あなたに必要なプロットは? プロットの「距離」と「具体度」について

プロットは怖くないし、面倒でも無い

プロット必要・不必要問題と言う物がある。

これは、そもそもの『プロット観』が違う事で『テーマ』『キャラ』と同じく、内容をややこしくしている問題だ。

今回は『プロット観』を含めた「プロットとは何か」「プロットの距離」「プロットの具体度」について説明する。

プロットとは?

この記事では、ストーリーの構造的な設計図を指します。

ですが、構想、趣向、脚色、筋立て、設計などを意図したり、幅広く使われる事が多い言葉なので、プロット観が「業界・人」によってかなり違います。

  • 映画のシナリオや小説などでは、物語全体の粗筋を前もって構成しておく段階を指します。
  • 漫画では、ネーム作業の前段階で行われる(人によってはネームや下書きと兼用される)作業です。
  • ゲームやアニメでは、時に絵コンテやイメージボードがプロットの様な役割を果たす事もあります。
  • ビジネスの世界では、グラフなどにまとめる事をプロットを作ると呼んだりします。
  • 物作りの世界では、プロットモデル、つまりプロトタイプと言う試作品やテスト品がプロットです。

この様に、業界が変わるだけで同じ言葉なのにプロットの成果物に大きな差が生まれます。

現実には、更に人によってプロット観が大きく違い、この「業界と人によるプロット観の落差」が悲しいすれ違いを引き起こす原因の一つとなっています。

ストーリーに関するプロット

Wikipediaにある説明が、簡潔で分かり易いです。

プロットは因果関係であり、ストーリーは単なる前後関係である。

「王女は雪山に逃げた女王を追う。だから、王女は雪山で女王を見つける」はプロットである。

一方で、ストーリーは、出来事を起こる時間の順序どおり、省略せずに並べた文章であり、プロットとは区別される。

「王女は雪山に逃げた女王を追う。それから、女王は魔法で氷の城を造る」はストーリーである。

このように、「だから」で出来事のつながるものがプロットであり、ただ単に「それから」でつながるものがストーリーである

この「だから」で繋がる物語の設計図によって、プロットは自然とパラダイムに沿った形を形成します。

ストーリーのプロットの基本は、要素を因果関係で繋いだ「だから」の繰り返しによって、構造に絞って形作る事です。

人によって違ってくるプロット観

プロットは、業界で大きく違う以上に、人によって持つイメージが違います。

具体的な「これがプロット」と言う物を既に持っていると、他の人とプロット観を共有する際に「ここが自分のプロットとは違うな」と言う場面に何度も遭遇する筈です。

「プロット観が無い」状態で他人のプロット観に触れると、それが、その人の「基礎プロット観」になります。

では、プロット観は、どこで変わってくるのでしょうか?

そこで気にしたいのが、距離と具体度です。

距離と具体度

プロットの基本は、構造的な設計図です。

例えば、建物を建築する際、大きく複雑な物になるほど綿密な設計図が必要になります。

それと同じ様に、物語作りでも大きく複雑な物を作ろうとするほど、綿密な設計図が必要になる訳です。

ここで重要なのは、業界の差を見ずに、プロットの持つ「完成品との距離」と「完成品に近い具体度」と言う観点で見る事です。

完成品との距離

例えば、映画・小説・アニメ・漫画と言った物語脚本のプロットで考えて見ましょう。

  • 完成品との距離が離れた状態は、途中にある目標までのプロットです。
  • 完成品との距離が近い状態は、結末にある目的地までのプロットになります。

例えば、対戦バトル物の作品を考える際、一戦のバトルの流れをプロットにするなら、目標までのプロットになります。

ですが、一戦一戦の内容よりも、最終的に優勝したりする結末を踏まえたプロットならば、目的までのプロットになります。

この、完成品(結末)との距離は、プロットを作る業界の慣習や人によって様々ですが、概念としては共通している尺度になります。

ちなみに、積算式(積み重ね方式)で創作する人は、短距離のプロットを脳内に持っています。(当り前ですが、短距離でも文章に起こす人も当然います)

逆算式で創作する人は、作品によっては長距離のプロットとなる為、混乱しない様に整理したり、共有する為に『プロット』を文章や絵で形にします。

※積算と逆算による創作は【どっちが得意?】積算式と逆算式で考える物語作りの記事内に解説があります。

完成品との具体度

  • 完成品との具体度が離れた状態は、因果関係のみで記す、構造のみのプロットになります。
  • 完成品との具体度が近い状態は、因果関係を軸に、設定、セリフ、表現、絵、映像、等と情報が増えて行きます。

この具体度が抽象的である程、簡素なプロットとなり、具体的になっていく程に、設計図の枠を大きく超える事になります。

これは、業界によって特に大きく違うプロットの要素でもありますが、概念としては距離と同じく共通の尺度で測れます。

  • 物作りをする業界であれば、ポンチ絵、設計図、プロトタイプと言う試作品の現物を実際に作るまでが、長いプロット期間になる事も多いです。これは、物語と比べるとかなり具体的にプロットを作る必要がある業界である事を示しています。
  • 映像作品では絵コンテがプロットの役割を果たす事もありますが、イメージボードの時もあれば、簡素な文章プロットからいきなり撮影に入る人もいて、実に様々です。「だから」を重ねる文章プロット以上に、構造の設計図を超えた情報量の場合が多い業界です。また、プロットに当たる絵コンテ等の形式がある為、プロット無しで創作する人は少ないです。
  • 漫画では、本当にプロットを一切考えないで勢いで書く人もいれば、描きたいシーンまでの簡素なプロットを考えて書き始める人もいます。他に、結末までの綿密なプロットを考えて書く人もいれば、描きたいシーンまでの綿密なプロットを考えて続きは同じ様に次の描きたいシーンの綿密なプロットを書く人もいますし、結末までの簡素なプロットだけで書きながら具体度を上げて行く人もいます。ネームとプロットが一体化している映像業界に近い手法もあります。ネームや下書きによるプロット制作が当たり前の為、文章プロットを練っていなくてもプロット使用率は高い業界です。
  • 小説や脚本でも、プロット無しで書き始める人は多くいますが、脳内に短距離プロットがある場合と無い場合があり、実は同じ手法を使っていない事も多いです。プロットありで書き始めて、プロットの具体度が高すぎて執筆前にモチベーションを失う人もいたりと、自分に合ったプロットを使っていない人が、かなり多い印象です。また、プロット使用率自体、他のクリエイティブな業界に比べると少ないです。

まとめ

重要なのは、作ろうとしている創作物の性質と、創作者の得意な距離感と具体度を探してやる事です。

完成品との距離感は、人によっては目的地まで決める方が創作しやすい事もあるし、人によっては短距離を重ねて長く繋げる方が創作しやすい事もあります。

完成品との具体度は、人によっては彩色済みのプラモデルを組むが如く、組み合わせだけを考えればいい程に具体的にするのが好みの人もいれば、道筋だけ示されていれば即興で具体的にする方が性に合っている人もいます。

  • 近距離×抽象的(感性で作れる・即興が得意・単純に準備が面倒)
  • 近距離×具体的(目的地よりも、経過や設定にこだわりたい)
  • 遠距離×抽象的(目的地は決めたいが、ある程度自由でありたい)
  • 遠距離×具体的(論理的に作れる・即興が苦手・計画立案が得意)

と分けられ、人によって距離も具体度も様々です。

自分の得意なプロット形式から離れた手法で創作すると本領を発揮できない事も多いので、自分の得意なプロット形式の理解は非常に重要になります。

また、プロット必要・不必要問題を語る上でも、自分と相手のタイプを把握しない事には、結論は決して出ません。

プロットは、創作ツールや制作過程に過ぎず、人によっては必須だし、人によっては要らない事もあり、創作する物によっても大きく変わるからです。

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