良い変化とは間違いを正すもの
迷信、まじない、トンデモ科学……
昔は実際に信じられ、「実害のある行動や選択」に影響を与えていた知識は、古今東西たくさんある。
この記事では、そんな「当時は正しいと信じられていた知識」を紹介していく。
差別系
歪んだ優生学
1933年、ドイツにおいて、遺伝的かつ矯正不能のアルコール依存症患者、性犯罪者、精神障害者、そして子孫に遺伝する治療不能の疾病に苦しむ患者に対する強制断種を可能とする法律が立法化された。
等の事例が有名だが、思想自体は、それ以前からあり、この手の失敗は世界中に存在する。
ある時点の「生産性と機能」を基準に「人の優劣」を決め、劣っていると判断された人々を消す事で人類世界の平均レベル上げると言う、恐ろしいアイディア。
この「人の優劣」が人種に及ぶ事で、人種差別の口実となる。
医療系
傷口を消毒するべき?
不衛生ならば消毒が必要な事もあるかもしれないが、傷口を消毒する必要は、実はあまりないらしい。
手術をする際、消毒するのは医者側であって、傷口に消毒液を塗るシーンをイメージするだろうか?
生物には免疫機能がある為、患部が汚染されていないなら傷ついたとしても自然治癒力でどうにかなり、消毒は痛いだけだと言う。
傷口を乾燥させるべき?
キズパワーパッド登場以前は、怪我と言えば絆創膏、バンドエードだった。
傷をふさぎこそするが、患部に当てる布が血や体液を吸い、かさぶたとなる事で、シール部の粘着性と癒着によって、完治前に剥がすと痛いアイテムでもあった。
だが、キズパワーパッド登場以後、傷口は乾燥させない方が治りが早い事が分かってきた。
キズパワーパッドが無い場合は、傷にサランラップを巻いて水気を維持した方が良いと言う話まであったりする。
つまり、乾燥させるよりも、傷口を体内と似た環境にして自然治癒力をあげる方が良いと言う話だ。
瀉血治療万能説
瀉血とは、古い血を抜く事で身体を治療すると言う物。
現在も実利ある場合は用いられる事がある治療法だが、中世から近世時代のヨーロッパを中心に大ブームとなり、やたら瀉血治療で何でも直そうと言う時代があった。
突き指は引っ張って元の位置に?
突き指をして痛い時、一昔前に「引っ張って元の位置に治す」と言う民間療法が、流行った時期があった。
これは、骨の位置がずれていたり、骨折したりしている場合に、専門知識がある医療従事者等が行う場合には有効だ。
しかし、何の知識も無い人が、骨がズレているのかも確認せず、下手をすると「突いて縮んだ分を引っ張ろう」みたいな思考で行う事がマジであった。
下手な事をすると、脱臼したり、筋を痛める事に繋がる行為である。
病気の原因は悪魔説
近代医療以前の世界では、長らく病気の原因の特定が出来なかった。
現代でこそ、ウィルス、細菌、危険物による汚染等の外的要因から、細胞の癌化等の内的要因まで多くの原因や、それに起因する事象が判明しているが、未判明の時代は全てが宗教と結びつき、悪魔の仕業とされていた。
この考えは、魔女狩りにも通じており、伝染病が流行る事で魔法を使い「呪い」をかけた魔女がいるに違いないと当時の人は考えたわけである。
病気の原因は臭い説
悪魔説と同列で存在するのが、臭いが病気の原因になると言う説だ。
これは「病気になり体臭が変わった」り「臭い、不衛生な場所に行った事で病気になりやすい」と言った経験則から信じられた説だ。
原因と結果を絶妙に取り違えたり外しているのが面白い。
この説を信じた人は、病気になると香水を買って、嗅ぐ事で病気を多そうとする場合さえあった。
ペストが流行った時期にあった「ハッカドロップが消毒に効く説」等も、この臭い説が関わっている部分がある。
薬系
コカ・コーラ(コカイン)
コカインの常習性、依存性が知られる以前、1886年に誕生したコカ・コーラは、コカインとカフェインが入った、今でいうエナジードリンクの様な立ち位置の飲み物だったらしい。
しかし、後にコカインが危険であると広く認知される様になると、コカ・コーラにコカインは使われる事が無くなり、今のコカ・コーラへとシフトしていったと言う。
ヒロポン(覚醒剤、メタンフェタミン)
日本では、太平洋戦争(1941)以前より製造されており「除倦覺醒劑」として販売された。その名の通り、疲労倦怠感を除き眠気を飛ばすという目的で、軍・民で使用されていた。
副作用さえなければ、便利な薬だったと言う事だ。
後に副作用が判明。
1949年(昭和24年)、厚生省はヒロポンを劇薬に指定、製造業者に対し、覚醒剤としての製造を禁止するよう勧告し、1951年(昭和26年)に覚せい剤取締法を施行したことに伴い、日本では「限定的な医療・研究用途での使用」を除き、覚醒剤の使用・所持がすべて禁止されている。
ちなみに、現在も医療用としてヒロポンは存在している。
運動系
腹筋運動は腹筋に効く?
腹筋運動は名前に反して、腰を引き締める事にも、腹筋を割る事にも、とても非効率的だ。
アメリカ陸軍は、体力テストの一つとして数十年間行われてきた「2分間の腹筋運動」を2020年末までに徐々に廃止し、代わりに兵士の戦闘即応力の向上により有効なもの、具体的には
デッドリフト(床に置かれたバーベルを直立姿勢になるまで持ち上げる)、
パワースロー(重さ約4kgのボールを背後に向かって遠くまで投げる)、
ドラッグ&キャリー(重さ40kgのそりを引っ張った後に、約18kgのダンベルを両手に1個ずつ持って走る)
などを採用すると発表し、ワシントン・タイムズが伝えた。
と言う発表で、広まった感もある。
腹筋運動は、どちらかと言えば「背筋」に効くらしい。
また、長時間の腹筋運動は、背中や腰を痛める危険がある為、専門家からは推奨されていない。
うさぎ跳びは身体を強くする?
特に日本の教育現場において、体罰的側面が気に入られて長年愛されたトレーニング法。
1980年代頃から医学的見地から身体に与える有害性が指摘され、禁止の呼び掛けが行われたらしい。
古いスポコン作品で見られるが、辛さと足腰への悪さの方が運動効果を上回っている。
バカになる系
文字を使うとバカになる?
古代ギリシャ時代程度まで、文字に頼る事はバカになると信じられていた時代があった。
頭が良い人は、文字を使わず、頭の中で考え、言葉で表現するべきだと言う感じだ。
コンピュータを使うとバカになる?
歴史は繰り替えす。
電卓、パソコン、携帯電話、等を使うと、計算能力や記憶力が下がると信じられていた時代があった。
テレビを見るとバカになる?
テレビ初登場時、テレビは一部の人にとって邪な装置だった。
お笑い、エロ、そう言った番組を良く思わない人は、テレビを禁止したりした。
マンガを読むとバカになる?
マンガが市民権を得る以前は、有害図書指定されたり、PTAやらメディアに問題視され、何かとやり玉に挙がった時代がある。
そんなマンガは進歩して、オタク趣味を経て、今では当たり前の物として一般にまで広く受け入れられている。
アニメを見るとバカになる?
ディズニーとジブリは多くの場合除外されるが、アニメにも、そういう時期が存在した。
確かに、見ているとIQがガリガリ削られそうなアニメも存在するが、当然、そんな事は無い。
ちなみに、今の日本の映画興行収入トップ10は「踊る大捜査線」が脱落すると、邦画は全てアニメ映画となる。
ゲームをするとバカになる?
ドットの世界を理解出来ない人が多くいた頃、ゲームは時間の無駄であり、ゲームに時間を使う事は良くない物とされた時代があった。
やり過ぎは健康にも良くないが、ゲームをしてもバカにはならない。
むしろ、反射神経を鍛えられたり、ゲームで学んだり、脳トレや筋トレまでもがゲームに取り込まれているのが現実だ。
天文学系
天動説
地球が宇宙の中心で、その他の天体が周囲を公転していると言う説。
天動説自体も、歴史の中で「エウドクソスの同心天球」や「プトレマイオスの天動説」等、様々な説が存在する。
地球平面説/フラットアース
地球は球体ではなく平面と言う説。
昔は、海の端には滝があると信じられていたり。
現代でも信じている人が一定数いたり。
歴史系
天地創造
様々な宗教に於ける「世界の始まり観」は、表現そのままに解釈すると科学的に正確とは言い難い。
この齟齬は、時に宗教と共に科学等を愛する人を悩ませたりもする。
例えば、キリスト教の「天地創造は6千年前」と言うのは有名だが、科学的にはビッグバンを世界の始まりと定義するなら「138.2億年前」が世界の始まりになる。
※この記事は、追記・編集していく予定です。
※他にあればコメント等で知らせて頂けたら幸いです。