大事なのは、何が「あなた」に合っているか
結論から言うと、脚本講座には、意味があります。
ですが、その価値の大きさは人によって大きく変わってきます。
その為、人によっては「学校・スクール・講座・セミナー」に通うよりも、遥かに「独学」の方が効率や費用対効果が大きくなる場合があります。
この記事では、なぜそうなるのか、どうすれば良いのか、どちらを選べば良いのかを解説いたします。
講座の利点と欠点
脚本・小説・漫画、等々の講座には、利点が存在するからこそ意味があります。
利点:基礎・基本を学べる
当り前に思えますが「業界のルール」を知らない人からすると、この利点は、かなりありがたい物です。
どの業界にも、必ず業界に浸透したルールが存在します。
それは、技術的な事以前に、作法や形式的な大前提に関わります。
脚本であれば三幕構成・起承転結やシャレード等は技術、柱・ト書き・セリフ等が作法です。
小説では技術は転用出来ますが、作法が大きく異なり、地の文とセリフで主に構成されます。
漫画でも技術は転用出来ますが、作法は全然違い、ネーム、下書き、コマ割り、ペン入れ、写植等が作法です。
右も左も分からない人からすると、マナー講座の様な作法を教えてくれるのは、地味に助かります。
欠点:基礎・基本から始まりがち
多くの講座で前半に教えてくれるのは「業界のルール」であり「作法」となります。
なので、技術を学びに来たつもりの人は「基礎練習とマナー講習」が延々続いて感じる事で、講座をドロップアウトする事も非常に多いです。
ですが、講座受講者の全員を最低限必要レベルまで育てるには「作法」の習得は必須であり、これは利点であると同時に講座の欠点でもあります。
これは、講座が紋切り型であるが故に、個人を考えたカリキュラムでは無い為に起きる事です。
その点、独学の場合は必要とする技術の載った本を読み、実践して試せば済みます。
もちろん、独学だと出来ているかの判断が難しくなりますが。
利点:創作環境の確保
講座で基礎・基本と同様に重要なのは、創作環境を容易に得られる事です。
これは、
で語った、自分から行動を起こし続ける事が出来る「能動的であり、受動的でない」ストイックさを持つ人が、「健全な目的を持ち、情熱的に目標に向かう」事で、ようやくプロになる入口に立てる。
と言う前提と、一見して矛盾する様にも見えます。
ですが、環境を得る事で初めて能動的になれる人は、かなり多いです。
例えば、講師・教師・師匠等に恵まれれば、モチベーションも含めて、正しい道に導いて貰える事は良くあります。
育てる事が得意な人は、紋切り型に教えるだけでなく、個人を見た上で公平に才能の伸ばし方を考え、モチベーションをも上げようとしてくれます。
他には、共に通う事になる人と友人になれば、作品を見せ合ったり、競い合ったり、お互いの感想を交換する事が出来ます。
見せ合う事は作品制作に対して課題以上の「強制力」を持たせますし、競争は「向上心」を、意見交換は「客観性」の確保に一役買い、これは対等な立場の教師を得るのに近い状態です。
欠点:創作環境がガチャ
こればかりは、どうしようもありません。
例えば、憧れの脚本家・小説家・漫画家が、講師・教師・教授の学校に通ったとしても、ちゃんと講義や教えを受けられるかの確認は事前に必要です。
第一線で活躍している人である程、ゲスト・スポットでの講座参加の確率は高く、悪ければ一度も遭遇する事無く卒業なんて事もあり得ます。
創作系、エンタメ系の講座が抱えるジレンマとして、第一線で活躍している成功者は、新人教育に付きっきりになる事が非常に難しいのです。
現役を引退した・一発は当てた・今は教育に力を入れているが現役、そんな講師に教えを受けられる講座であれば、かなり良い方です。
確認しないで講座を受けると、ひどい時には「講座の卒業生だが出した作品は一作のみで無名」「漫画は描けるがアシスタントをした事があるだけ」みたいな講師が殆んどの授業を受け持つ様な講座も、残念ながら確実に存在します。
ただ、だからと言って「技術はあるが売れない」や「教えるのだけ上手い」と言った人もいる為、一概にプロとしての活躍が芳しくない全講師を否定するのも間違っています。
逆に「一流作家だが教えるのが下手」な人も存在する為、非常に難しい所です。
また、共に通う人と、良い友達になれるとも限りません。
中には、邪魔をする人、批評家気取りで酷評して他人を陥れる人だって存在します。
この場合、創作にプラスにならない誘惑も、邪魔の範疇です。
なので、表現として今風に『ガチャ』なのです。
「あなた」との相性問題もある為、皆が「素晴らしい」と言った先生や友人が、自分には合わない事だってあります。
ですが、ガチャは回して見ない事には結果が分からないので、最後は「あなた」次第となります。
運よく講師や友人で「SSR」を引けば、一気に道が開ける事になります。
これは、独学には無い利点です。
ちなみに、私は「某専門学校」に通っていましたが、講師は大半が「コモン(ノーマル)」で稀に「レア」と言った感じ。
ハッキリ言えば、ハズレでした。
友人は「スーパーレア」が一人いて、その人は無事プロになりましたが、講座に通う前から上手い人で、講座のおかげでデビューした訳ではありませんでした。
利点:コネクション
嫌らしい話になりますが、業界に足を踏み入れる上で、コネの有無は非常に重要となります。
特に、飛びぬけた実力や実績が無い場合は、影響を諸に受けます。
上記した「講師」や「友人」と言った関係以外に、講座にはコネクションが用意されている事が多いです。
例えば、その講座の為だけに業界の人を呼んで批評して貰う場を設けたり、講座の運営と会社が企画した作品制作に参加したり、運営自体が会社をしていて卒業生に採用のチャンスがあったり、実に様々です。
欠点:望まぬコネクション
講座は、実績を欲しています。
なので、講座の卒業生は望まなくても、例え大した世話になていないと感じていても、講座応募ページ等に『卒業生:代表作』と書かれる事があったり、質の悪い講座になると「ただでゲスト登壇」や「ただで仕事を受けて欲しい」なんて話が舞い込んで困る事も。
もちろん、そんな事の方が少ないのですが、だからこそ通う講座は、ちゃんと選ぶ必要があります。
有利なコネクションがあり、黒い噂も少ない方が安心して講座を受けられるでしょう。
独学の場合、投稿や応募、自主発表、同人等をする事になるので、特別なコネクションは利用できませんが、望まぬコネクションに悩まされる可能性も皆無です。
ただし、メールやSNS等でクリエイターを利用しようと近付いてくる怪しい人は存在する為、独学だとしてもリスクがゼロではない事は忘れない様にしましょう。
利点:高度な技術の習得
講座を通う多くの人が、これを体系的に学べる事と、最終的に習得する事を期待して講座に通います。
講師、友人、カリキュラムと、様々な創作の情報がいきかう環境では、知らなかった高度な技術を習得できるチャンスに何度も巡り合えるはずです。
また、技術を試してみて、それを客観的に評価してもらう事も容易い筈なので、これは講座に通う上では大きな利点となります。
欠点:習得できる技術は環境に依存
講師に技術や、高い理解が無ければ、講師の技術レベル以上の事を教わるのは難しくなります。
また、秘伝の技術みたいなものを求めるのは、上手く行きません。
講座に通ったら市販の本をテキストに買わされるなんて事は、普通にあります。
テキストに載っていない技術は、講師や友人から学ぶしか殆んどの場合は無くて、環境で「SSR」を引くでもしない限り、何やら凄い秘伝や裏技は目にするどころか聞く事も無いでしょう。
ですが、専門のカリキュラムがあり、専門的な教育を受けられる講座に当たれば市販以上の情報と技術が得られる可能性が出来ます。
更に、良い講師や友人に恵まれる事があれば、独学では得られない大きな恩恵が存在する事も事実です。
独学の場合、テキスト選びと、実践による習得を行えば、市販の本を使っての講座よりも早く深く学ぶ事もストイックであれば十分に出来ますが、常に客観性の担保が課題となります。
客観的に自分の作品を見るのは、難しいと言う事です。
これが、一人だととにかく難しいのですが、現代ではインターネットによって容易に第三者の反応を得られるため、昔ほど課題の難易度は高くありません。
結局、講座と独学、どっちが良いの?
あなたに足りない物が何かを考えて見て下さい。
では「興味と必要性」を感じた時こそ学ぶべきタイミングと論じました。
今は、そのタイミングですか?
その上で、基礎知識、環境、コネクション、技術、他にもありますが、どれが足りていないでしょう?
講座と独学、どちらが合うかを想像し、まずは片方を試してください。
独学なら、専門書なり必要な技術を探しましょう。
おすすめ書籍が参考になると思います。
講座であれば、どの講座が良いかを見極める必要があります。
※おススメ講座紹介記事も、後日書く予定です。
この記事が、講座か独学かで悩んでいる人の役に、少しでも立てばと思います。