『ピクサーが物語を作る時の22の法則』を解説

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1 Pixar’s 22 Rules of Storytelling

Pixar’s 22 Rules of Storytelling

ネット上では有名ですが、ピクサーで活躍されていた絵コンテ作家のエマ・コーツ氏がTwitter上で述べた物語を作る上で重要ポイント集が「Pixar’s 22 Rules of Storytelling」です。

この記事では、なぜ重要なのかを補足説明していきます。

1:成功することより、挑戦する事においてキャラクターを敬服する。

物語は、登場人物による問題解決に向けた行動によって前に進みます。

問題解決に向けた行動とは、すなわち『挑戦』です。

挑戦の結果、初めて成功の可能性が生まれます。

つまり、成功には『挑戦』が必須と言う事です。

人は、時に失敗する事もあり、必ず成功するとは限りません。

ですが、登場人物が問題に立ち向かうと言う『挑戦』をした事実に、挑戦を続ける姿にこそ、見る人を感動させる力が宿ります。

難しい事を成し遂げようと『挑戦』と言う行動を起こした、その姿勢こそ尊い物なのです。

2:書き手としてではなく、観客として何が見たいかを常に念頭に置くべき。2つは全く違うものである場合がある。

書き手として見たい物と、観客として見たい物が一致している人と言うのは、実は稀です。

クリエイターは、時に選択を迫られる事があります。

書き手として見たい物、つまり「あなたが書きたい物」と「観客として見たい物」の、どちらを優先して作るべきか?

ベストは、書きたくもあり見たくもある物です。

書き手と観客、二つある別の観点を両立した作品を目指すべきなのです。

次に優先すべきは、見たい物です。

観客が見たい物は、需要が存在する可能性が高く、見て貰えるかもしれないからです。

その次に、ようやくクリエイターが我が儘で、書き手が見たい、書きたい物が来ます。

最後に、当然ですが、書きたくも見たくも無い物は、作るべきではありません。

3:テーマを追いかけることは重要であるが、テーマは物語を書き終えるまで分からないので、とにかく終わりまで書くこと。書き直しはそれから行う。

ここで言うテーマとは、ストーリーテーマです。

主人公による一連の行動に共通するテーマ性によって物語から感じ取る事が出来る物で、最初にテーマが決まっていない作り方の場合、一連の行動を劇中に出し切るまで、真のテーマが見えない事があります。

なので、テーマが曖昧な状態で物語を作る場合は、都度テーマを追いかけつつ、最後まで書き切ってから手直しする事で、シーンをテーマに沿って修正できる様になります。

テーマが曖昧な状態で、途中で直すと、都度テーマが刻一刻と変化していく事になるので、終わりまで書く事が重要なのです。

4:「昔むかしあるところに」「毎日」「ある日」「こういうことがあったから」「そしてついに」という風に起承転結をつけて物語を展開させていく。

物語の基本は、起承転結です。

  • 昔、何かがあった(起)
  • 今は、こういう状態だ(起)
  • ある日、問題が起きた(起)
  • 問題を解決する為に、行動を開始した(承)
  • 行動の結果、問題が解決した(転)
  • 解決の結果、こう変わった(結)

これは、パラダイムと呼ばれる物で、物語の「規範」や「型」に当てはまる物です。

大半の物語がパラダイムに当てはまる為、クリエイターはパラダイムを意識した物語展開を行う必要があります。

5:簡潔にすること、集中すること、いろんなキャラクターがいたらまとめること、回りくどい話は飛ばすこと。価値あるものを捨てている気がしても、それはあなたを自由にしているのだから。

複雑より簡潔な方が、分かり易いです。

分散しているより集中している方が、分かり易いです。

キャラクターが多いより少ない方が、分かり易いです。

回りくどいよりシンプルな方が、分かり易いです。

分かり易い方が、より良い物に作り替える事が容易になります。

分かり易い方が、物語は観客や読者に受け入れられ易くなります。

分かり易さは、強力な武器になるのです。

6:あなたのキャラクターは何が得意で、どんなことに安らぎを感じているのかを考える。そしてその反対のことをキャラクターに投げかけ、挑戦する。キャラクターはあなたの挑戦にどう立ち向かうのだろうか?

挑戦こそが尊いと「1」でお話しました。

挑戦をするには、

  • 得意な事と言う挑戦を可能にする特技
  • 安らぎを感じる物=挑戦してでも守る、手に入れるべき物

が必要になります。

特技が無いと、挑戦しても立ちまわりようがありません。

安らぎを感じる物が無ければ、挑戦する価値をキャラクターが感じません。

挑戦する為には、この2要素を考える必要があると言う事です。

7:物語の途中を考える前にまず終わりを考える。エンディングはとにかく難しいため、話の終わり方に一番の努力をつぎ込むこと。

物語とは、旅に似ています。

旅に出るなら、目的地を決めないと進む方向が分からなくなってしまいます。

最高のエンディングと言う目的地に辿り着くのは、至難の業です。

ですが、最高のエンディングと言う目的地が決まってしまえば、途中に立ち寄るべき場所や、するべき事が見えてきます。

最高のエンディングと言える目的地をまず探し、決める事が、物語と言う旅に出る為には、重要なのです。

8:完璧でなくてもとりあえず終わりまで書くこと。理想の世界であれば、その物語を完璧に書き終わらせられるかもしれないけど、現実では完璧でなくてもとにかく次へ進む。そして次へ進んだら前よりうまく書くこと。

現実的に考えて、完璧は不可能であり、完璧主義は害しかありません。

より完璧に近づくために改善する事と、完璧を求める事は、似ている様で別物です。

クリエイターは完璧に書く事を目指すのではなく、一度最後まで書いた物を、より完璧に近づける為に直すぐらいの心構えで創作を行いましょう。

また、完璧を目指して直しても、より上手く書けるだけで完璧に辿り着く事は決してありません。

ですが、より完璧を、より高見を、より上を目指す姿勢だけは失ってはいけない物です。

「1」の成功より挑戦に敬意を払うと似ていて、完璧よりも上達こそが尊いのです。

9:物語に行き詰った時は「次に絶対起こらない」と思う展開のリストを作る。すると、たいていその中から行き詰まりを解消してくれる材料が出てくる。

「次に絶対起こらない事リスト」とは、固定観念、常識、発想の壁を取り払う為の物です。

リストに出てきた内容が役立つ事もありますが、大抵は頭が柔らかくなり、発想や想像力に柔軟性が生まれる事で、新しい組み合わせを見つける助けとなり、それがスランプの突破口を開きます。

重要な事は、リストを律義に作る事以上に、心や気持ちに余裕を持って、柔らかい頭で考える事です。

10:好きなことはあなたの一部なのだから、好きな物語を使う前に「私はその物語が好き」ということを認識し、あなたが好きな物語から距離をとる。

安易に好きな物語を型として使ったり、好きな物語に固執すると、好きな物語と言う枠から抜け出せなくなる事があります。

自分が好きな物を一度「自分は好きである」と認識する事で、新たな別の可能性へ目を向ける事を浮気ではなく、柔軟なアプローチとして割り切る事が出来ます。

その柔軟性が結果的に、あなたが好きな物語に戻って来た時に、更に良い好きな物語を作れる事へと繋がります。

11:紙に書くことが考え始めることのスタートである。完璧なアイデアでもあなたの頭にある限り、誰とも共有することはできない。

頭の中にある限り、それは何の価値もありません。

言葉に、文字に、音に、映像に、形に、頭の外に出して、他人と共有できる形になって初めて価値を持ち始めます。

アイディアに価値は無く、形にしたアイディアには大きな価値があります。

この形の有無、シェアの可否は、とても重要な事です。

12:1番目に思いついたことは忘れる。2番目、3番目、4番目、5番目……と、考えを深めていき、誰もが思いつきそうなアイデアはどこかへ捨て去ってしまうこと。自分自身を驚かせることが大切。

簡単に思いつくアイディアは、形にしても既に誰かが形にしている可能性が高い物です。

真に価値がある物は、誰もまだ思いついていない、思いついていても形に出来ていないアイディアを、いち早く形に落とし込む事にあります。

簡単なアイディアは、形にしても小さな価値しか生み出せません。

13:キャラクターに意見を持たせること。受動的であったり影響されやすいキャラクターは書きやすいが、観客にとってはつまらないキャラクターである。

キャラクターに意見を持たせるとは「譲れない正しいと思っている事」が明確にあると言う事です。

「正しいと思っている事」があるだけでは、キャラクターは受動的になり、周囲の環境に影響を受けて、流されるだけになってしまいます。

「譲れない正しいと思っている事」がある場合、キャラクターは意見を持ち、間違いや許せない事には、立ち向かいます。

立ち向かうとは、意見をする事であり、これは「1」の挑戦に繋がる要素です。

14:なぜこの物語を伝えなければいけないのか?どんな燃えるような信念を持って物語を書いているのか?それが物語の根幹である。

伝えるべき事が無い物語では、テーマもメッセージも曖昧になります。

伝えるべき事とは、あなたの信じる信念によって決まります。

つまり、「13」で説明した「譲れない正しいと思っている事」のクリエイター版が必要と言う事です。

15:「もし自分が物語のキャラクターだとしたらどう感じるか?」ということを書く。正直さこそが非現実的な物語に信憑性をもたらしてくれる。

「もし自分なら?」は、非常に重要な一つの考え方です。

これによってもたらされる表現の正直さは、物語に信憑性をもたらします。

これは、物語に納得性を持たせる基本テクニックになります。

納得性が乏しい物語は、納得性が低い部分で引っ掛かり、物語を純粋に楽しむ邪魔をしてしまいます。

納得性が一定以上ある事で、物語がフィクションと分かっているのに、物語の中では真実だと感じる事が出来て、観客や読者は自然と物語に没入する事が出来るのです。

16:キャラクターにとって何が賭けで、読み手が応援する理由を何か?ということを示す。そして、もしキャラクターが賭けに失敗したら何が起こるのか?ということをキャラクターにとっての賭けのオッズと共に示すこと。

まず、キャラクターにとっての「賭け」とは、「1」の「挑戦」の事です。

「賭け」に「挑戦」するからには、リスクとリターンが存在します。

リスクが無いと賭けにも挑戦にもなりません。

リターンが無ければ挑戦する理由がありません。

次に、観客や読者は、キャラクターが賭けに挑戦する理由によって、応援したいか否かの感情を持ちます。

だから、挑戦する理由を提示する必要があります。

挑戦する理由、つまり『動機』は、共感出来る物である事が重要です。

他人を傷つける為よりも、断然、愛する人を守る為、愛する人に生きて会うため、と言った動機の方が、より多くの人が共感出来ます。

観客や読者が共感出来なければ、キャラクターを応援する事が出来ません。

応援出来ないキャラクターが挑戦しても、見守る人からすれば、どうでも良いとしか映らない物です。

17:あらゆる作業は無駄にはならない。もし作業がどうしてもうまくいかないなら、今は作業を止めて次に進む。作業にかけた努力は必ず後で役に立つ。

無駄な努力は、ありません。

その時は一見回り道に見えても、あなたと言うクリエイターの長い人生として見れば、回り道で得た経験を活かす場面が、再び来ます。

スティーブ・ジョブズの演説でも有名な考え方ですね。

18:自分自身を理解しなければいけない。自分が調子のいい時と悩んでいる時の違いは何なのかを知ること。物語とは自分自身を試すことであり、自分自身に磨きをかけることではない。

磨くとは、出来上がった物の完成度を高める事だが、クリエイターが行うべきは、新しい物を作り出す事だ。

つまり、自分自身を試すと言う「挑戦」を続ける事がクリエイターの定めとなる。

あなたは、自分の得意・不得意を、ゾーン・スランプを、自分の事を理解した上で「挑戦」する必要がある。

19:キャラクターが偶然トラブルに陥るのは素晴らしいことである。しかし、キャラクターが偶然トラブルから抜け出すことは、ごまかしである。

トラブル、問題の解決に向けた行動が、キャラクターのするべき行動だと言う話だった。

そのトラブルがラッキーによって解決したら、解決に向けた行動は無駄になる。

観客や読者に無駄な時間を過ごさせてはならない。

トラブルが起きるのは、解決に向けた行動をする機会に恵まれた事で、物語として見れば素晴らしい。

だが、トラブルのラッキーによる解決は、解決に向けた行動の機会を奪われた事となり、物語として見れば最悪の事態である。

20:あなたが嫌いな映画の構成の一部を取り出して、どう変えればあなたがその映画を好きになれるか考えてみることが、物語を作る上での練習になる。

名作、良作のシーンを抜き出して「if」に作り替えるのは、物語作りの練習としてとても有用だ。

嫌いを好きに変える練習は、あなた自身の好きなを理解する事、あなたが正しいと思う事を理解する事に繋がる。

21:あなた自身の状況とキャラクターを同一視しなければ、「クール」な物語を書くことはできない。あなたならこの状況でどうする?

「15」と同じ事。

リアリティがクールさを生み出す。

嘘っぽい物は、チープにしかならない。

22:「何があなたの物語の重要な要素なのか」「どうすれば一番簡潔に物語の重要な要素を伝えられるか」ということを理解した時、あなたは物語のスタートラインに立つことができる。

「14」と「20」そして「5」等のポイントを理解した時、物語のスタートラインに立てる様にようやくなるとの事。

※まとめ元http://www.pixartouchbook.com/blog/2011/5/15/pixar-story-rules-one-version.html

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