好きな人の一番では無いけれど……
人とは、ちょっとした事で特定の誰かを激しく好きになる事がある。
相手を求める「恋」は、相手が応えなければ成就する事はない。
大半の人は「恋」が叶わなければ、そこで熱が冷めたりするものだ。
だが、一途さは時に、例え「絶対に報われない」と分かっていても、相手を求める「恋」を、相手に与えたい「愛」に昇華させる事がある。
この「無償の愛」とも呼べる物は、良好な親子・兄弟姉妹・友人・恋人・配偶者・等に向けられ、その愛の重さは関係の深さに比例する。
相手からのテイクが少なくとも、時に新規では何もなくとも、自分がテイクをし続けてしまう様な関係だ。
この、一種の精神的依存状態は、現実では時に危険に働く。
クズな相手に貢がされる事に利用されたり、そう言う事も十分にあり得るのだ。
しかし、フィクションの世界に置いては、キャラクター同士でなら、この「報われない愛」は、切なさの1ジャンルとして非常に人気があり、テクニックとして超有用だ。
この記事では、そんな「報われない愛に準じたキャラクター」達を紹介していく。
なお「報われない愛に翻弄された」が、別のキャラクターに乗り換えた事で幸せになったキャラクターは含まない。
また、ネタバレを含むので、その点は注意して欲しい。
アップロード ~デジタルなあの世へようこそ(2020)
人の記憶をコンピュータに保存出来るようになった未来、自動車事故で死んだ主人公が企業が管理する人工の天国でエンジェルと呼ばれるオペレーターと恋に落ちる物語。
同時に、主人公の死亡事故を仕組んだ陰謀を解き明かす物語でもある。
主人公の恋人イングリッドが、一見「こまったちゃん」で裏がありそうな動きをするキャラクターなのだが、実は主人公を助けようと暗躍している。
主人公が1話目で死亡している上に、主人公は別の女性に惹かれてしまう事で、イングリッドが欲しい物が手に入る事は無いと言う切ない立場に置かれている。
ガングレイヴ(2002)
町のチンピラから始まり、ミレニオンと呼ばれるマフィアのスイーパー(殺し屋)として出世していく寡黙で不器用な男、主人公の『ブランドン・ヒート』は、ヒロインの『マリア』の事を静かに愛していた。
マリアもブランドンを愛していたが、マリアは身を引いたブランドンの想いをくみとり、ミレニオンのボス、ビッグダディと結婚し、娘のミカを授かる事となる。
その後、ブランドンの親友ハリーがクーデターを起こし、ブランドン、ビッグダディ、マリアを殺害してミレニオンのボスの座につく。
ブランドンは、密かにネクロライズと呼ばれる強化人間化を施されて生き返り、ミレニオンに命を狙われるミカを守るために戦いに身を投じる事になる。
ザ・ボーイズ(2019)
アメリカ社会の暗部と言うストーリーテーマを、ヒーロー企業と言うモチーフを通して鋭く描き出す、アメコミを原作とした人気ドラマシリーズ。
主人公を反ヒーローレジスタンス組織「ザ・ボーイズ」に誘うブッチャーが、このキャラに該当する。
ブッチャーは、最強のスーパーヒーローで最恐のクズであるホームランダーによって愛する妻を奪われ、復讐に取りつかれている。
しかし、死んだと思っていた妻は実は生きていて、ホームランダーによってレイプされて出来た息子と二人で隠れて暮らしている事を知る事となる。
妻を取り戻す為に計画を張り巡らせるが、妻はホームランダーとの息子の手によって、事故で命を落とす事になってしまう。
天敵が妻をレイプして作った子供によって、愛する妻を奪われたブッチャーだが、妻の遺言で子供を守り闘う事を誓う。
ハリーポッター シリーズ(1997)
魔法学校の教師『セブルス・スネイプ』は、物語初期では謎めいていて、主人公のハリーの敵ではないが、決して味方もしてくれない、ハリーに対して当たりが異常に厳しく、自分が監督するスリザリン寮を贔屓にする、ちょっと嫌な教師として登場する。
その正体は、裏ではラスボスであるヴォルデモートの配下であり、同時にダンブルドア校長に従ってヴォルデモート側を監視する二重スパイであった。
ハリーに対して厳しいのは、後にハリーの亡き父親と犬猿の仲だった過去と、ハリーが父親と瓜二つな見た目だったからだ。
そんなスネイプ先生が愛に殉じた相手は、ハリーの亡き母親である『リリー・エヴァンス』に対してであった。
スネイプ先生は、好意を抱いていたリリーに、とある切欠で嫌われてからも、忘れる事が出来ずに想い続けていた。
ある日、リリーの死に関わってしまった事を切欠に、リリーの一人息子であるハリーの事を命に代えても守る様になる。
当然、想い人が故人の為、スネイプ先生の愛は、決して報われる事はない。
だが、愛していたリリーの子供と言う理由は、スネイプ先生にとっては十分危険を冒すに値する理由となったわけだ。
望む形で愛が報われる事は無かったが、スネイプ先生の活躍によってヴォルデモートを倒すチャンスを得、全ての戦いが終わった後に、ハリーは自身の子供にダンブルドア校長とスネイプ先生の名前をとって「アルバス・セブルス・ポッター」と名前を付ける事になる。
この名前を与えられた子は、リリーに似た目をした子であった事が、また泣かせる。
ベルセルク(1989)
傭兵団「鷹の団」の一員で、主人公ガッツの仲間である『ジュドー』は、団長グリフィスを敬愛している仲間の一人『キャスカ』の事を密かに想っている。
しかし、キャスカはグリフィスとガッツの間で揺れ動き、そこにジュドーの入る余地は無い。
なのだが、ジュドーは「蝕」と呼ばれる邪神と怪物の宴に巻き込まれた際、命を懸けてキャスカを逃そうと闘う事になる。
Re:ゼロから始める異世界生活(2012)
辺境伯ロズワールの屋敷でメイドをしている『レム』は、主人公の『スバル』に救われた事で、スバルの事を想う事になる。
スバルの能力「死に戻り」で見た世界の可能性の中では、スバルの為に幾度と無く運命に殺されるレムが描写され、レムのスバルへの愛の深さが伺える。
そんな関係に悪い気がしないスバルだが、あくまでも本命はエミリアであると告げるのだが、それでもレムはスバルを想う事をやめない。
※この記事は、追記・編集していく予定です。