「怪奇事件の専門家物語」とは?
ここでは「怪奇事件の専門家」をテーマにした物語を解説します。
ミステリーとファンタジーの要素がある為、人気のあるジャンルです。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「謎を解く中で、怪物を倒そうとする物語」となります。
解説
怪奇事件の専門家とは?
まず「怪奇事件の専門家物語」とは、どの様な物語を指すのか?
この記事では「怪奇事件に詳しく、謎を解く強烈な動機に突き動かされた知恵者が事件を解決する物語」として解説していきます。
主人公は探偵の役割を背負う者
この形式の物語の主人公は、優秀な頭脳を持っています。
機転が回るだけでなく、関わる事件の解決に必要な専門的な知識や経験に恵まれ、その多くは特性である知性を生かせる職業や立場についている事が多いです。
専門家では無い場合でも、専門家へのコネクションを持っていて、助力を求める事が出来ます。
なので、そこに解かなければならない奇妙な事件が発生し、主人公が解決しなければならない動機があれば、どの様な立場でも探偵の様になり得ると言う事になります。
漫画「地獄先生ぬ~べ~」では、主人公は教師ですが、同時に霊能力者でもあります。奇妙な事件解決の依頼が入り、幽霊や妖怪に日夜対処しています。
小説「化物語」では、主人公は高校生ですが、同時に吸血鬼になった過去があります。吸血鬼になった過去に知り合った専門家とのコネクションがある事で、事件が起きても助けて貰える状態なのです。
舞い込む事件
物語が始まると、奇妙な事件が主人公のもとへ舞い込みます。
この時点では事件の全容は、殆ど分かっていません。
大抵は、被害や被害者が判明していて、何が原因かを、まず捜す事になります。
小説「化物語」では、異様に体重が軽いヒロインと言う奇妙な現象に気付き、主人公は解決に乗り出します。
事件の捜査
主人公は、自分が解決するべきだと確信し、熱心に事件解決に向けて捜査を始めます。
被害者の情報を集め、事件の状況を調べ、そこから導き出される仮説を検証し、事件の真相を絞り込んでいきます。
しかし、助けたい被害者は、全てを包み隠さず探偵役に話す事は、ありません。
奇妙な事件に巻き込まれると言う事は、被害者も何かしらの後ろめたい奇妙な行動を取っている事が殆んどです。
被害者は、後ろめたい事実を隠したまま、あるいは気付かぬまま、奇妙な事件を主人公に解決して貰おうとします。
手繰り寄せる真実
真実に迫れば迫るほど、危険度が増していきます。
時には怪奇現象や怪物に襲われ、いつまでに解かなければならないというタイムリミットが迫っていたりと、緊迫感が増します。
出ている情報から更なる情報を求め、味方や事件の関係者に協力してもらい、重要な証拠に近づきます。
証拠を手に入れる為に
探偵役は、主題となる事件の謎を解くために、それらしい仮説を立て解決しようとします。
ですが、このタイミングでは謎を解くのに必要な情報が足りません。
そこで、証拠を手に入れる為に、探偵役は危険を冒します。
被害者を追い詰め、真実を告白するしかない状況を作るのです。
小説「化物語」では、専門家である忍野によって、怪異が具現化し、ヒロインに襲いかかってしまいます。
真実へ続く扉への鍵
危険を冒し、怪現象の原因との対峙をする事で、選択肢が与えられます。
隠していた真実を明るみに出して真の解決を図るか、隠しままにする事で大事な何かを永遠に失うかです。
漫画「地獄先生ぬ~べ~」では、主人公が妖怪と戦う最中に、霊障の被害者が選択を迫られ、決断によってハッピーエンドかバッドエンドに別れるのが一つのお約束パターンです。
小説「化物語」では、ヒロインが思い出したくない過去を認めるか、自身の重さと母親を永遠に失うかを天秤にかけられます。
最後のピース
被害者の告白によって、集めてきた情報が全て繋がります。
奇怪な事件だからこそ、被害者に巻き込まれる何らかの理由があり、実は自業自得の部分が僅かにでもあると言う事が判明し、物語は一気に解決に向かいます。
真相さえ分かれば、解決方法も落としどころも一気に見えるのです。
フィナーレ
ついに怪奇事件の真相が解明され、被害者が狙われていた理由が明らかにされます。
こうして主人公の協力によって真実が暴露されると、これまで真実だと思い込んでいた幾つかの情報が偽りであった事が分かり、事件全体の見え方が一変します。
被害者は、ただの善人ではなく、怪奇現象には、明確な意思があって襲っている事が分かるのです。
真相を踏まえ、主人公は被害者を助けます。
被害者が悪人なら怪奇現象によって酷い目に遭い、被害者が罪を認める罪人なら被害者は罪を清算して助かります。
こうして物語はフィナーレを迎えます。
アニメ「怪 化け猫」では、化け猫によって娘が死んだ武家屋敷にまつわる秘密が暴露される事で、誰が悪なのかが判明し、裁きが下されます。
漫画「地獄先生ぬ~べ~」では、妖怪が被害者を襲っていた原因が判明し、妖怪を倒すなり、和解するなり、退けるなりして解決に向かいます。
小説「化物語」では、ヒロインが過去と向き合う事で怪異に許され、裏で結ばれていた怪異との秘密の取引が終了し、ヒロインには日常が戻ります。
まとめ
以上、怪奇事件の専門家による真実の暴露によって、被害者と怪奇現象の見え方を一変させる物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、被害者が怪奇事件とどこで関わったのかと言う設定が明かされるまでの過程と、全てのピースが繋がる所でしょう。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
ミステリー
- 謎を追う動機がある主人公
- 探求の為に破るルール
- 企てる必要があった犯人
- 謎の暴露によって変化する世界
モンスターパニック
- モンスターから逃げられない空間
- 貪欲の罪に罰を与えるモンスター
- モンスターの知識を持つ者
「怪奇事件の専門家物語」該当作品
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