旅を通して成長する物語の必須要素
主人公が旅を通して成長する物語がある。
今回は、そんな成長物語の必須要素を説明しよう。
出来ない→出来る
主人公の成長には、必ず必要な物がある。
それは主人公が出来ない事だ。
これは、同時に主人公が未熟と言う事でもある。
出来ない事が出来る様になる事が、成長だ。
難しいが実現可能
出来ない事は、いずれ出来る様になる事である必要もある。
絶対に出来ない事は、成長物語では描く対象ではない。
空を自由に飛ぶ事を目標にするなら、それが劇中で可能な事として描く必要がある。
でも、出来ない事が出来る様になるだけじゃ、足りない。
出来ない事が出来る様になって、何を手に入れられるのかも重要になる。
何を目指す旅か
つまり、成長によって手に入れる手段によって、やがて辿り着く目的地が必要となる。
空を飛びたくて飛べるように練習して飛べるようになっても、それだけじゃ足りない。
どうしても空を飛ばないといけない理由が必要になるわけだ。
飛べなかった空を飛んで、何をしたかったのかと言う事だ。
目的と言うゴールに向かって、出来なかった事を出来る様にする事が、成長物語の基本だ。
では、その中身は、どうなっているのか?
段階的に必要を埋めていく
例えば、ちょっと練習して完璧に出来る様になるのでは、物語は盛り上がらない。
中々出来なかったり、ちょっと出来るようになっても、それが必要な水準に達しなかったり、そういう主人公に何かが欠けている状態から、不足が満たされていく描写が必要になる。
少しずつトライ&エラーで、工夫を重ねて改善していくのが上達であり、これはパズルが完成していく様な気持ち良さを見る者に与える。
出来る様になる事は、一個一個は単純である方がベターだ。
単純な事を組み合わせて、ようやく複雑な事が出来る様になるのが、自然だからだ。
そうやって段階的にステップを踏んだり、道のりを着実に進む事で、少しずつ成長の階段をのぼっていく。
成長=旅
旅と聞くと別の場所に、物理的に移動する事を連想するかもしれない。
例え物理的な移動をしなくても、時間をかけて立ち塞がる何かしらの壁を超えて行く事で肉体的、精神的な成長をして、目的を達成出来るのであれば、それは旅と同じ役割を果たす。
だから、スポーツ等は、成長を描く物語と言える。
別の相手と重ねる試合等は、別の形の旅を描く物語でもあるわけだ。
成長する為には他人が必要
成長する物語を作る上で欠かせないものには、他人との出会いがある。
これは、一人の旅や、個人競技であっても欠かせない。
他人との出会い無くして、健全な成長は描けない。
同じ目的地だったり、ライバルだったり、コツを教えてくれたり。
どんな形であっても、他人と触れ合わずして成長は無い。
本を読んで勉強するとしても、その本を誰かが書いた事を忘れてはいけない。
他人との触れ合いを避けては、成長は遠回りとなる。
教師がいた方が、効率的に人は成長できる。
この事実は、成長物語に、一つの普遍的なメッセージを形成する。
本当に価値あるものは?
それは、目的や目標、あるいは旅の終着点にのみ意味があるのではなく、そこに至る過程にも意味があると言う事だ。
正しい成長の先にしか、本当の目的達成は、あり得ない。
この正しさは、倫理や正義ではなく、必要を満たす真の成長だ。
成長する物語の答えは、いつだって、主人公が物語を通して手に入れたのは目的の物だけでなく、旅の途中で出会った人との縁や絆にこそ価値があった、と言う風になる。
だから、スポーツモノでは、時に優勝よりもチームメイトやライバルと言った、目的を同じくする人との絆こそが宝物と言う風に描かれる。
終わりに
主人公の成長を描くとは、
- 主人公が欲しいもの目指して向かう旅の道程
- 旅の途中で出会う主人公に影響を与える人々
これらを魅力的に描く事、と言う事でした。
スポーツで優勝を目指しているのなら、優勝が目指す先で、仲間との練習やライバルとの試合が旅の途中です。
優勝自体にも価値はありますが、同時に同じだけの価値があるのは、主人公を旅の目的地にまで導いてくれた仲間や、旅の途中での出会い、様々な経験です。
それらがあって主人公は初めて輝かしい結果を残せるわけで、出会う以前は色々と足りなかった主人公を結果的に満たした人々には、得られた結果と同等の価値があります。
成長や旅を描く時は、
- ゴールに待つ手に入れないといけない宝や目的
- ゴールに辿り着くまでに必要な物
- 必要な物を与えてくれる出会い
を最初に考えると、他の要素を考えやすくなると思います。
創作の参考になれば。