「冤罪逃亡物語」とは?
ここでは「冤罪で追われる事」をテーマにした物語を解説します。
逃げ続けなければならない環境の中で、真犯人に対処せざるを得なくなった人を扱った物語です。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「難題に直面し、怪物の対処法を探る物語」となります。
解説
冤罪逃亡とは?
まず「冤罪逃亡物語」とは、どの様な物語を指すのか?
この記事では「無実の罪をきせられた主人公が、追手から逃げながら真犯人を探す物語」として解説していきます。
主人公は一般人
この形式の物語の主人公は、一般人です。
特別な技能や経験を持っている事もありますが、主人公は、あくまでもこれから巻き込まれる事件に対して無力です。
医者や刑事と言った社会的に信用が高い職業だったり、事件とは縁のない人が主人公に多いのは、その方が犯罪者として追われる事への落差を出せるのと、逃亡中に助けてくれる人の存在が主人公には不可欠だからです。
巻き込まれる事件
物語が始まると、主人公は、現場に運悪く居合わせたり、主人公が犯人である証拠が何故か見つかり、事件に巻き込まれます。
主人公には、どうする事も出来ません。
映画「逃亡者」では、主人公は妻殺しの犯人として逮捕されてしまいます。
映画「ゴールデンスランバー」では、主人公は訳も分からないままテロリストとして追われる事になってしまいます。
主人公は、冤罪から法権力に追われる事になり、周囲全てが敵となります。
逃げざるを得ない主人公
主人公は、状況に流されるままに翻弄され、助けを求めます。
ですが、周囲の人々にとって主人公は事件の犯人であり、危険人物です。
通報や逮捕等の、社会が主人公を悪と決めつける状況を経験し、主人公には選択肢が与えられます。
大人しく冤罪で捕まり犯罪者として破滅するか、逃亡犯になってでも真犯人を見つけ出し、無実を証明するかです。
映画「逃亡犯」では、一度逮捕され、裁判で死刑判決を受けた後に、護送車が囚人の暴動で事故に遭い、主人公は逃げるチャンスに恵まれます。
映画「ゴールデンスランバー」では、信じていた人に次々と裏切られ、ハメられ、主人公は犯人に仕立て上げられ、逃げるしかありません。
犯人に繋がるヒント
主人公が逃亡者となるまでに、真犯人に繋がるヒントが必ず出てきます。
これが無いと、主人公は真犯人を追う事が出来ません。
映画「逃亡者」では、義手の男が糸口となります。
映画「ゴールデンスランバー」では、主人公を罠にかけた女を訪ねる所から、ギリギリの状況で真相に近付かなくてはなりません。
執拗な追手
主人公は、事件を追う中で、逃亡者と言う事で常に制限を受けています。
その中でも最も恐ろしいのは、優秀な猟犬の様な追手の存在です。
主人公を犯人と決めつけている刑事、真犯人から指示を受けている凶悪な暗殺者、追う理由は様々ですが、主人公を徹底的に追い詰めるハンターの存在は、欠かせません。
映画「逃亡者」では、連邦保安官補のジェラードと言う強力なハンターが執拗に追跡してきます。
映画「ゴールデンスランバー」では、大串と言う暗殺者がショットガンを片手に追跡してきます。
主人公に残された味方
逃亡生活の中で事件の真相に近付く主人公。
ですが、一人では事件の解決は出来ません。
必ず、主人公には協力者が必要になります。
事件の謎を解くには、主人公を信じて力を貸してくれる人々の存在が不可欠です。
映画「逃亡者」では、元同僚が義手の情報を提供してくれて、これにより実行犯の特定が可能となります。
映画「ゴールデンスランバー」では、逃亡生活中に出会った連続殺人犯キルオを始めとした様々な人が力を貸してくれます。
事件の真相と最後の戦い
主人公は、小さなヒントから事件の核心に近付きます。
そして、事件の真相を知り、最後の戦いに挑む事になります。
映画「逃亡者」では、実行犯に命令を出していた犯人に辿り着き、なぜ事件が起きたのかの真相が判明します。
主人公は、突き止めた真犯人と対決しに動きます。
映画「ゴールデンスランバー」では、医者に辿り着きますが事件の真犯人にはたどり着けません。
ですが、テレビ局を動かし、自身の無実を訴えると言う方法で対決姿勢を示します。
フィナーレ
多大な苦労と犠牲の末に、主人公は真犯人やその手先と戦いを制します。
無実の証拠を手に入れていれば、冤罪を晴らす事が出来ます。
仮に冤罪を晴らす事が出来ずとも、主人公が本当に信じて欲しい人達にだけは、主人公が無実である事が知らされた状態で、主人公は自由の身となって物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、突然、冤罪で追われることになった主人公が、真犯人を探しながら逃亡生活をする事で、最後には自由の身になる物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、ハンターでしょう。
ある意味で真の主役は、物語の中で脅威として描かれるハンターだからです。
容赦なく職務に対して忠実に襲い来るハンターに追われる恐怖と、そこからの解放が物語のカタルシスとなります。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
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「冤罪逃亡物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
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