問題解決行動をコアに据える理由
ストーリーテリングにおいて、何を中心に創作するかは、創作者の数だけ存在する。
しかし、声を大にして言いたい。
「問題解決行動」を中心に置くと、物語の創作は、本当に楽になる。
それは、なぜなのか?
今回は、その事についてお話ししよう。
問題+解決+行動セットの意味
創作する際、テーマやモチーフを決めたり、キャラクターや、その行動、世界観等を考えると思う。
いつ、だれが、どこで、なにをするか、5W1Hとか、まあ、色々ある。
創作の始点、つまり、クリエイティブのスタートは、ぶっちゃけ何でもいい。
どこから作り始めても良い。
だが、物語と言う物にするとなると、必ず「問題解決行動」を描く必要が出てくる。
問題を解決しない物語は存在しない
まず、大前提として、劇中で主人公が問題を解決しようとしない物語は、存在しない。
問題の起きない物語は、ハッキリ言って面白く無い。
ここで例えば、日常系とか「問題が起きない作品がある」と思う人もいるだろうが、日常系とは、「日常の問題を解決する物語」だ。
問題の大きさや厳しさは作品によって全然違うので、問題と認識出来ていない可能性がある。
だが、あなたが好きな物語は、100%、必ず、主人公が大なり小なり、何らかの問題を解決しようとしている。
これは、絶対にだ。
好きな作品を想像して欲しい。
思い出して欲しい。
必ず、何らかの問題解決が描かれている。
問題を解決するには、問題を解決するための行動をするしかない
100%問題が起きて、それを解決しようとする事が面白い物語の絶対条件と言う前提があると、どうやって問題を解決するかと言う話になる。
現実の場合、誰かが勝手に解決してくれたり、未解決で放置したりする事もある。
だが、物語の世界では、中心として描く解決すべき問題は、主人公が行動する事でしか、正しい解決は望めない。
つまり「問題」が起きる事が第一条件で、第二条件に「解決」に向けて動き、解決させる事を描く必要があり、その為には第三条件として「行動」を描く事が不可欠となる。
「問題解決行動」を考えようとすると、それらが全て満たされる事になる。
キャラクター至上主義の落とし穴
キャラクターが全てで、良いキャラを作れば良い物語を作れると考えている人は、意外と多い。
だが、そのキャラクターが「問題解決行動」をとる事が、大前提となる事を、知らない人も、また多い。
キャラクター至上主義の落とし穴は、カワイイ、カッコいい、魅力的なキャラクターを作るだけ作って、解決すべき問題が無かったり、解決する立場や術が無かったり、解決行動を取らせられなかったりと、キャラクターとしては設定が出来ている風に見えても、物語の登場人物としては不完全な状態になる事がある所だ。
これは、世界観を先に練る際も、起きうる落とし穴だ。
その世界に、どういう解決すべき問題があって、誰なら解決する為の行動がとれるか。
そして、その立場のキャラを主人公にちゃんと出来るかを、意識していないが故に外してしまう人は、やはり、かなりいる。
すると、劇中の解決するべき問題と、主人公が解決するべき問題が噛み合わないなんて事も起きる。
チャンスもトラブルも、結局は問題解決行動が必要
チャンスの物語の場合、問題が無さそうに思える人もいるかもしれない。
だが、チャンスを得ても、それはチャンスでしかない。
チャンスを手繰り寄せる為に、足りない何かが必ず主人公には、存在する。
すると、手繰り寄せる為に足りない物を満たす事が、問題解決行動となる。
一方で、トラブルは、問題が分かりやすい。
トラブルの解決を目指せば、自然と問題解決行動になるのは、深く考えずともわかるだろう。
ジャンル毎の基本的な問題
ヒーロー
ヒーロー物では、自分勝手に振る舞うヴィランが問題である事が多い。
ヴィランを無力化し、平和を取り戻す事が問題解決行動だ。
だから、ヒーローはヴィランと戦う。
禁忌破り
禁忌を破る物語の場合は、周囲に秘密にしながら禁忌を破ってでもやりたい事をやる事が多い。
ロミオとジュリエットみたいな、許されない相手との逢瀬とか、色々ある。
周囲に後ろめたい秘密を必死に守りながら、願望や欲望を満たすのが、問題解決行動だ。
ミステリー
ミステリーは、解かないといけない謎を解く必要がある。
事件の犯人を追う事で、問題を解決しようとしている事が分かるだろう。
モンスターパニック
モンスターパニック物は、モンスターから逃げ切るか、倒すかする必要がある。
その為には、モンスターへの対処法を探る必要がある。
モンスターと言う分かりやすい問題を如何にして解決しようとするかだ。
特別な力
特殊能力や魔法を手に入れたら、それまでは出来なかった事が出来るので、それを利用して望みを叶えようと行動する。
特別な力を使って、やっと手に入る夢を叶える為に行動する事が、問題を解決する為の行動となる。
相棒
バディ物は、一人では解決不可能な問題に、バディとの絆を深め、不足を補い合う事で立ち向かう物語となる。
刑事物なら、凸凹コンビが事件の解決を目指すのが想像つくだろう。
恋愛物なら、何が二人の間を邪魔しているか、それを排除すれば晴れて恋人となれる。
組織の問題
組織と言う物は、何かしらの問題を抱える物だ。
差別、形骸化したルールや、腐敗したトップ等、何が主人公にとっての問題となるか。
そして、主人公が、その問題に、いかにして対処し、解決を目指して行動するのか。
難題解決
個人が遭遇するには大きすぎる問題との遭遇が、この系統だ。
大災害とか、一人でテロリストを相手にする事になったり、難題は実に様々だ。
問題解決行動は、多くの場合は、第一に生き残るための行動となったりする。
革命
古かったり、誤ったルールに支配された環境には、問題が山積する。
荒れた学校や職場、未開の国。
そう言った場所で、革命を起こすと言う事は、問題を解決する為に行動すると言う事である。
変わり者
変人は、周囲に理解されない。
だが、変人だからこそ成せる事がある。
周囲の無理解を乗り越え、目標に向けて行動する事は、問題解決行動となる。
成長の旅
そもそも、成長は、出来なかった事が出来る様になる変化である。
何も、育つ事だけが成長では無い。
ちなみに、出来ない事が増えていく事が衰えである。
スポーツ物なら、強敵との対決を制する為に準備し、試合で勝っていく事が問題解決行動だ。
冒険物なら、何か問題を解決する為に、どこかを目指したり、誰かを訪ねたり、そう言った旅の理由がある筈だ。
ファンタジーで魔王討伐を目指すのは、魔王と言う問題に対処する為である。
人生の岐路
人生の節目で、人は思わぬ問題に遭遇する事がある。
正攻法では解決不能の問題に晒された時、人は思わぬ問題解決行動を取る事になる。
犯罪に手を染めたりと言った事だ。
問題解決行動は、中心であって、始点と言う訳では無い
問題解決行動から考え始める事も出来る。
だが、多くの場合は、上記したキャラクターや世界観等の設定を始点として考えてから、そこに問題解決行動を繋げ、始点と問題解決行動の周囲に設定を広げていく方が効果的だろう。
そうする事で、物語の必須要素を成り立たせる設定を練るのが楽になる。
「問題解決行動」を中心に考えて、物語を創作する事が、いかに有用であるかを説明してきた。
正直、まだ語れていない所もあるだろうが、この記事が物語を作る上で、あなたの役に立てば嬉しい限りだ。
“なぜ「問題解決行動」を中心に考えると物語を作るのが楽になるのか?” への1件の返信