オリジナルの鉄板ネタ・パターンの見つけ方

自分だけの鉄板の武器が欲しい!

鉄板とは、固いです。

なので「手堅い」あるいは、「確実な」と言う意味で使われます。

つまり、鉄板ネタ・パターンが既に出来上がっていれば、高い確率で期待に応えられます。

今回は、鉄板のネタやパターンを探す方法を解説します。

パターンって、簡単に言うと?

パターンとは「一定条件に当てはまる、決まった型、形式」です。

つまり、鉄板のネタ・パターンとは、一定条件下でのみ高い確率で、同じ効果を得て良い反応を引き出せる「成功パターン」を指す事になります。

失敗パターンは、白けたり、滑ったり、困惑や、無反応を引き出します。

ですが、成功パターンでは、ネガティブな反応を狙っていない限りは、笑ったり、ハラハラしあり、感動で泣いたり、驚いたりと言ったポジティブな反応を引き出す事になります。

このポジティブな反応を引き出す『構造』を、自分の中で見つければ、それがオリジナルのネタやパターンへと昇華する訳です。

基本の考えは起承転結

起承転結は、聞いた事があると思います。

日本においては、物語の基本と言われ、学校でも義務教育レベルで習いますよね。

まずは、この、起承転結でパターンを考えてみましょう。

ただし、最初に考えるのは『個別』で、です。

起承転結と見ると、どうしてもセットで考えたくなると思いますが、バラバラにして、考えて見ましょう。

ここで、まず手本として役立つのが、芸人・コメディアンの持つ『定番のギャグ』です。

本当に参考になるので、解説を交えて紹介します。

「起」でボタンを掛け違える

コントの基本は、ボタンの掛け違いです。

「起」の時点で、立場的に「そこにいるべき人」と「場違いな人」が用意され、役割的に「ボケ」と「ツッコみ」をどちらかが担う事で、コントは構成されます。

例えば、コンビニを舞台にするなら、一人はコンビニにいるべき人で、コンビニの店員、客と言った立場で、場違いな人は、店員や客の場合もあれば、強盗や宇宙人等まで、世界観次第で幅広く想定出来ます。

立場が決まったら、役割として、どちらかがボケになり、どちらかがツッコみになる事で、ボタンの掛け違いが起きたままコント中の話が進行していき「結」で話としてオチます。

PPAP

世界的大ヒットをしたピコ太郎さんの大出世ネタ「PPAP」と言う1分程度の楽曲は、独特なヒョウ柄の恰好をしたピコ太郎さんが、ジェスチャーを交えて「ペン」と「アップル」をくっけて「アップルペン」にした後で、「ペン」と「パイナップル」をくっつけて「パイナップルペン」にし、「アップルペン」と「パイナップルペン」を最後にくっつけて「ペンパイナップルアップルペン」にすると言う様を歌って踊って伝えるネタです。

真面目に説明すると面白さが伝わりにくいですが、このネタは「そうだけど、そうじゃない」と言う所に可笑しさがあります。

ペンとアップルをくっつけたらアップルペンなのは確かなのですが、ペンの刺さったアップルが、そもそも「異物感」が凄く、それが歌世界観のルールに則ってドンドンくっついていく様は、シュールですが、非常に分かり易く、発掘したジャスティンビーバーの影響力によって一気に世界へと広がり受け入れられました。

すれ違いコント

最近、何かと話題のアンジャッシュさんのコントは、相似性(似た部分がある事)のある事柄を並行して二人が話す事で、相手の言っている事を勘違いしたり、変な歯車の噛み合い方をして会話が成立すると言う物でした。

すれ違いの内容に「真面目」と「不真面目」な対極の内容を入れる事で、意外性を出して笑いを引き起こす手法です。

HGワールド

レイザーラモンHGさんは、そのキャラクター自体を「場違い」にする事で、笑い生み出しました。

代償として腰を悪くしたらしいですが。

「承」で共感を呼ぶ

例えば、現実の中にあるパターンをパッケージ化する「あるあるネタ」があります。

  • こんな人いるよね。
  • あの人いつもこうしてるよね。

と言った、特定の人の属性模倣か、個人の物真似で「気付き」を与えつつ「共感」を呼ぶ事で笑いを取ります。

「転」でひっくり返す

そんなの関係ねぇ

小島よしおさんの出世作でもある鉄板ネタ「でも、そんなの関係ねぇ」は、日本のテレビ番組を見ていた人なら、遭遇した事は何度もあるのではないでしょうか?

この「でも、そんなの関係ねぇ」は、起承転結で言えば「転」の部分です。

芸の流れは曲に乗せて「起承」の部分で「関係のある事」を宣言し、それを「でも、そんなの関係ねぇ」と、一転、否定するスタイルです。

つまり、起承転結の「転」を中心に、「転」が最も面白くなる起承をストックする事で、大量のパターンを生み出せるのです。

この芸の優れている所は、「起承」に自身に関係がある事柄を入れれば、それだけで成立し、更に、自身と事柄の関係性によって「転」の意味合いが変わる事になります。

大抵のパターンは、本来逆らえなかったり、自身が間違っている関係する事柄で「起承」を組み、「転」で否定する事で、大きな流れに逆らっています。

「みんなが・自分より偉い人が、こう言ってたけど(間違ってるよね)」→「でも、そんなの関係ねぇ(立ち向かうぜ)」とは、最も基本的な笑いの一つ「風刺」の側面があり、問題を抱えた体制に立ち向かうコメディアンらしい芸のパターンと言う事になります。

ちょっと何言ってるか分からない

サンドウィッチマンさんのコントで見る「ちょっと何言ってるか分からない」も、起承転結の「転」の部分でひっくり返すネタで、「起承」で小ボケを重ねてから、難しい事を言っていないのに否定すると言うパターンで、中盤の小さな山場を作ってくれます。

全体を通した小ボケのテンポは、漫画で言えば4コマ漫画的なリズムがあり、非常に完成度が高いです。

ヒロシです

今はソロキャンプで有名な、ひろしさんの「自虐ネタ」の基本は、曲が流れる中で、最近あった事を話し、それに対して自虐的な分析を行うと言うスタイルです。

実例だと「誰でもいいから彼氏が欲しいと言っていた人から」→「振られました」みたいな流れです。

なぁ~にぃ~!!やっちまったな!

餅つきスタイルが見た目にも特徴的だったクールポコさんは、この掛け声の後で「男は黙って○○」と言う締めで成立する、女性にモテるコントで大人気となりました。

あの掛け声が癖になった人も多いはずです。

髭男爵

「ルネッサーンス!」と言う挨拶と、「○○なのか~い」と言うツッコみが特徴的な髭男爵のコントは、貴族と言うキャラクターを使いつつも、基本的に、ひぐち君さんがボケて山田ルイ53世さんがツッコむスタンダードな物だが、リズミカルで声が良いのでずっと聞いていられる。

「結」を使いこなす。原因結果逆転

ゲッツ!

ダンディ坂野さんの「ゲッツ」は、とにかく繰り返し使われる事で芸人としてのキャラクターの持つ記号として機能しているが、それ単体では本来、面白さはそれほどでもない。

だが、漫談のオチの直後に言い続ける事で、笑い所を知らせる「記号」へと変化していった。

これは、一種の刷り込み効果で、繰り返し行って世間に浸透させた事で、芸へと昇華された技である。

つまり、笑い所で言い続ける事で、言われたから笑い所と言う風に印象付けた訳である。

チクショー!

小梅太夫さんの、着物に白塗り姿で「こんな事があった」と言う漫談からの、オチのチクショーは、ゲッツより汎用性は低い物の、シュールな芸風にインパクトを与えて、記憶に残る物がある。

前半の「こんな事があった」は主に自虐ネタで、「ヒロシです」で締めるヒロシさんと系統が近いのも面白い。

「起」と「承」を繋げる「転」を探す技術『大喜利』

大喜利は、「○○とかけて(起、お題)」と「○○と説く(承、一見関係ない物)」を繋ぐ「その心は、○○(転、起と承の共通点)」を即席で見つけ出す技術が基本となる。

これは、一つの言葉に対して複数の表現や連想物を持っている程有利になる為、連想・発想・語彙の力を鍛える必要がある。

起と承に当てはまる物に隔たりがあり、転で綺麗に繋がり、更にそこに意味として意図や皮肉を乗せるまでしなければならない点で、かなり難易度が高い鉄板ネタと言える。

笑点の安定感は、本当に凄い。

鉄板ネタ・パターンを物語で考える

悪いなのび太、この○○3人用なんだ

ドラえもんに登場する、有名なスネ夫のセリフ。

明らかに3人用じゃなかったり、3人用なのに事前にのび太を余分に誘う等してから、のび太をハブる「イジメムーブ」なのだが、これはドラえもんの鉄板の流れの一つである。

のび太にお決まりの問題が起き、のび太が解決を余儀無くされる展開がパターン化されていると言う事だ。

この展開が起きるのは「起」の部分で、問題が起きたからのび太は「承」で道具を使って問題解決しようとし「転」で、誰もが予想しない事態に発展し、「結」で物語としておさまりが良いオチへと毎回導かれる事になる。

どうしてこうなった!?

アニメ化もした小説「幼女戦記」では、章の「オチ」で、決まって望まぬ方向に事態が動いてしまい、自分の活躍が裏目に出る「どうしてこうなった!?」と言う「結」が待っている。

これは、「侵略!イカ娘」で、いたずらの罰として働かされるイカ娘や、「こち亀」で、やり過ぎてしまった結果、地方に飛ばされたり、大原部長が鎧や戦車で両津を制裁しに来たり、と言ったパターンと同じ物だ。

「幼女戦記」を好きな人の中には、この「どうしてこうなった!?」が楽しみな人も多いと思う。

このパターンは「主人公」が間違った方法で問題を解決しようとする物語で使われる、鉄板である。

「ドラえもん」でも、のび太がジャイアンへの復讐を終えたのに、やり過ぎて道具の力に溺れ、最後は自爆するオチがパターンとしてある。

主人公が間違った事をする物語の場合、この主人公が罰を受ける鉄板パターンが、物語を面白くする。

間違った事とは、自分本位であった結果の報復や、大きな力に伴う義務を無視した行動の末に、遅れて義務や責任が振りかかってくる様な構造で起こり得る。

信じて!

鉄板のパターンで有用なテクニックに、ゲーム「タイタンフォール2」や「エースコンバットゼロ」等で使われている、繰り返しセリフによる「転」があります。

これは、何度も使われる一つのセリフが、クライマックスで別の意味を持つと言うテクニックで、鉄板パターンでは非常に強力な部類です。

で、どうやって作るの?

鉄板ネタ・パターンは「起」「承」「転」「結」の、どの部分が、使おうとしているモチーフやテーマが素材としてポイントとなりえるかを考えると、見る範囲が一気に狭まり、取るべき戦略が定まります。

例えば、物語として日常物を描きたく思っていて、その中に鉄板のネタやパターンが欲しいのであれば、まずは日常の「あるある」を、作品コンセプトに沿って集めて、「承」で形式を揃えてリズムを持たせる何て発想もあります。

恋愛なら、ミステリーなら、気持ちの良いパターンは、どこか・どんなか等を考え、それを実現できる構成をパターンとして考えていけば大量生産出来ます。

ミステリーで例えば、名探偵コナンで言えば、麻酔で毛利小五郎を眠らせ、変声機を通して推理を披露し、犯人を捕まえるまでの流れはパターンになっています。

恋愛モノなら、すれ違うシーンがパターンとなって、どうしても良い所で邪魔が入る展開が続くかもしれません。

本筋以外にも目を向ける

ピクサーの「モンスターズインク」では、子供部屋の物を押し付けられ、毛を反られて消毒されるモブモンスターが登場します。

彼は、本編では必ずしも必要無い存在ですが、作品を見ると魅力的なコメディリリーフとして機能しています。

この様に、繰り返し登場するキャラクターには、何らかのパターンを持たせる事で、十分以上に印象付ける役割を与える事が出来ます。

モチーフの組み合わせで唯一無二のオリジナリティを

ハードゲイの芸人と言うキャラクター付けで成功したレイザーラモンHGさんがいる様に、思わぬモチーフがイメージに反して広く受け入れられる事があります。

それは、モチーフのイメージは、あくまでも既存のモチーフに染み付いた物でしかなく、モチーフ自体はニュートラルだから、モチーフを扱った別の物には、別のイメージが新たに付与される事は普通にあり得ます。

後を追ってレイザーラモンRGさんがデビューし、そちらも劣化コピー路線から独自路線へと紆余曲折しつつも、あるあるネタに落ち着いて人気を博しました。

そんな、モチーフの組み合わせ技で、島田フミカネ先生の「ストライクウィッチーズ」は、一見パンツにしか見えないズボンを履いた「軍人の美少女達」が「飛行ユニットを装着」して敵と戦うファンタジーSF作品で、実在の戦闘機乗りと美少女と言う組み合わせに加えて、そのキャラクターデザインの優秀さによって、一大コンテンツへと成長しました。

同じように、「フェイトシリーズ」や「艦これ」に始まる美少女艦船コンテンツ群は、モチーフの組み合わせと、決まったキャラクター化のフィルタリングのパターンが出来ている事で、安定してキャラクターを統一形式で量産できます。

モチーフ×モチーフの中から、鉄板パターンが出来たら利用するのは、常套手段です。

自分だけのパターンを見つける

創作者として、幅広い作品を作れるのも良いですが、多くの場合、殆どのプロ創作者は「得意なパターン」の作品を、まずは高いレベルで作れる様にします。

つまり、得意なパターンが無いのに、幅広い作品ジャンルに手を出すのは、サッカーと野球とテニスとバスケを同時にやる様な物と言う事です。

それでは、よほどの素養が無い限りは、どれも中途半端にしか習得が出来ません。

なので、作品内のパターンも大事ですが、クリエイターとして自分が得意なパターンは、見つけたら、ある程度絞って育てた方が良いでしょう。

例えば「ケムリクサ」のタツキ監督は、「けものフレンズ」で脚光を浴びましたが、この両作品は、構造的には非常に近く、これがタツキ監督の得意なパターンと言う事が分かります。

「サマーウォーズ」の細田監督は、「僕らのウォーゲーム」も名作と言われていますが、やはり両方とも構造的には非常に近い作品で、これが得意パターンなのが分かります。

「天気の子」の新海監督は、大出世作の「君の名は」や、それ以前の「秒速5センチメートル」等でも、物語構造こそ違いますが、扱うテーマに一貫性があり、監督のファンはテーマ性のパターンに共感しています。

どの監督も、パターン外の他作品も作っていますが、大事なのは、他の人に負けない「自分の鉄板ネタ・パターンを持っている」と言う事です。

漫画では「キン肉マン」「キャプテン翼」「るろうに剣心」「地獄先生ぬ~べ~」等の、自作品に戻ってくる作者が大勢います。

これも、他の作品を描けない訳ではなく、最も得意な鉄板ネタが最も読者に喜ばれるからこそ続きを描き続ける判断な訳です。

どうやって鉄板パターンを身に着けられる?

自分が得意に感じられる作品を、探し出し、上手に描けるまで、何度も繰り返し完成まで描く事で、初めて身に付く物です。

これを見つけるためには、自分が「好き」かつ「描きやすい」ジャンルを、探し出せれば理想的です。

好きなだけで描きにくいのも、描けるけど好きではないのも、そのままでは継続して描きにくいです。

どちらかを見つけたら、描けるようになる努力か、好きになる切欠探しをすると、得意に近付けるかもしれません。

全然、自分の鉄板パターンと出会ってないと感じる場合は、創作の外側に目を向けるのも効果的です。

思わぬ、自分の中の何かが、鉄板ネタとして創作と融合する事があります。

時雨沢恵一先生の「重火器」、オノナツメ先生の「イタリア、老眼鏡」、森薫先生の「イギリス、メイド」等、趣味がそのまま鉄板ネタになり、強力な武器になる事は非常に多いです。

この記事が、創作者として、作品として、キャラクターとして、等の鉄板ネタ・パターンを見つける切欠の一つになれば嬉しい限りです。

※この記事は、追記・編集していくかもしれません。

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