「夢の途中での出会い物語」とは?
ここでは「夢の途中での出会い」をテーマにした物語を解説します。
ずっと追って来た夢が、実は出会いの為に用意された物だとしたら?
夢と絆、どちらを選ぶ?
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「成長の旅をする中で、人生の岐路に立つ物語」となります。
解説
夢の途中での出会いとは?
まず、そもそも「夢の途中での出会い」とは、何を指すのでしょうか?
この記事では「夢を追う主人公が、夢の途中で本物の運命的な相手と出会う事」として解説していきます。
ハイスペック主人公だが、満たされていない
このタイプの物語の主人公は、能力と言う点では有能な力を持ちます。
ただし、その能力を持ってしても、夢を叶える事が出来ていません。
それほどに、大きな夢を持って生きているとも言えます。
本気で願う、夢への道
この形式の物語では、主人公が夢の達成の為に明確な目標を持って行動します。
アニメ映画「カール爺さんの空飛ぶ家(Up)」では、主人公のカールは、亡き妻との平凡ながら幸せだった日常の思い出を糧に生きている老人で、その夢は妻と共にパラダイスフォールと言う滝を見に、冒険へ行く事でした。
妻が病気で亡くなり夢破れ、老いて偏屈になったカールですが、立退き要求を切欠に、妻との思い出の家ごと、妻を連れて行く様な気持ちを持って風船で浮かせる事で、冒険に出ると言う計画を実行に移します。
アニメ映画「怪盗グルーの月泥棒(Despicable Me)」では、大泥棒で卑劣漢のグルーは、幼い時からロケットに乗って月に行き、月を盗む事を夢に生きていました。
グルーは、世界一の泥棒になる為に、月を盗む計画を遂に実行に移そうと、月を小さくする縮小ビーム銃を盗もうと考えます。
計画に必要になる、紛れ込む厄介者
夢の為に計画を進めようとしますが、そこで厄介な事が起きます。
主人公が夢に近付く為には足りない物があり、主人公は、計画に足りない所を補う為に、取引をする事になってしまうのです。
この、取引相手こそが、厄介者です。
ライトノベル「とらドラ」では、主人公が好きな女の子に近付く為に、見た目は可愛いが狂暴で有名な女の子の恋の応援をする事を条件に、お互いで助け合う恋愛共同戦線を作る事になる。
作品を知っているなら分かると思うが、この厄介者こそが、ヒロインである。
アニメ映画「カール爺さんの空飛ぶ家」では、お手伝いバッジ欲しさに手伝いに来たボーイスカウトの少年を、結果的に主人公は旅の手伝いをさせる事になる。
アニメ映画「怪盗グルーの月泥棒」では、主人公は縮小ビーム銃を持つ敵の家に侵入する隙を作る為に、孤児院から3姉妹を引き取り、世話をする代わりに都合良く動かそうと考える。
この、厄介者の存在が、物語の重要なポイントとなる。
夢を邪魔する者
主人公の夢には、それを阻む敵がいます。
それは、主人公と同じ夢を持つ別の存在等です。
彼らは、厄介者よりも邪魔な存在であり、主人公の前に立ちはだかる大きな壁となります。
アニメ映画「カール爺さんの空飛ぶ家」では、カール憧れの冒険家、チャールズ・マンツがライバルとして後半で登場します。
アニメ映画「怪盗グルーの月泥棒」では、グルーと共に月を奪い合うライバルのベクターが登場し、事ある毎に邪魔をしてきます。
映画「ドン・ジョン」では、主人公の理想の相手バーバラは、ドンの趣味を理解する事が出来ません。
夢へと近づく
厄介ながらも、役に立つ助っ人を得た主人公は、自分の夢へと向かって行きます。
元々、有能である主人公は、順調に夢を叶える訳です。
厄介者とも、徐々に絆を深め、気が付けば主人公にとって、その厄介者は、欠かせない存在へと変わっていきます。
ここで、葛藤が生まれます。
厄介者との関係は、夢が叶えば解消されてしまう物だと気付きます。
夢か、厄介者との絆か
主人公は、夢と厄介者との間で出来た絆を天秤にかける事になります。
その時、主人公は、夢を選びます。
一度、夢を選び、ずっと求めていた物を、間近で目にするのです。
ですが、そこで気付きます。
本当に大切な物が、夢なのか、夢を追う途中で知り合った厄介者との絆なのか。
選択を迫られた主人公は、本当に価値がある物を選び取ります。
フィナーレ
主人公が長年求めていた夢は、本当にあと少しの所で、指の隙間からすり抜けていきました。
もしかしたら叶える事も出来た夢です。
ですが、主人公は、最後の最後で、夢よりも価値がある物を手にしている事に気付き、夢を捨ててまで、絆を繋ぐ事を選びます。
こうして、最後の最後で夢を捨てた事で、主人公と厄介者は夢以上に価値がある物を手に入れ、物語は終幕します。
まとめ
以上、遅れて出会う運命の物語とは、ハイスペックな主人公が自分の夢を追う中で出会う、運命の出会いと夢を、最後に天秤にかけ、夢を捨て、より価値がある物を手に入れる物語、と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、厄介者との絆を深める所と、有能な主人公が夢に近付いていく、相反する成功描写の気持ちよさでしょう。
有能な人間が計画を進める姿にはワクワクする物がありますし、厄介者が大切な存在に変わっていくのも心を打ち、その二つを同時に選べない最後の選択は、分かっていても感動があります。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
成長の旅
- 旅の目的、夢や目標
- 目的を同じくする仲間の存在
- 大事なのは成長の過程で、本来の真の報酬は仲間
人生の岐路を迷走
- 問題に対して平凡非力な主人公
- 持ち前の力で野望に突き進む
- 現実を受け入れる結末
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