「正義の盗賊物語」とは?
ここでは「正義の盗賊」をテーマにした物語を解説します。
日本で馴染み深い代表作は「ルパン3世」等です。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「使命を果たす為、禁忌を破る物語」となります。
解説
正義の盗賊?
まず「正義の盗賊物語」とは、どの様な物語を指すのか?
この記事では「裁かれる事の無い悪者から、価値ある物を奪う事で成敗する物語」として解説していきます。
主人公は泥棒
この形式の物語の主人公は、大抵の場合は「泥棒」です。
泥棒でない場合でも、泥棒に使える特技を持っています。
作品内世界では既に有名だったり、その業界では名が知れた存在です。
既に、何か大きな仕事をこなした経験があったり、圧倒的な実力をこれまでの人生で手に入れています。
ただし、主人公自身も実力者ですが、主人公一人では大きな計画を実行する事はできません。
特別な能力を持っていたり、凄い特技を持った同レベルの味方がいて、これが主人公にとって最大の武器となります。
当然ですが、表の世界では一般人に紛れています。
盗みへの誘い
物語が始まると、事件が起きます。
それは、大仕事への誘いです。
宝を持つ悪者や、悪者が狙う宝の情報が、主人公にもたらされます。
宝を持つ資格がない者、宝を持っていると危険な者の手に、宝を置いておけません。
悪者よりも、主人公と仲間達の方が、宝のあるべき正しい場所を理解しています。
どうやって盗むか、計画
主人公達が盗もうとしている物は、厳重な警戒態勢の中で守られていたり、とても盗みにくい場所にあったりします。
なので、まずは計画です。
侵入ルート、逃走ルート、建物の図面、警備の配置、監視カメラの配置、監視カメラの無効化、赤外線センサー攻略、感圧床、温度計、通風孔、ダクト、鍵、金庫、等々、攻略対象は沢山あり、その全てを要領良く突破する必要があり、それには下準備は必須です。
どうやって盗むか、準備
計画を立てたら、次は入念な準備です。
必要な道具、技能を持つ仲間の招集、予行演習、下見、あらゆる準備を行い、計画が破綻していないかの確認も含め、準備万端にしておきます。
計画開始
いよいよ、プロフェッショナル達の仕事の時間です。
計画と準備は、整っています。
計画通りにいけば、楽勝で盗み出せる筈。
アクシデント発生
ところが、計画通りに事は運びません。
入念な計画と準備によって、順調かに見えた大作戦に、思わぬトラブルが発生します。
金庫がより頑丈な物に変わっている、警察に取り囲まれる、事故が起きる、裏切りが発生する、道具が故障する、仲間の一人が捕まってしまう、等々。
また、敵が完全に臨戦態勢になり、主人公達の妨害を始めます。
計画破綻寸前
計画自体に暗雲が立ち込める中、主人公達は引き返す事は出来ません。
作戦が動き始めたら、なんとしてもやり通さなければ失う物の方が遥かに大きいのです。
プランB
主人公達は機転とスキルで、ギリギリ危機を突破していきます。
仲間で連携してのアクシデントへの対処能力の高さこそが、主人公達のチーム最大の強みです。
計画に無いし、準備もしていないが、既にある物やその場の物を使って問題を解決する事で、宝へ手が届きます。
最終決戦
主人公達は、悪者と相対します。
警備、警察、特殊部隊や悪者の手下が宝を奪い返そうと攻撃してきますが、彼らを倒す事が目的ではなく、宝を奪う事が目的なので、別に倒す必要はありません。
一応事前の計画には逃走までしっかり入っている為、主人公達の勝利条件は逃走確定の状態に持っていくことです。
フィナーレ
追っ手をまいたり、追跡不可能な状態に陥らせたり、警察に捕まったフリをして警察が仲間だったり。
主人公達が悪者の手が届かない状態になり、勝利が確定します。
時には、悪者の悪事を暴露して刑務所に送ったり、財産を奪って力を奪ったりする事で追跡不可能な状態にする事で、主人公達は安泰となります。
大仕事をやり切った主人公達は分け前を分配し、それぞれの生活に戻っていき、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、大泥棒の主人公が、悪から宝を奪う事で結果的に成敗する物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、主人公を含めた仲間達の活躍するパートにあります。
計画、準備、実行、そしてアクシデントで、全員が活躍することで輝きを放ち、キャラクターとしての魅力を遺憾なく発揮できます。
なので、厳選されたメンバーのみのチームを組む事で、無駄なくキャラクター運用をする事が重要となります。
「オーシャンズシリーズ」「グランドイリュージョンシリーズ」等、無駄のない専門家集団ですよね?
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
スーパーヒーロー
- 弱点や制限
- ヒーローとしての名前
- 守るべき相手
- 倒すべき相手、解決すべき問題
タブー破り
- その社会での禁忌
- 禁忌を破らないと満足出来ない主人公と仲間
- 禁忌を破った代償
「世直し物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
※他の形式の物語も知りたい場合は、物語カテゴリーをご覧ください。
※アイキャッチはヒューマンピクトグラム2.0様より使わせて頂いています。
“シナリオの書き方「正義の盗賊物語」の脚本構造を紹介!悪から盗めば正義?” への1件の返信