ヒーロー物海外ドラマトップクラスの面白さ
現行、海外ドラマのスーパーヒーローは2種類ある。
マーベルブランドの「デアデビル」「ジェシカ・ジョーンズ」「ルーク・ケイジ」「アイアン・フィスト」のシリーズ群と「エージェント・シールズ」や今後作られる映画スピンオフシリーズ、そして「レギオン」等の単体物。
もう一つが、DCブランドの「アロー」「フラッシュ」「レジェンド・オブ・トゥモロー」「スーパーガール」のシリーズ群と「ゴッサム」「タイタン」等の単体物。
スーパーヒーロードラマは、とにかく並行してい進む数も膨大で、シリーズ群と言う事で横に繋がりがあり、初見には手が出しづらく厄介だ。
一度出遅れると、とにかく手を出しにくい。
他に、映画のイメージで手を出そうとしたら、内容が終始暗かったり映画に比べてスケールダウンしてしまったりと、残念な事もある。
そんな無数にあるスーパーヒーロードラマの中で、今回紹介したいのが「ザ・フラッシュ」だ。
あえてヒーロー物を、それもシリーズ群の一つを、なぜ薦めるのか?
それは、ヒーロー物と言う括りでなくても海外ドラマの中でトップクラスに面白く、キャラクターが魅力的で、比較的明るいので万人に薦めやすいという、超優秀作品だからである。
フラッシュが面白くなければDCブランドのドラマシリーズ群は、恐らく肌に合わないだろうと言う指標になるのも、今後の良い判断材料になるだろう。
フラッシュ(THE FLASH)
主人公のバリーは幼い頃に謎の人物に母親を殺され、父親が殺人の罪で服役していた。
成長したバリーは警察の鑑識で働きながら、母殺しの真犯人へ繋がる手がかりを探す人生を生きて来た。
そんなある日、町にある研究所の粒子加速器が暴走し、バリーは粒子加速器から発生した雷にうたれ、その衝撃で様々な薬品を身体中に浴びて意識を失ってしまう。
目覚めると事故から時間が経過し、バリーは体感速度と移動速度を操作できる特殊能力を授かっていた。
しかし、特殊能力を授かったのはバリーだけでは無く、特殊能力を持った犯罪者によって町は危機にさらされていた。
対抗出来るのはバリーと、粒子加速器暴走の責任を取ろうとする3人の研究者、所長のハリソン・ウェルズ、恋人を事故で亡くしたケイトリン・スノー、機械工学の天才でお調子者のシスコ・ラモンだけと言う事になり、人知れずヒーロー活動を開始する事となる。
これがフラッシュの大まかな物語だ。
フラッシュの物語が特に優れている所の一つ目は、モチーフの使い方にある。
メタヒューマンと呼ばれるようになる特殊能力者の力は、一人一つなのだが、その風呂敷の広げて行き方が上手く、さすが名作のアメコミ原作と言った所もあるが、単純に監督や脚本家による料理の仕方が滅茶苦茶うまいのだ。
主人公バリーの能力は、早く動く事。
これだけだ。
最初は、目にも止まらない速さで走ったり、「009」の加速装置や「JOJO」のザ・ワールドの様な事が出来るぐらいである。
それだけでもかなり強いのだが、バリーの能力には成長の上限が見えない。
強くなれば、どこまでも速くなっていく。
この設定が、バリーの成長を劇的に描くのに一役買っている。
例えば、ビルの壁を駆け上らなければならないと言う事件が起きると、バリーは壁蹴りでビルを駆け上がるには時速何キロ出せば良いかと言う目標が出来る。
最初は、そういうレベルから始まる。
そして徐々に、レベルが上がっていく。
壁を登れるようになったら、水の上を沈まないで走るには時速何キロ出せば良いか?
音速を超えるには時速何キロ?
次元の壁を突き破るには?
時間を超えるには?
そうやって、バリーは成長し続け、悪と戦いながらも自分の母殺しの犯人を追い続ける。
バリーの心の成長と能力の成長、そして、犯人捜しの進捗具合が上手く連動していてヒーローとして強くなる程にバリーは本来の目的にも近づいていく。
それだけでもかなり面白いのだが、フラッシュが凄いのは、犯人が分かった状態で物語が進む所にある。
つまり、その点ではミステリーでは無く、サスペンスなのだ。
見始めればすぐに母殺しの真犯人自体は、あっさりと判明する。
だが、その動機はなかなか分からず、シーズン1のクライマックスになるまでバリー達は気付けず、捕まえる事も出来ない。
しかし見れば分かるが、真犯人が悪人なのに、視聴者は真犯人の事を魅力的だと思ってしまう筈だ。
ずっとすぐ近くにいるヤバい奴なのに、圧倒的に魅力的な真犯人が用意されているのだ。
毎話のスーパーヒーローとしての悪人退治、ヒーローとしてのバリーの成長、それらに伴うバリーの追う事件の真相への接近、そして、それらの裏で見えていながら捕まえる事が出来ない真犯人の暗躍によるサスペンス。
見れば分かる。
見始めたら止まらなくなる。
そんな珠玉のスーパーヒーロードラマなので、良質な物語を見たい人は是非見てみて欲しい。
ちなみに、私が一番好きなキャラクターは、バリー達をメンターとして育ててくれるハリソン・ウェルズである。
おまけ
余談だが、バリーの父親役の俳優は、旧ドラマ版「フラッシュ」の主人公を演じていた役者さんだ。
これが、シーズン2以降、往年のファンを唸らせる展開に繋がっているという勿体ぶった物言いをしておきたい。
「おっ!? すっげ~!!」ってなるから。
フラッシュはアマプラでも見れるが、HuluやNetflixなら見放題で視聴出来るので、見れる環境の人は是非。