【連載第1回】けっこう真面目な魔法の歴史【アジア編】(ヨーガ)

アジアの魔法の歴史の話

この記事では、魔法の歴史について多分に推測を含んで考察していきたいと思います。

神話や宗教にも触れますが、それらを否定も肯定もする意図はないので、悪しからず。

世界編(ヨーロッパ中心編)は、小説家になろうバージョンは、https://ncode.syosetu.com/n4043fj/から。

ブログ記事バージョンは、

魔法の歴史

を参考にして欲しい。

分岐点は、4大文明以降なので、1~3回目まで見れば、もっと良く分かる筈。

極一部重複もあるけど、では、どうぞ。

紀元前2500年~

インダス文明で産声を上げた魔法に「ヨーガ」と言う物があった。

現代にも脈々と受け継がれている概念で、今風に言う「ヨガ」の事だ。

メソポタミアやエジプト、そこから北上したギリシャ文明等が多神教の崇拝と共に、神や魔法と言った存在を「自分の外側」に求めていたのに対して、ヨーガは反対に「自分の内側」に魔法を求めて進化していった。

後にまとめられる経典「ヨーガ・スートラ」から推測するに、長い時間をかけてヨーガは、人間の内を探求し、高見を目指す中で、様々なヨーガを編み出していった事が分かる。

かなりザックリな説明になるが、下記表にある各ヨーガの形には、紀元前2500年から紀元1200年と言う長い時間をかけて修行者達が積み重ね研鑽した末に、ようやくたどり着いた物だ。

ラージャ・ヨーガ心を止め、無私を目指す修行
バクティ・ヨーガ宗教的修行
カルマ・ヨーガ倫理観を追求する修行
ジュニャーナ・ヨーガ解脱を目指す哲学的な修行
マントラ・ヨーガ力のある呪文、呪法を使う為の修行
ハタ・ヨーガ性力と呼ばれる超能力を使う修行

3000年以上もの間、人は世代を超えて超常的な力、つまり魔法を手に入れる為の修行法を、体系化し、改良し、分化し、要素を取り入れ、延々と磨き上げてきたのだ。

この修行法の一部が、現在のヨガや瞑想法に地続きで繋がっていると考えると、進化は止まっておらず、3000年では済まない知の集大成とも言える。

このヨーガを語る上で切り離せない物に、チャクラがある。

クンダリニー・ヨーガ(根源的生命エネルギーを操る修行)では、

チャクラ名チャクラがある身体の部位
ムーラダーラ・チャクラ会陰
スヴァディスターナ・チャクラ(スワーディシュターナ・チャクラ)
マニプール・チャクラ(マニプーラ・チャクラ)丹田
アナーハタ・チャクラ心臓
ヴィシュッダ・チャクラ
アージュナ~・チャクラ(アージュニャー・チャクラ)眉間
サハスラーラ・チャクラ頭頂

の7チャクラ、物によっては一番下を除く6チャクラや、アグニ・チャクラ等を+αされた8チャクラを操作できる様に修行していき、超人になる事を目指す。

この概念は、日本の人気漫画「NARUTO」によって忍術と共にファンタジーとして融合し、世界に広まった事で知名度を上げた概念だろう。

この様に、ヨーガの源流は、内への探求による魔法獲得である為、基本的に「苦行」である。

苦行による修行によって、自身を高めようとする傾向にあるのだ。

「サドゥ」と呼ばれる苦行僧を始めとした人々は、現代でもチャクラ解放を目指したり、古代ヨーガの流れにある修行によって日々鍛錬をしている。

もちろん、科学万能が近づく現代においては、マジシャンや大道芸まがいのショービジネスにシフトしてしまった人も大勢いるが、ガチ勢も間違いなく存在している事は否定できない事実だ。

彼らがチャクラを開放して超常的な奇跡や魔法を見せてくれたとして、それが前者のショーなのか、後者の、ガチで魔法の領域に辿り着いてしまった人なのか、それは誰にも分からない。

分からないままの方がロマンがあって個人的には面白い。

話を戻そう。

古代ヨーガの修行は、ヨーガの種類にもよるが、非常に理にかなった物が多数あるので、いくつか紹介しておく。

禁戒(ヤマ)非暴力、誠実、不盗、梵行(不淫)、不貪
観戒(ニャマ)清浄、知足、苦行、学習、信仰
坐法(サーサナ)特別な座姿勢
調気法(プラーナーヤーマ)呼吸法(プラーナ、サマーナ、アパーナ、ウダーナ、ヴィアーナ)
制感(プラティヤーラーハ)自己制御(マインドフルネス)
凝念(ダーラナー)念を凝らす修行
静慮(ディアーナ)瞑想
三昧(サマディ)無我の境地で対象だけを思考・集中する(ゾーン)

見て分かると思うが、瞑想、ゾーン(スポーツとかで有名)、マインドフルネス(シャーロック・ホームズの思考法で有名)、呼吸法(身近な所で深呼吸とか)、等は、割と近代的な概念に思う人もいるかもしれない物だが、源流は、この様にヨーガだ。

どれも本来は魔法とか超能力の会得の為の修行だが、これ等には科学的に一定の効果がある事が既に分かっている。

つまり、現代でヨガを本気で会得すると言うのは、ヨーガの時代から受け継がれている、現代に残る魔法を会得する事にもなると言っても言い過ぎではないだろう。

勿論、会得によって出来る事、変わる物は、限られる。

イメージと現実のギャップは、あるだろう。

だが、ヨーガをマスターした人は、古代ヨーガの逸話によれば「シッディ」と呼ばれる超能力を手に入れたと伝えられている。

少し紹介すると、下記の様な事が出来る様になるらしい。

  • 過去未来視、透視、遠視、霊視:千里眼。自分の死期も分かるし、物の構造、真理、エネルギーも見える
  • 言語理解:音、表現、客体を分析して全ての言葉を理解し、動物とも話せる
  • 読心術:心を読む
  • 隠身:見られる能力をオフにする事でステルス状態になれる
  • 肉体支配:怪力、硬くなる、軽くなる、浮く、地獄耳、五感強化、幽体離脱
  • 飢耐性:食べなくても死なない。省エネ
  • 火を吐く

マスターすれば、これだけの事が出来たと言うのだから、当時(あるいは、現代でも)目指した人の気持ちも分かると言う物だ。

紀元前1800年~

インダス文明が滅亡し、次の世代になってもヨーガだけは残り続けた。

ヨーガによってチャクラを開く事で、個人で神性を獲得する事を目指すと言う、自分の内を探求する「魔法」を見出した人々の末裔で、王子の様な立場であった釈迦は、戦争やカースト制度と言う身分による差別社会で生きる中で、修行し、悟りを開く。

エジプトでは、モーセ達は虐げられる側の視点で新たな神と出会った。

一方、仏陀は、その文明社会そのものを客観的に観察し、自分の内を探求する事で「無我」にたどり着いた。

「どうして人が苦しむのか」を解明したという意味で、釈迦は時代の最先端を生きた人物だったのは間違いない。

当時、そんな事を徹底的に考える様な発想や知性を持った人は、稀だった。

と言うか、今でも稀だろう。

この、天才と呼んで問題なさそうな釈迦が残した物が、今の仏教のベースとなっている。

文明によって多神教が世界中に広がり、文明によって差別が生まれた事で、アプローチの違う3つの宗教が生まれた訳である。

自然の驚異から生まれた、数多の多神教。

他人や差別の脅威から生まれた、ユダヤ教。

脅威との向き合い方を突き詰めた、仏教。

ヨーガは、仏教に近い流れがあるが、宗教ではなく「生き方」と言った見方の方が強い。

ちなみに、ヨーガと共に育ったインド周辺独自の多神教、バラモン教から流れを汲むヒンドゥー教の存在も、今回は深く触れないが忘れてはいけない。

ヒンドゥー教は、紀元前2300年~紀元前1500年頃にヨーガと共に徐々に成立していった多神教で、仏教よりも古く、仏教に与えた影響は計り知れない。

特徴としては、長い時間をかけてインド特有のカースト制度を取り込んだ事で、インド独自の宗教と言う色合いが強い事等があるが、一つの多神教として見ると、構成自体は割とオーソドックスだ。

なので、ヒンドゥー教自体が影響を受けた他の多神教に漏れず、神を外側に求めるスタイルで、仏教に影響こそ与えているが厳密なヨーガや仏教とは、向いてる方向が違う部分もかなり多い。

そんなヒンドゥー教をもとに、東に伝わっていく仏教だが、仏教の出来た年代としては、およそ紀元前1000年~紀元前600年頃に出来たと推測されている。

元はヒンドゥー教の概念である業(カルマ)や輪廻転生と言った物も、後に仏教を経由して日本に伝わった物で、仏教オリジナルでは無い。

で、だ。

だいたい、同じぐらいの時期に、今の中国の方へと伝わっていったヨーガが、現地で独自の進化を遂げている所に話を繋げたい。

紀元前700年頃~

内を探求する魔法は、古代中国、周王朝後期に大きな変化を遂げる事となる。

年代から分かる通り、仏教等が中国の方へと伝わる前の時期だ。

春秋時代、紀元前770年から、現在の山西省一帯を占めていた大国「晋」が三国に分裂した紀元前5世紀までの、およそ320年の間の時期。

その時代に生きていたと言われる、伝説の人物、老子の登場である。

老子は、紀元前100年頃には書に残されていたが、その時既に謎の人物とされていた人だ。

その老子と、彼の弟子達によって、徐々に道教がまとめられていく事となる。

で、当時の中国で、魔法と言えば?

次回予告

次回は、仙人を中心にサックリと語っていきたい。

道教と儒教についても軽く触れるつもりだと言うか、触れざるを得ない。

その後、いよいよ日本って感じ。

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