「怪物の巣からの脱出物語」とは?
ここでは「怪物の巣からの脱出」をテーマにした物語を解説します。
ここで指す「怪物」とは、モンスター、そこに仕掛けられた危険な罠、そして『巣のルールに順応した人間』等の、攻撃してくるモノ全てです。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「怪物の対処法を探り、謎を解く物語」となります。
解説
怪物の巣からの脱出?
まず「怪物の巣からの脱出物語」とは、どの様な物語を指すのか?
この記事では「怪物の巣に閉じ込められた人々が、殺される前にどうにか脱出しようとする物語」として解説していきます。
主人公は、事件に巻き込まれる被害者であると同時に探偵
この形式の物語の主人公は、これから起きる事件の被害者です。
ですが、被害者であると同時に探偵でもあります。
主人公が被害者として選ばれた事には、しっかりとした意味があり、自分が選ばれた理由に気付く事が、事件解決の手助けになります。
巻き込まれる事件
物語が始まると、早々に事件が起きます。
主人公は運悪く、事件の最前線で巻き込まれ、どうする事も出来ない状況に置かれます。
置かれる状況には共通点があり、
- 巻き込まれた事件が、大きな事件や複数起こる事件の一部と言う事
- 主人公が、なぜ巻き込まれたのか分からないと言う事
- 主人公の他にも巻き込まれた人がいると言う事
- 状況的にルールに従わざるを得ないと言う事
等が描かれ、同じ状況に置かれた仲間と協力しながら、生き残りをかけて目の前の問題に立ち向かう事になります。
映画「キューブ」では、罠が仕掛けられたキューブ状の部屋に閉じ込められた6人が、生きて外に出るために協力する事になります。
映画「ソウ」では、浴室に手錠で監禁された二人の男が、どちらかが6時間以内に死なないと二人と家族を殺すと殺人鬼ジクソウに殺人ゲームを仕掛けられます。
怪物の巣からの脱出に乗り出す人々
人々を閉じ込めた怪物には、計画や事情があり、一回の攻撃で全てを破壊しつくす事はありません。
必ず一定の法則が、そこには存在します。
この隙に乗じ、主人公を始めとした人々は、怪物の巣からの脱出方法を探ります。
同時に、怪物の狙いも推理します。
怪物を倒したり、脱出路を探すためのチームが作られれば、主人公はチームの一員に入る事になります。
脱出の試行錯誤
脱出する為に、情報を集めなければなりませんが、右も左もわからず、最初は協力もままならず、邪魔をする人さえいます。
ですが結局は、全員が生きて脱出する事を目的に、運命共同体として協力していきます。
失敗の代償と協力が必要な事の気付き
やがて、手探りでの探索中に、大きな犠牲が出ます。
大抵は、仲間や置かれた状況を同じくしている人が、死んだり大怪我を負う様な出来事です。
主人公の目の前で、怪物の巣が危険である事が確実となります。
脱出する為の法則
大きな犠牲を払った事で、同じ失敗をしない様に仲間達と方策を考えていると、主人公のもとに脱出に繋がる重要な情報が舞い込みます。
この情報は、上記の情報があったからこそ得られる物です。
映画「キューブ」では、キューブに付けられたナンバーの法則性に気付き、集められた者の役割にも気付いていきます。
映画「メイズランナー」では、迷宮のモンスターグリーバーと対峙する事になって、その正体を知ったり、実は仲間が知っている事を隠していた巨大迷路の法則、等が次々と分かっていきます。
みんなで脱出したいけど
今までに無く具体的な、怪物の巣からの脱出作戦が練られると、後はタイミングを見て実行するだけになります。
ですが、怪物の巣の中の狂ったルールに染まった人や、作戦に否定的な人等が、邪魔をしてきます。
怪物の巣の攻略法が分かれば、最後に残る本物の脅威は「人間の狂気」で、脱出作戦は一筋縄では進みません。
巣の中で狂ってしまった人の対処をしつつ、危険を避けながら、一行は出口を目指す事になります。
映画「ソウ」では、ゼップと言う男が二人を殺しに浴室へと来ますが、ゼップもまたジグソウに殺人ゲームを仕掛けられた被害者の一人でした。
映画「キューブ」では、一緒に閉じ込められたクエンティンが暴走し、仲間を殺し始めてしまいます。
最終決戦と脱出
最後に、巣の主である「真の怪物」が登場します。
怪物は、同じ巣の中に身を潜めている思いもよらぬ「誰か」と言う、どんでん返しパターンが定番です。
結末は、
- 怪物は倒すが、最弱の者のみが仲間達の助けで一人生き残るパターン
- 怪物が残り、惨劇は繰り返されるパターン
- 怪物を倒し、惨劇に終止符を打つパターン
と、いくつか王道展開があります。
こうして危険に溢れた脱出劇は、何かしらの結末をもって閉幕します。
まとめ
以上、怪物の巣からの脱出物語とは、怪物の巣に閉じ込められた人々が、脱出を目指して協力しながら、怪物の正体を探りつつ、ついには怪物を倒すか、惨劇は続く事を暗示する物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、怪物の巣を脱出すると言う異常事態の中で仲間と紡がれていく絆の描写にあります。
バラバラだった人々が一つの目的の為に、心を一つにして計画に取り組むまでの流れは、やっぱり気持ちが良いものです。
例えば、「ソウ」でも、アダムとゴードンの二人の絆が強まっていく展開は、なんとも切なく、見ていて応援したい気持ちにさせてくれます。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
モンスターパニック
- モンスターから逃げられない空間
- 貪欲の罪に罰を与えるモンスター
- モンスターの知識を持つ者
ミステリー
- 謎を追う動機がある主人公
- 探求の為に破るルール
- 企てる必要があった犯人
- 謎の暴露によって変化する世界
「怪物の巣からの脱出物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
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※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。