やルートで例えた。
それだって、あなたの懐事情、使える時間等によって変わってくる。
あなたに資金があり、時間に余裕があるのであれば、豪華客船で近くに向かった後にヘリコプターで登頂し、セルフィを撮影して帰宅する事も出来るかもしれない。
しかし大半の人は、おいそれと、そうはいかないのが現実だ。
あなたが頑固な場合、そもそも乗り物に乗る事を拒否する事が考えられる。
あなたは、行く先に海や砂漠がある事に気付かず、泳ぎと歩きだけで、エベレストにたどり着くまでに数年を要する計画を知らず知らずのうちに立てる事だって、十分にあり得る。
冗談抜きで。
また、あなたに時間もお金も無い場合は、無茶な日程でエベレストに向かう事だってある。
あなたに時間やお金はあっても、行き当たりばったりで大変な旅になる事だってある。
エベレスト登頂に例えると、どれも「何をバカな」と思えるかもしれない。
だが、これが物語作りになると、あなたも、もしかしたら平然と「何をバカな」をしてしまう可能性は、十分に有るのだ。
鍵となるのは、あなたの計画性だ。
計画性がアプローチを変える
物語を作る上で、この記事では「伝えるべき価値がある物事」の設定を最初に持ってきた。
それは、旅であれば「楽しみ」から考えれば、楽しい旅が出来る可能性が高まると考えたからだ。
また、このサイトでは「結末」から考える事を、どちらかと言えば推奨している。
それは、旅で言えば「目的地」が決まっていれば、どうやって行きたい場所に向かうかが、かなり考えやすくなるからだ。
しかし、あなたが「旅は目的地も楽しみも決めず、現地のあるがままを楽しむ」と言うスタイルだったり「計画なんて、しゃらくさい」と言う信念で動いている場合は、別のアプローチが必要になる。
要は、計画を立てる事が「面倒」だったり「苦手」だったり、「あえて計画を立てない事のランダム性」にアプローチの主を持ってくると言った場合だ。
その場合、どうなるか?
計画とは、行動の設計図だ。
旅なら、地図にピンを刺していったり、旅のしおりを作るって感じになる。
地図やしおりの無い旅は、確かに、それはそれで楽しそうにも思える。
だが、これを建物で例えて見ると、物語作りでの難しさが、一気に見えてくる。
設計図を作らずに、そこにある材料や、追加で必要に応じて足した材料で、コツコツと建物を建設する光景を考えてみて欲しい。
急に、少し不安にならないだろうか?
少なくとも、あなたが施工会社に家づくりを頼む際、そのアプローチをする建築士には頼みたくないだろう。
となれば、計画を立てるのと無計画で、どちらが簡単か、考えれば分かると思う。
分かる、よね?
無計画的になればなるほど、始めるのが早くなるが難易度が爆上がりする。
計画的になればなるほど、始めるまでが遅くなるが難易度は激減させられる訳だ。
無計画で上手く行く、その様に見える物は、実は「実行者に経験値があったり」「膨大な知識があったり」「天才だったり」「異常に機転がきいたり」そういう「個人に内包された、外から見えない計画書や判断材料」がある場合が殆んどだと、初心者ほど、一度は認識して欲しい。
アドリブで面白い事をするのは、かなり難しい。
芸能人でも、アドリブやアクシデントへの対応でこそ、能力が問われる瞬間がある事も多い。
笑点とか、大喜利と一緒だ。
準備が不十分な素人が、無計画に面白い事をするのが、かなり難しい。
即興が出来る人は、物凄い準備をしているから、出来るのだ。
だが、
計画を立てれば良い、準備をすればいいという簡単な話でもない。
計画性が低い人は、計画を立てるまでで心が折れたりしてしまう。
逆に、計画性が高すぎる人は、細かな計画を立案して、安心して燃え尽きてしまう事もある。
計画性は必要だが、設計図が完璧である必要はない。
あなたに合った「情報密度の設計図」を、作る事が大切って事だ。
終わりに
あなたに合った物語作りの計画を立てる必要がある、って話でした。
あなたがやり易い事、慣れれば苦では無い事、何よりも計画を練っていて楽しめる方法の模索が、あなたが簡単に物語を作る上で、役立つ筈です。
物語を最後まで完成出来ない人は、一度、馴染みのアプローチを手放して、別のアプローチを試せば解決する事も、多々あります。
面倒で大変ですが、結果的に簡単で楽しいが手に入る可能性があるので、お困りの人は是非。