シナリオの書き方「恋心への抵抗物語」の脚本構造を紹介!もう早く付き合っちゃえよ!

「恋心への抵抗物語」とは?

ここでは「恋心(本心)への抵抗」をテーマにした物語を解説します。

誰がどう見ても両想いなのに、お互い素直になれない、そんなもどかしさがこそばゆい物語です。

この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「相棒と出会い、従うべき現実に抵抗する物語」となります。

解説

恋心への抵抗?

まず「恋心への抵抗物語」とは、どの様な物語を指すのか?

この記事では「相思相愛なのに、何らかの理由からお互い素直になれない状況が続き、平行線の様な一線を越えないイチャイチャが描かれる物語」として解説していきます。

魅力的な主人公だが、素直になれない

この形式の物語の主人公は、とても魅力的です。

出会う相棒と共にいる理由が存在し、そこで共に行動する事になります。

その際、片方が相手との共通点を探り、「直接的な言葉、行動、態度」を避けた「間接的アプローチ」、つまり「分かりにくいアピール」を行う事で、距離を縮めようとする事になります。

漫画「からかい上手の高木さん」では、『からかい』と言う間接的アプローチによって二人は接触を繰り返します。

漫画「となりの関くん」では、『授業中の一人遊び』と言う行動によって、二人は関わりを深めていきます。

漫画「ハイスコアガール」では、『コンピュータゲーム』と言う共通の趣味が、二人を繋ぎます。

分かりにくいアピールと言う日常のイベント

物語が始まって少しすると、イベントが起きます。

主人公か相棒、どちらかがもう片方に「分かりにくいアピール」を行い、そこから二人の遠回しなコミュニケーションが始まります。

その際、いくつかのルールがあります。

  • 共通点を使ったアピールである事
  • 何かしらの勝負や、成否がある事
  • 相手を本当には傷つけない事
  • 相手の恋心に疑いがあったり、確証が無い事
  • 自分の本心には気付かないか、気付いても直接は伝えない事

等々のルールに沿って結果的に双方が動いてしまい、関係は微妙に近づきますが、距離は殆んど平行線のまま物語が進行します。

アピールに対するリアクション

分かりにくいアピールを片方がする事で、アピールされる側は、必ず相手をして、リアクションを返します。

無視はダメですし、恥ずかしいと言って余りにも雑な対応も良くありません。

分かりにくいアピールを受けながらも、その「じゃれつき」をされる側も、一定の楽しさ、心地良さ、まんざらでもないと感じている描写が必要です。

ほぼ平行線ながらも、強まっていく二人の絆

距離は変わっていなくても、二人の絆は、接触の数と濃度だけ強まっていきます。

お互い、相手の事を以前よりも、より良く知り、相手の事を更に好きになっている訳です。

相手の事を想えばこそ、出来る事と出来ない事も変わってきます。

ですが、双方特別な関係は心地良く、ずっとこの時間が続いて欲しいと感じる物で、だからこそ一線を越える事が出来ません。

二人を引き裂く試練

二人の関係や、距離感を揺るがす事件が起きます。

二人だけの心地良い関係は、実は、絶妙なバランスによって維持されていた事が分かり、そのままにしておけば関係性が変わってしまう事態が起きるのです。

進学、受験、引越し、廃部、廃校、病気、怪我、入院、関係に割って入る存在、別の人からの告白……

主人公と相棒の関係が揺らぐと、今まで目をそらして、抵抗してきた「恋心」と向き合う必要が出てきます。

相手が本当はどう考えているのか、主人公には自信がありません。

ですが、二人を繋ぎとめる最後の物は、今まで触らない様にしてきた一線の先にある「絆」だけなのです。

勇気を出し、一線を越える決意

主人公は、相棒を失う危機に陥り、初めて自分の本心と向き合います。

自分の本心は分かっても、相手の本心は分かりません。

もしかしたら、ただの仲の良い友達だったのかもしれません。

このまま関係が壊れるのと、告白して壊すので、どちらがマシかを考え、悩みます。

その時、自分以外の誰か、相棒か、主人公と相棒を見守って来た誰かに背中を押され、ようやく一線を越える決意を、主人公は固める事が出来ます。

主人公一人では、この一線は越えられません。

主人公の背中を押してくれる、そんな存在が不可欠です。

最後の選択

主人公は、自分の本心に正直になり、今までの関係が壊れる覚悟をし、相棒との一線を越える為に告白に向かいます。

二人を引き裂く試練に立ち向かい、なんとか相棒のもとへと辿り着いた主人公は、本心を伝え、その想いに相棒が応える事で物語はフィナーレを迎えます。

告白によって、主人公と相棒は、前よりも良い関係になれるわけです。

まとめ

以上、恋心への抵抗物語とは、主人公が自分の本心に気付き、相棒に告白をするまでの物語と言う事でした。

この形式の物語のポイントは、分かりにくいアピールにより、絆が強まっていく過程にあります。

平行線の距離感なのに、確実に絆だけ強まっていく事で、強力な力を溜め、絆は強力な磁石やゴムの様に二人の距離を縮めたがります。

限界まで力を溜めた状態で、告白によって一気に距離が近づくカタルシスは、これでしか味わえない気持ち良さがあります。

この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。

必須要素

相棒

  • 揃って初めて完全となる主人公と相棒の二人
  • 相棒と近づかせ、同時に対立させる事情
  • 二人でないと解決出来ない問題

人生の岐路を迷走

  • 問題に対して平凡非力な主人公
  • 特別な力を得て、問題に立ち向かう切欠に
  • 現実を受け入れる結末

「恋心への抵抗物語」該当作品

※地道に追加、修正予定。

※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。

※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。

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