【気持良い】物語を面白くする『主人公にとって都合の良い状況』とは?【ご都合主義】

面白くなる種

物語クライマックスでのご都合主義は、物語をつまらなくする。

だが「事の始まり」でのご都合主義は、物語を面白くする。

その時、その物語が「どこまで主人公にとって都合が良い状況」になるかで、期待値は変わってくる。

クライマックスでは「悪いご都合主義」だが、事の始まりでは「良いご都合主義」になると言う事だ。

これは、以前にも触れた事がある。

期待値を高めるご都合主義は、主人公への「共感度次第」で、過度な脳内麻薬を分泌させ、楽しい気分にさせてくれる。

この記事では、そんな「気持ち良くなる」作品に必要な「主人公にとって都合の良い状況」について話そう。

共感度を高める

主人公と読者・視聴者の共感度を高めると、高められた層の人は、その作品に没頭しやすくなり、結果的に面白いと感じやすくなる。

共感度を全方位で高める事は難しく、主人公は、必ず「誰か特定の層」に向けて尖らせる必要がある。

その際、共感度を高める視点として、主人公と、主人公を追体験する人との「共通点」がとても重要になる。

共通点が多い程、共感をしやすくなるからだ。

「特定の層との共通点」と言う、リンクするポイントがあって、初めて、そこをたどって主人公の事を「深く理解」し、共感出来る。

その時、抽象度が低過ぎず高過ぎずに、共通点がマッチすると深く理解するのに繋がり易い。

例えば、「人」と言う共通点では、共感度が低い。

「人」は、共通点として広く、浅く、抽象度が高すぎるからだ。

「人」と連想して、あなたが「あなた」を真っ先に想像出来ないなら、あなたにとって「人」は誰にでも当てはまる広く、浅い共通点でしかない。

これが「読書好き」ならどうだろうか?

抽象度は下がり、少し具体的になった。

あなたが「あなた」を真っ先に想像出来たなら、あなたは読書好きだろう。

あなたは登場人物が読書好きだと、それだけで共通点から親近感が湧く筈だ。

では「赤い本の帯の白文字の煽り文句が好き」になると、どうだろう?

ここまで来ると、マニアックになり、具体的過ぎるのが分かると思う。

尖り過ぎてしまい、マッチして刺さる人には「超わかる」となるが、大半の人には、マッチせずに刺さり「痛い」と感じられる。

高めた共感度の要素で、都合を良くする

例えば、主人公が「動物好き」としよう。

だが、「住んでいたマンションではペットは飼えなかった」とする。

共感度が高まった要素を見れば、どこの都合を良くすれば良いか、一目瞭然だろう。

ここの主人公の共感度を高める要素と、都合の良い状況がマッチしていると、それだけで物語は終始面白くなるポテンシャルを獲得する。

要は、動物好きなら、動物と接する状況を持ってくればいいのだが、その時、ペットを飼うみたいな「普通」よりも、どこかで予想外の方向から「思いもよらない」状況を生み出すと、一気に物語は勢いよく回り出す。

思いもよらない方向からのプレゼント

人は、嬉しいサプライズが好きだ。

「喜んで終わる」事と「驚く」事の両方が揃った状況は、物語に限らず嫌いな人の方が少ない。

なので、思いもよらない状況を設定し、それが共感度を高める要素とマッチし、「実は主人公にとって都合が良い状況になっている」と言う事の始まりは、物凄く歓迎される。

動物好きが主人公の共感ポイントなら、思わぬ理由でペットを飼う事になったり、動物と触れ合う機会に恵まれれば、それでいい。

それが思いもよらない、主人公にとって都合が良い状況であれば、何でも良い。

例えば、「けものみち」では、動物好きの主人公が獣人やモンスターのいる異世界に勇者として飛ばされ、ペットショップ開業を目指す事になる。

物凄く主人公にとって都合が良いのだが、だからこそ気持ちが良く、面白い。

それは、主人公が想定していない「思いもよらない」方法で、夢が実現していくので、先が読めないからだ。

なろう系の「事の始まり」と「クライマックス」

多くのなろう作品は、面白さの大半を「主人公にとって都合の良い事の始まり」に頼っている。

だから、チートを手に入れ、好き勝手する分には面白い。

だが、この「主人公にとって都合の良い状況」は、クライマックスとは死ぬほど相性が悪い。

セオリーとしては「都合の良い状況から始まる『物語の中で手に入れた物』を使って、ギリギリようやく解決出来る問題を解決する」等の手法で、クライマックスも面白く出来る。

しかし、何割かの作品は、クライマックスまで「主人公にとって都合の良い状況」で進んでしまう。

つまり「主人公にとっては都合が良い」が「面白い物語としては何も準備出来ていない状況」で進んでしまったり、進み方が分からずに未完になってしまう事も多い。

この問題は、パラダイム(物語の始まりから終わりまでの基本的な流れ)のパートによって、ご都合主義を使い分けないといけない事を理解するだけで回避出来る。

事の始まりでは歓迎される事が、クライマックスでは歓迎されない、それだけの事だったりする。

「普通出来ない事」と「絶対にやってはいけない事」

「普通出来る事」と「やって良い事」ほど、面白くない物は無い。

主人公にとって都合の良い状況は「普通出来ない事」が出来る様になる状況か、「絶対にやってはいけない事」をやるしかない言い訳を与えてくれる状況であるべきだ。

同時にこれは、主人公にとって都合の良い状況のお膳立ての大切さも教えてくれる。

読者・視聴者が、もし同じ状況になったら「誘いに乗るしかない」と共感出来る状況で無いと、そこで共感のリンクが切れてしまう。

例えば、魔法が使える様になるのは、出来ない事が出来るようになる状況だ。

問題は、魔法を使うとしたら、そこでも共感を呼ぶ事をするべきと言う事だ。

イジメられっ子なら、復讐を考えても良いし、貧乏なら金儲けに利用できないか考えても良い。

絶対にやってはいけない事の場合は、やる言い訳の都合が良く、更に、読者・視聴者が自分でもやってしまいそうな状況を設定する事で、共感度は高まる。

例えば、泥棒は悪い事だ。

だが、大泥棒や怪盗にはロマンがある。

その点では共感を得られるという事だ。

で、やる言い訳は、例えば、悪人から奪い返すとか、脅されてやっているなんて物は基本だろう。

つまり、やる言い訳の基本は、その行いが「見方によって正義になる」か「被害者だから仕方がない」と言う状況を作る事だ。

これは簡単に言えば、倒して然るべき共感を呼べる「敵」や「脅威」を設定する事で、やってはいけない事の許しを得る手法である。

ホラーやエロでは「事の起こり」だけでも成立する

感情を動かす事が主となる媒体では、「主人公にとって都合の良い状況(ホラーの場合は、都合の悪い状況)」『だけ』を描写する事で、事件は何も解決しないが、ピンポイントで強烈な印象を与える事が出来る。

私の大好きなホラー漫画に「不安の種」シリーズがあるが、この作品は、この手法のつかい方が上手く、タイトル通り「不安の種」だけを心に植えて終わる。

また、多くのセクシーな描写に重きを置かれた作品では「主人公にとって都合の良い状況」は歓迎されるが、そこから起きる主人公の問題解決に至っては、蛇足とされる事も多い。

思いもよらない部分で苦労させよう

状況の作り方は十分に分かってきたと思う。

最後に、この状況から、どうやって面白い物語を作るかだ。

「主人公にとって都合の良い状況」ではあるが、「思いもよらない方向からきた」と言う所が重要となる。

この「思いもよらない」によってもたらされる要素によって、主人公は、劇中で苦労する事になる。

いや「なるべき」なのだ。

都合の良い部分では、主人公は輝ける。

モチベーションがあり、問題解決能力を遺憾なく発揮出来る。

だが、思いもよらなかった要素は、主人公を苦しめる。

事が始まってから、本当に物語として面白くするには、この「思いもよらない要素」と主人公の関わり方が、実は、かなり重要と言う事だ。

例えば「ダンジョン飯」では、主人公達にとって思いもよらない要素は「ドラゴンに仲間が食われる」で、助けに行かなければならないという「良い訳」によって「モンスター料理」と言う「やってはいけない事」の免罪符を手に入れる事で物語が動き出す。

モンスター料理よりも、圧倒的に仲間の救助で苦労している事は、読めば分かるだろう。

という事で、今回はこんな感じで。

スポンサーリンク

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください