物語をつくる時によくあるテーマに関する6つの失敗

テーマの失敗と原因

テーマに苦しむクリエイターの何割かは、そもそも物語のテーマが何なのか、よくわかっていない事も多い。

この記事で、テーマがどんな物なのか、失敗例を通してビシッと理解して貰いたい。

目次

  • テーマとは
  • 1:モチーフのテーマと混同している
  • 2:ストーリーのテーマになっていない
  • 3:テーマが疑問を投げかけていない
  • 4:テーマが曖昧過ぎ
  • 5:テーマの絞り過ぎ
  • 6:テーマに普遍性が無い
  • 終わりに

テーマとは

ストーリーのテーマとは、

  • 物語を通して、様々な表現をされる、一つの疑問

です。

ストーリーのテーマを掴むには、

  • 主人公の行動
  • 行動に関わる、葛藤
  • 葛藤を持ちながらも行動しなければならない、動機

の3要素に注目する必要があります。

まだ、分からなくても大丈夫です。

例えば、

漫画「ドラゴンボール」の開始初期、主人公の行動は、

  • 「願いを叶えるドラゴンボールを集める事」

です。

葛藤は、

  • 「ドラゴンボールを集める過程に、様々な危険がある事」

です。

葛藤しながらも行動する動機は、

  • 「仲間に危険でも叶えたい願い事がある為」

です。

つまり、ドラゴンボールの連載初期のテーマは、例えば、

  • 「仲間の願いを叶える為に、危険な旅をする価値があるか?」

みたいな感じに表現出来ます。

結果的にドラゴンボールによって願いは叶いませんが、悪を倒し、旅を通して仲間は願いを別の形で叶え、ドラゴンボールによって叶えられる願い事以上の価値ある物を手に入れる事になります。

なんとなく分かりましたか?

では、失敗例を見ていきましょう。

1:モチーフのテーマと混同している

「この物語のテーマは何? 主人公が何をする物語なの?」

クリエイター各々のオリジナルの物語や、有名作品の分析をしてもらう際、聞くと返ってくる答えで、

  • 「ファンタジーだから、魔王討伐?」
  • 「メイドなので、恋愛かな?」
  • 「モンスターが出てくるから、冒険やバトルとか?」

と言うのがあります。

このパターンは、モチーフテーマは決まっているがストーリーテーマが決まっていない場合に起きる物です。

大抵は、主人公の行動がしっかりとデザインされていないので、物語の雰囲気や絵面は想像出来るのだが、具体的な行動のイメージが出来ないと言う状態になります。

そのまま物語を紡ぎ始めると、ストーリーテーマが散らかった、悪いと存在しない空っぽな物語が出来上がる事になります。

大事なのは『主人公の行動』です。

主人公が何をする物語なのかが決まらなければ、魅力的な物語を作るのは難しいのです。

2:ストーリーのテーマになっていない

上と同じ様に「物語のテーマは?」と聞いたとする。

この質問に返ってくる答えで、モチーフと混同していない時に多いのが、次のパターンがあります。

  • 「愛です」
  • 「家族についてです」
  • 「仲間との絆です」

このパターンは、惜しい。

モチーフとの混同よりも、ストーリーテーマについて考えようと出来ている。

でも、足りないんです。

これらは、あくまでもストーリーテーマの要素であって、物語のテーマとしては「何も言っていないのと同じ」なのです。

ストーリーテーマとは「テーマカラーは赤です」みたいに単純な物では無い。

例えば「愛」であれば、物語の劇中では愛を様々な形で表現しなければならないわけです。

だが「愛」を様々な形で表現するとして、

ある場面では「主人公は朝食のコーヒーを愛している」事が描かれ、

ある場面では「子供への無償の愛」を描き、

ある場面では「趣味の釣りを愛している」と言う事が描かれても、

「愛」をテーマとして描いているが、それでは物語に一貫性が生まれない。

テーマとして定めるには、テーマを構成する要素の一つを決めるだけでは足りないのです。

「愛」を様々な表現で表した時に、貫く一つの要素が必要となる。

そこで、次がポイントになります。

3:テーマが疑問を投げかけていない

ストーリーのテーマは、いつでも疑問を投げかけなければならない。

忘れてしまう人がいるが、最初の方で書いた通り、疑問が重要なポイントになる。

それは、ストーリーの基本的な考え方が、謎と答えの提示だからです。

上で例に出した「愛」であれば、愛についての疑問をテーマに据えるべきなのだ。

例えば「愛」をテーマにしたいと考えた場合、そこにどんな疑問を置くかで、物語の種類が変わってしまう。

  • 愛の為なら何をしても良いか?
  • その愛は、真実の愛か?
  • 愛とお金のどちらが大事か?

疑問を投げかけないテーマは、ストーリーのテーマとしては機能していない。

また、疑問を持たせる際は、葛藤も同時に持たせる必要がある。

だから、

  • 人は、なぜ生きるのか?

では疑問があっても葛藤が足りず、例えば、

  • 人は不幸であっても、なぜ生きるのか?

の様に、要素を足す事でテーマとして機能する様に出来る。

葛藤を持った「どちらも選びたい」か「どちらも出来れば選びたくない」とか、そんな状況を想像しやすい疑問であるほど、物語を考えやすくなる。

これは、同時にストーリーで言いたい事を断言してしまうとテーマでは無く、メッセージとなる事も意味する。

例えば、

  • 愛はすべてに勝る。
  • 真実の愛とは、こうあるべきだ。
  • お金と愛なら、愛の方に大きな価値がある。
  • いつか幸せを掴む事が出来ると信じているから人は生きられる。

と断言するのでは、物語の結末で示されるストーリーのメッセージとなってしまうのだ。

そこに至る為の疑問こそが、ストーリーのテーマであるわけだ。

4:テーマが曖昧過ぎ

ちゃんとストーリーのテーマを決めた筈なのに、なんだか物語のテーマが散らかって感じる事があります。

そういう時は、テーマが絞られてない可能性があるんです。

例えば、

  • 愛の為なら何をしても良いのか?

では、曖昧な時がある。

その愛が向けられる物が、家族なのか、友人なのか、ペットなのか、趣味の物なのか、自分に向けられているのか、そう言った具体化が足りないのだ。

そういう時は、

  • 愛する子供の為なら、何をしても良いのか?

と言った具合に具体化する事で、ストーリーのテーマが定まり、内容が散らかる事を防ぐ事が出来る。

具体的にするだけで、焦点が絞れ、ピントが合うと言うわけだ。

5:テーマの絞り過ぎ

逆に、テーマを絞り過ぎてしまう例もある。

そうすると、出来る表現の選択肢が減ったり、バリエーションも限られてしまい、どこか窮屈な物語となるパターンです。

例えば、

  • 愛する子供の為なら、泥棒しても良いか?

では、子供の為に泥棒をする事しか描けない。

それが、テーマだからだ。

テーマは、指標であると同時に制限でもある。

だが、

  • 愛する子供の為なら、犯罪を犯しても良いか?

であれば、窃盗以外のバリエーションが使える事になる。

これを更に、

  • 愛する子供の為なら、悪いことをしても良いか?

と抽象化すれば、法に触れずとも、嘘をついたりと言った悪い事までテーマの視野に入れる事が出来る。

つまり、ストーリーのテーマは、丁度良い抽象度かつ具体度が必要なのだ。

6:テーマに普遍性が無い

これも、時々だが見る事があります。

テーマが、ニッチかつピンポイント過ぎるか、そもそも前提として間違っている物を肯定しようとしている、そんなパターンです。

例えば、

  • 愛する子供の為なら、罪を犯しても良いか?

であれば、子供と言う普遍的要素によって、共感を得られる。

しかし、

  • 愛する猫の為なら、罪を犯しても良いか?

となると、共感出来る人の分母が減る。

子供と猫では、この場合に罪と天秤にかける物として、釣り合うと考える人が減る可能性が高いからだ。

これが、猫からミジンコに変化すれば、より分かり易い。

  • 愛するミジンコの為なら、罪を犯しても良いか?

となると、共感出来ない、あるいは共感がかなりし難い人の方が多い筈だ。

もっと二ッチに出来る。

例えば、

  • 飼っているミジンコの為なら、人を殺しても良いか?

ここまで来ると、主人公が狂人なのは間違い無いし、どこに共感して良いのか分からない。

これらは極端な例だが、ストーリーのテーマを奇抜にしてしまう人が時々いる。

アート系の作品なら、止めない。

だが、エンターテインメント系の作品の場合、ストーリーのテーマは誰でも共感出来る普遍的な物で、モチーフのテーマは初めて見る様な新規性のある物にする事が、基本であり、原則だ。

共感出来ないストーリーのテーマは、イコールで見る人を選ぶ事になるからだ。

終わりに

この記事がきっかけで、ストーリーのテーマを掴んで使いこなせるクリエイターが増えれば嬉しい限りです。

このブログは毎日更新しているので、良ければ、フォロー・ブクマ・お気に入り・イイネ等々、どしどし下さい。

単純に嬉しいし、励みになります。

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