発明で見る人類の歴史【連載1】

クラフティングは発展の起爆剤

世界的ゲーム「マインクラフト」が登場したのが、2008年頃。

週刊少年ジャンプで「ドクターストーン」の連載が始まったのが、2017年の事だ。

それ以前にも、サバイバルやクラフティング要素のある作品は沢山あった。

ゲーム「アトリエシリーズ」では錬金術をモチーフに、様々な物を作っていった。

この様なアイテムの合成要素があるRPGは、もはや普通と言っていいレベルだ。

ゲーム「モンスターハンターシリーズ」は、素材そのままに加工する事で武器や防具を作っていくのは、クラフティングと言う意味では、むしろ「加工技術が退化した事が新しかった」と言えるだろう。

1888年に世に出た古典で、漂流モノの代表格「十五少年漂流記」では、無人島で子供達が協力してクラフティングを駆使し、サバイバルをしながら生活基盤を整えていく展開にワクワクしたものだ。

フィクションでも現実でも

こういったクラフティング要素のあるモノには、物を作る際、必ず順序がある。

ドクターストーンを読んだ事があるなら、マインクラフトや他のゲームをプレイした事があるなら、分かると思う。

より難しいモノを作るには、一つ下の段階のモノを作る必要があると言う話だ。

つまり、クラフトレシピには、必ずツリー(樹形図)が存在しているのだ。

これは、ゲームや物語に限らず、現実でも同じである。

今回は、そんな所も意識しながら人類の発明史をザックリと見ていきたい。

と言う事で、この記事では、発明の歴史について多分に推測を含んで考察していきたいと思います。

この記事の役割と、注意点

目標・目的としては、物語の舞台となる文明の歴史や世界観の中で「リアリティ」を求める際に「あっても不思議ではない」と言う目安として使えるモノサシになればと考えている。

あらかじめ書いておくが、モノサシを武器に既存の作品に「この時代に、これはあり得ない」と言うイチャモンをつける目的で使うのは、絶対にやめてもらいたい。

作者が「ある」と言えば「ある」し、「ない」と言えば「ない」のが創作であり、リアリティを求めるか否かは作者の自由です。

紀元前600万年前:文化

もはや正確な年代は分からない。

群の中で形成されるルールと言う形から、姿形には残らない概念的な発明があった事が予想される。

明らかに自然の動物とは一線を画す、人同士の共通認識の構築である。

リーダーを決めたり、獲物を誰が優先して食べるかや、モテる要素等がそれぞれの群で独自形成されていった事が予想される。

紀元前260万年:石器(アフリカ~)

Wikipedia引用

これも正確な年代は分からず、紀元前330万年前説もあるらしい。

ちなみに、紀元前1万年前頃までを「旧石器時代・文化」と呼ぶ。

ここで言う石器とは、主に「打製石器」で、石を割ったり研ぐ事で作る「ナイフ」等だ。

これは、主に「骨や肉食動物の爪、牙を模倣」して作ったと考えられる。

つまり、石器以前に投石や爪、牙を武器にしていた、道具を使う人類がいた事が想像出来るが、発明と言う意味では「石の加工」を行っている次点で、ここからが妥当だろう。

クラフティング要素のあるサバイバルゲームでも、石の道具を作る事から始まるのは、けっこう理にかなったデザインと言える。

紀元前160万年:火、料理

Wikipedia引用

ここからも当分、正確な年代は分からない物が続く。

ギリシャ神話では、プロメテウスに与えられたとされる「火」だが、実際は落雷、山火事、溶岩と言った「自然由来の火」を、木の枝等の落ち運べる物に燃え移らせ、洞窟内に運び、焚火にしてから燃料を絶やさず入れ続けて「消えないように管理」したのが「最初の火」だと推測されている。

どうすれば発火するか分かっていない時代は、火は貴重品だったわけだ。

その後、火打石や木端、乾草を利用して人為的に発火させる技術が確立するまで、相当の時間を要した事が予想できる。

火を獲得した事で、調理する事が出来るようになり、「食べ物を焼く」と言う事が可能となった。

加熱調理とは「減菌」の手段を無自覚に獲得したと言う事でもある。

これは、人類の寿命を延ばす事に寄与した、大きな気付きだっただろう。

紀元前50万年:服

Wikipedia引用

石器を手に入れた事で「物を切る」事も可能となり、この頃になると動物の皮で服の原型を作れるようになっていった事が予想できる。

皮を、加工し始めたという事だ。

服を作れると言う事は、「初期の革加工技術」と共に「革紐」も人類は遠からず手に入れているだろう。

植物のツタや動物の内臓でない、「人工的な紐」の獲得は、結構な発明である。

扱いやすい紐と、服を作る必要性によって「結び方」も、このぐらいの時期に初期の研究をされた可能性がある。

どれも、時期的に氷河期でもあるため、必要に迫られて服を作ったというのが現実的だろう。

紀元前40万年:言葉

このぐらいの時期になると人類は、独自の「発声」から、やっと「言語能力」を獲得していたと予想される。

逆に、ここ以前の時期は、家があり、石器を持ち、革の服を着て、火で調理をして生活していた人類は、道具を使ってこそいるが、共通言語が無い状態で動物の様に意思疎通をしていたと考えられる。

言葉が生まれる事で「名前」等が作られ始めた筈だ。

また、初期の言語は「動物や自然音の真似や、感情に任せた発声」等から始まった事も予想される。

犬の鳴き声から「わんわん」が共通認識になる様な、赤ん坊が言葉を覚える様な感じだ。

紀元前40万年:住居

Wikipedia引用

それまでも、洞窟等の自然由来の住処に住んでいたのは間違いない。

しかし、このぐらいの時期から、人は住居を工夫し、木や動物の皮や骨を使ってテントやコテージの様な簡単な建物を作り始めていた。

最初からしっかり作っていたわけではなく、居住性を上げるために整地し、住処になりそうな洞窟や巨木の枝を模した様な構成にして「身を隠せる壁や屋根」を作り、自分達を囲ったり、複数人が入れるような規模に徐々に進化させていった。

鳥やビーバー、一部の虫等の動物が、木をくみ上げて住処を作る事から、何かしらの動物の真似をした可能性もあるだろう。

紀元前40万年:槍(ドイツ~)

少なくとも、この時期には人類は槍を手にしていた。

木の枝を加工して、先端を尖らせたり、時には先端に石器をツタや革紐等で括り付けて威力を増した訳だ。

リーチが長い方が戦闘で有利な事、投擲する際に投げやすい事、柄があった方が力を込めやすい事、等の利点があるが、発明までかなりの時間を要したアイディアの結晶で、当時は最先端の武器だった。

だが、アイディアが周囲に広まると、一気に真似され、優位性は一瞬だった筈だ。

服や家と同じく、「複数のパーツを組み合わせた道具」の登場は、初期の発明や発見としては大きな前進だった。

紀元前40万年:顔料(ザンビア~)

Wikipedia引用

顔料を使い始めたと言う事は、人類は色を塗ったりと言った事を人、物、場所に対して行うようになった事を意味している。

これは、人類史に彩りが増えると同時に、人の生活に余裕が見え始めた事も意味しているのかもしれない。

毛皮を着て、石器を持ち、言葉で意思疎通をし、住居に住んで、調理した料理を食べると言う、必要最低限文化的な生活が揃ったからこその発見であり発明だったのかもしれない。

おそらくだが「化粧」も、この時期の前後に発明された事が予想される。

紀元前30万年:葬式

死者を埋めたり、焼いたり、撒いたり。

今でこそ方法は様々だが、このぐらいの時期から、人は葬式の原型的な事を行っていた可能性があると言う。

葬式とは、要するに故人との永遠の別れを区切る「セレモニー」であり「儀式」である。

葬送方法が決まっていない時は、愛する人が死んでも区切りをつけられず死体を連れまわす様な事態も、人によっては発生したはずだ。

葬式と言うセレモニーが出来る事で、ルールとして「死者とは、こう別れる」と決められ、それによって人は、人為的に区切りを持つ事が出来た。

文化のレベルがアップしたという所だ。

紀元前20万年:壁画、絵画

Wikipedia引用

顔料と、今までは地面等に描いていた絵を組み合わせ、絵を長く残す発明が成された。

洞窟の壁に、自分達や動物の絵を描いて、言葉以外で「情報を保存する術」を身に着けた。

ちなみに、現在の人類の祖となるホモ・サピエンスが登場したのは、このぐらいの時期である。

紀元前14万年:骨角器

石や木だけでなく、動物の骨や角、さらには殻等を加工して様々な道具を作り始めた。

最初は、石器の骨版だったが、長い年月をかけて石や木以上に加工しやすい材質である事から、後に様々な物が発明される事になる。

紀元前10万年:日本列島に移住が始まる

発明とは関係無いが、このぐらいの時期から日本には人が住んでいたらしい。

当然だが、文化的には石器時代の原始人である。

紀元前8万年:儀式(宗教・魔法

氷河期等の影響で人類は数を一万人程度まで減らし、危機に瀕した時期だ。

この時期に、「フェティシズム」と呼ばれる「狩猟成就の儀式」の形跡があったとされ、それが最古の宗教であり、魔法であったと推測される。

更に、儀式が行われていると言う事は、ここに至る前後で植物、キノコ、動物等を由来とした「毒」あるいは「薬」や、発酵した果物等を食べる事で「アルコール」の認識も、文化としてあっただろう。

トリップによるトランスは、猫がマタタビを好むように野生の中でも自然な事だ。

紀元前7万年:装飾品

アクセサリーと呼んで差し支えない石、木、骨、貝、等を加工した装飾品が歴史に登場し始める。

ビーズ等を組み合わせた飾りや、ピアス等のアクセサリーだ。

氷河期の中でも、文化の発展は止まらず、オシャレをする余裕もあったという事だろう。

紀元前73000年前の貝殻のビーズが、現存最古と言われているとか。

紀元前6万年:弓

Wikipedia引用

紀元前数十万年前には原型が存在していたと言われる武器らしい。

それまでも、投げ槍や投石は行って来ただろうが、ここで遂に遠距離専用の武器が人類史に登場する事になる。

弓と矢は、弦、鏃、羽とこの頃の武器にしてはパーツ数が多く、適切に組まないと思い通りに矢を飛ばせず、矢を射るにも技術が必要と言った感じだが、槍以上の遠距離・対空攻撃力がある事で弓は最新鋭の武器として重宝され、良い弓を作れる人も同時に大事にされたと思われる。

また、弓の登場は「弦楽器」の登場の前触れでもある。

弦を弾いたり擦って音を出すのに最適ではなくとも、弦から音が出る事を人類に気付かせるには十分だ。

紀元前5万年:殺人

少なくとも、この時期には「人対人の争い」の形跡が見つかっているらしい。

それ以前にも喧嘩や縄張り争い等で殺し合い自体は幾度となく発生しているだろうが、人類の同族を殺す歴史は、このぐらいから始まっているのかもしれない。

紀元前4万年:船、釣り針

Wikipedia引用
Wikipedia引用

ボートを水に浮かべ、人は移動範囲を広げていった。

最初は水に浮かぶ木を利用していたぐらいだっただろうが、それを人為的に木を浮かべる様になり、更には扱いやすいように加工して船の形に工夫していった筈だ。

船の登場は、移動範囲の拡大だけでなく「物の運搬」でも、大きな貢献をした筈だ。

もしかしたら、巨大な木を運搬している時にボートのアイディアを得たのかもしれない。

また、このぐらいの時期に、骨で作られた釣り針が登場し、「魚釣り」と言う漁を人類が行っていた事が窺える。

日本の沖縄県南城市サキタリ洞遺跡で発見された物は、紀元前2万1千年前に「ニシキウズ科の巻貝」の一種の底を割って磨かれて作られていた。

紀元前3万5千年:符木棒

数やメッセージを伝える木の棒を使った記録媒体。

まだ高度な文字が存在していない為、複雑な意思疎通には使えない。

「持ち運び可能な物」に「記号で情報を記載する」と言う手段を発明した事で、後の「文字」に繋がる発明だったのかもしれない。

紀元前3万年:糸、縫い針、織物

Wikipedia引用

亜麻を用いて、人は糸と布を作り始めた。

服に始まる布製品が登場し、縫製と言う技法が発明される時期でもある。

ここ以前の服は、主に動物の皮で作られたものだったと言う事でもある。

また、織物が始まったと言う事は、効率化を考えて何かしらの「織機」の開発を行った人が出始めた時期でもある。

紀元前3万年:笛(ドイツ~)

Wikipedia引用

草笛や口笛の様な、音の振動で音色を奏でる道具の考案や、穴の数によって音色が変化する気付きまで、様々な発見が行われた筈である。

演奏専用の楽器が登場したと言う事は、ここ以前のどこかで「音楽」が発明されているという事でもある。

他にも、動物の骨で作られた「ホイッスル」状の笛がスイスで見つかっていたりして、歴史は古い。

紀元前3万3000年前の、マンモスの牙や鳥の骨で作られた横笛が、ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州はシュヴェービッシェ・アルプにあるホーレ・フェルス洞窟の後期旧石器時代オーリニャック文化遺跡で発見されたとか。

紀元前2万5年:土器

Wikipedia引用

それまでは木や石や動物の骨を加工して使っていたであろう「器」も、粘土を焼いて固めて器にする陶器の登場で、大きく変化した。

形状の加工がしやすく、丈夫な器を手に入れれば、より良い環境で食べ物を「保存」したり出来る。

陶器の原型や、元となった考え方の登場は同時に、人が火を自在に着火出来るだけでなく「高温」にする術を手に入れた事も意味する。

焚火の温度は、250度から450度程度だが、土器をしっかり焼くには700度以上、出来れば1,000度を超える熱量が欲しい所だ。

1,000度以下で焼いた物は土器と呼ばれ、1,000度以上で焼くと、炻器(1,100度)、陶器(1,200度)、磁器(1,300度)と大雑把に変わり、完成品の吸水性等の性質に大きな差が出てくる。

まだコーティングの概念が無いのだから、器は出来るだけしっかり焼いた方が良い筈だ。

チェコモラビア地方のドルニ・ベストニツェ遺跡から出土した、紀元前29000年~25000年頃のドルニ・ベストニツェのビーナス像が特に古いとの事。

紀元前2万年:ロープ(フランス~)、ブーメラン

Wikipedia引用
Wikipedia引用

人類は、繊維を太く丈夫なロープに加工する術を手に入れた。

丈夫で扱いやすいロープを手にした事で、これまでの文化にも変化が起きる。

例えば、陸にまで引き上げる必要があった船は、場所によるが係留で済むようになる事もあるだろう。

建物を丈夫にする建材にしたり、ベルトとして着用したり、その利用方法は多岐にわたり、発明の価値は計り知れない。

この時期に人類は「農耕」を始めていて、定住して農業を行う人が増えた事で、畑を耕す家畜の管理にも、ロープは役立った筈である。

日本の歴史の授業で習う「縄文時代(紀元前1万4千年前)」も、ロープが無い事には「ロープ模様」を作る事出来ない事から、このぐらいの文化水準が予想出来る。

同時に、ロープを作る技術力がある時点で、原始人文化としては、かなり進んだ段階から授業で習っている事も推測できるだろう。

また、武器として紀元前1万8千年前にはブーメランが登場していたのも興味深い。

舞い落ちる葉の動きか、それとも偶然投げた物の形が整っていたのか、投げたら戻ってくる面白いアイテムを人類は手に入れた。

狙った獲物に当たれば良いし、外れても回収の手間が少なくて済むのだから、様々な使い方がされていたかもしれない。

紀元前1万年:アルコール

Wikipedia引用

このぐらいの時期から、人類は人為的にアルコール、つまり「酒」を造っていたらしい。

果物が腐敗ではなく発酵する条件を探し、水と果物をどういう環境で保存すればアルコールが発生するかを突き止め、器を利用して再現性のある生産方法を確立したと言った感じだろう。

アルコール造りに精を出せるのも、農耕の発生によって全体の食物に余裕が出来た事が関係している筈だ。

終わりに

文明成立までたどり着けなかった!

時代が進むにつれて発明の速度が加速するため、記事の時間の流れが遅くなるので先が怖いが、今回はこの辺で。

オーパーツの年代と比べて見ると、その時代にあるのがどれだけ不自然かの目安にもなるかもしれないが、そこら辺はまた今度。

参考になったり楽しんで貰えたら嬉しい限りだ。

あと、この記事は、参考にした本やネット上の情報をベースに書いているので「そういう説があるらしい」と言う参考程度に見て貰えれば幸いだ。

スポンサーリンク

“発明で見る人類の歴史【連載1】” への2件の返信

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

%d