気持ちの良い組み合わせ
前回も、引き続き「新世紀エヴァンゲリオン」を軸にして、トップクラスのヒット作品と要素を比較してみた。
今回は
の続きだ。
これまでで、
- ロボットモノでは、主人公が専用機のロボットに乗った方が良い=描く作品ジャンルには一定のルールがある。
- 世界系設定はヒットの妨げにはならない
- 日本では日本が舞台か、実在しない異世界が舞台の方が受け入れられやすい
- 見た目に見苦しくない少年少女が主人公である方が受け入れられやすい
- バトル要素がある場合、誰や何と戦ってドラマが起きるかが重要
に加え、
- ヒット作では、明確なキャラクターグループが作れる
- 主人公の動機が、主人公が善人の場合はチャンスでもトラブルでも、必ず「誰かの為」で、自己犠牲的な側面がある
- 自己中な理由で行動する主人公は、相応の報いを受ける(調子に乗って破滅する、ドラえもんののび太くんみたいに)
等の条件が分かってきた。
今回は、キャラクターを掘り下げて、更に条件を洗い出して行く。
性格の役割で見てみる
登場人物には、役割がある。
シーン毎に最適な登場人物が担う『英雄(ヒーロー)賢者(メンター)仲間(アライズ)使者(ヘラルド)影/悪者(シャドウ)いたずら者(トリックスター)門番(シュレスホールド・ガーディアン)変化する者(シェイプシフター)』等のキャラクターアーキタイプについては、キャラクターの類型・役割・タイプを色んな切り口でまとめてみました!の記事で触れている。
これは、パラダイムのシークエンスやシーン毎に役割を担うキャラクターが違う事がある為、物語全体を指して「この登場人物は○○だ」と固定化する事が出来ない登場人物が存在するので、ここでは触れない。
例えば、ある場面では仲間として機能していた登場人物が、別の場面では、使者やいたずら者に変化するような場合だ。
ここでは、物語のパラダイム毎の役割ではなく、登場人物のグループ内での、性格の役割について触れていく。
以下、およそで、かなり感覚的な部分こそあるが、グループ内での登場人物の性格を属性で分けてみた。(一部、キャラがうろ覚えで怪しい所もあるが御容赦を)
タイトル | 道徳(キュート) | 背徳(ダーク) | 感情(エモーション) | 論理(ロジック) | 情熱(パッション) | 冷静(クール) |
新世紀エヴァンゲリオン | 碇シンジ | 惣流・アスカ・ラングレー | 綾波レイ | |||
ラブライブ!サンシャイン!! |
2)渡辺 曜 1)黒澤 ルビィ |
1)津島 善子 |
1)国木田 花丸 3)小原 鞠莉 |
3)黒澤 ダイヤ |
2)高海 千歌 3)松浦 果南 |
2)桜内 梨子 |
おそ松さん | チョロ松 | おそ松 | カラ松 | トド松 | 十四松 | 一松 |
進撃の巨人 | アルミン・アルレルト | エレン・イェーガー | ミカサ・アッカーマン | |||
化物語 | 阿良々木 暦 | 千石 撫子、忍野 扇 | 八九寺 真宵、阿良々木 月火 | 羽川 翼、斧乃木 余接 | 神原 駿河、阿良々木 火憐 | 戦場ヶ原 ひたぎ、忍野 忍 |
魔法少女まどか☆マギカ | 鹿目 まどか | 佐倉 杏子 | 巴 マミ | 美樹 さやか | 暁美 ほむら | |
ユーリ!!! on ICE |
勝生勇利 |
ユーリ・プリセツキー | ヴィクトル・ニキフォロフ | |||
機動戦士ガンダム SEED |
キラ・ヤマト |
カガリ・ユラ・アスハ | アスラン・ザラ | ラクス・クライン | ||
マクロスF | 早乙女 アルト | ランカ・リー | シェリル・ノーム | |||
コードギアス 反逆のルルーシュ |
ナナリー |
ルルーシュ・ランペルージ |
シャーリー |
枢木スザク | 紅月カレン | C.C. |
機動戦士ガンダムUC |
バナージ・リンクス |
リディ・マーセナス | オードリー・バーン | |||
けいおん! | 琴吹 紬 | 平沢 唯 | 中野 梓 | 田井中 律 | 秋山 澪 | |
Fate/Zero | セイバー | 衛宮切嗣 | アイリスフィール・フォン・アインツベルン |
ここで見て欲しいのは、登場人物から受ける印象がバラバラになる様に、性格設定をされていると言う当り前の事が、まず一点。
入れているマス目の項目が間違っていたり、解釈が違うとしても、そこは重要じゃない。
一つの作品のグループ内では、必ず登場人物毎に性格が違う筈なので、一つのマス目に登場人物が一極集中すると言う事は無いと言う事が重要なのだ。
もう一つは、キャラクターの性格毎の、物語上の役割の何となくの分布だ。
こうして見ると「主人公」「ヒロイン」「ライバル」等が、作品を縦断してパターンがある事が分かるだろう。
そして、日本のアニメでは、どちらかと言うと物静かなヒロインがかなり優遇されている事にも気付くはずだ。
日本でヒット作を目指すなら、物静かなヒロインは必須と言っても良いのかもしれない。
終わりに
次回は、問題解決の役割で見てみる。
物語は、トラブルへの対処でも、チャンスを掴む為の計画遂行でも、必ず問題解決の行動によって前に進む。
困難な問題の解決行動には、仲間達との役割分担が必要となる。
協力をするにしても、それぞれに違う特技があって、初めて大きな事を成せる。
全員が同じスペックで同じ能力では、同じ問題しか解決のしようが無いからだ。
問題解決に不可欠な能力や特技の、役割もバラバラなら、何らかの法則性があるかもしれない。
“「大ヒット作品」の必須要素を考察してみた【第三回】” への1件の返信