問題を解決する行動を考える為に
前回、なぜ「問題解決行動」を中心に考えると物語を作るのが楽になるのか?で、問題解決行動が、いかに重要かを説明した。
今回は、問題解決行動と言う視点で、それを具体的にする方法を簡単に説明する。
この記事を読むと、3幕構成の2幕を考えやすくなる、かもしれない。
1:主人公は直近で何に困ってる?
まず、最初に見るべきは、主人公が何に困っているか。
それも、直近の問題が良い。
例えば、
- 自分や大事な人の命の危機
- お金や物等、必要な物が無くて、手に入れないと何かを失う
- 分からない謎があって、解かないと悪い事が起きる
- 難しい任務や使命に挑まないと破滅
等、色々ある。
とにかく、目の前にある、直近の解決しないといけない事が何かを認識しよう。
2:問題の本当の原因は、何?
次に、認識だけしておきたい事がある。
それが、問題の原因だ。
それも「本当の、根本的な原因」についてだ。
何が問題を引き起こす元凶となっているのか。
それを、何かしらの方法で解決する事が、物語のゴールに待っている。
例えば、主人公がお金が無くて金策に困っているとする。
直近の目の前にある困りは、「金が無い」であり、問題解決の為には、どうにかしてお金を稼ぐ事だ。
だが、これは、言ってしまえば対処療法である。
対処療法を続ければ、問題を乗り越え続けられるが、同時に問題は起き続ける。
つまり、根本治療の為の、原因特定こそが問題解決行動にとって最重要となる。
金が無い事で起きる問題の根本的な原因は、何なのか?
例えば「薬を買う金が無い」なら、問題の大本は、病気を治療する事にあるかもしれない。
「借金を返さないと全てを失う」なら、借金している相手をどうにかすれば良いかもしれないし、返済出来る稼ぎのある仕事についていない事に問題があるかもしれない。
主人公にとって、本当に解決しないといけない「問題の本質」が、どこにあるか。
これを認識しているか、後で考えるか、考えないで進めるかでは、物語の出来は大きく変わってくる。
3:問題への対処から始める
まずは、根本解決は、後に取っておこう。
根本解決が最初から出来るなら、そもそも主人公は困ってなどいないし、そこに問題は無い。
出来ないからこそ、そこに問題があって、困っている。
まずは、問題に対して、如何にして対処療法を行うかだ。
主人公が解決しないと困る、直近の問題に対して、直接的な解決策を練ろう。
大事なのは、問題に対して、対処する姿勢。
それが出来ていると、自然と計画を練る事が出来る。
スポーツモノで、相手のチームに勝て無さそうだが、勝たないといけないなら?
勝てる様に、作戦を立てる必要がある。
ここで、我武者羅に練習を重ねては、ダメだ。
それは、計画では無い。
計画は、相手を分析して、弱点を突いたり、得意で勝負したり、そういう事だ。
もちろん、根本的に主人公に準備が出来ていない場合は、修行期間を設けて、必要な能力を獲得する為に練習をする事も時には、重要だ。
だが、本当に必要になるのは、問題に対して、如何にして対処するかを練る事だ。
例えば、「鬼滅の刃」では、ラスボスを倒す事が、根本治療となるが、対処療法として鬼退治をする事になる。
主人公は、修行によって鬼と戦う術を身に着けていくか、重要となるのは「鬼の首を特殊な刀で切る」か「太陽光にさらす」と言う、どういう条件を満たせば、勝利出来るかと言うルールの確認である。
対処療法の為の計画とは、直近の問題に対して、どういう条件を満たせば、直近の問題を無力化出来るかを認識し、その為に準備を整える事である。
そして、準備が出来たら、計画をタイムリミットまでに実行する必要がある。
実際に、勝利条件を満たす為に、何をすれば良いのかは、計画の段階で分かっている。
それを実行する事が、対処だ。
4:根本解決は、問題の根本原因を特定してから
最初、主人公は問題の原因を認識できない。
「鬼滅の刃」なら、ラスボスが全ての原因だと判明するまで、時間がかかるし、対処ではなく根本解決する準備が整うまでも時間がかかる。
根本治療は、原因を特定しないと、出来ない。
なので、主人公は、問題への対処を続ける中で、原因に迫らないといけない。
これを出来ないと、延々と対処だけをしていく事になる。
例えば「ドラえもん」は、基本的に問題対処だけを延々と繰り返す。
主人公が一人前になってしまったら、物語は、そこで終わってしまうからだ。
そういう意味では、ドラえもんは良き友人だが、良き導き手とは言い難い。
5:全てが整う直前で計画前倒し
問題の根本原因が分かり、その対応策も大体は用意出来た。
病気で言えば、病巣の患部が判明し、薬や機材をほぼほぼ準備できたみたいな状態だ。
後は、直接、原因を叩けば良い。
だが、問題の根本解決には、往々にして問題が立ち塞がる事がある。
まず、準備万端で挑めることの方が少ない。
あとちょっとの所で、計画に狂いが生じる。
その方が、物語は絶対に面白くなる。
そして、解決に向けた問題は、解決を躊躇させてくる。
例えば、ミステリーなら、犯人が判明したら、犯人がどんな行動を取るか分からない怖さがあったりするだろう。
冒険ファンタジーなら、魔王を操っていた邪神と直接対決する羽目になるかもしれない。
知りたくなかった事実を突きつけられたり、綺麗な解決は望めない事が判明してしまうかもしれない。
それでも、直接対決するしかない。
そうしないと、問題は、解決しない。
恋愛物なら、勇気を出して告白しない事には、本当の愛を獲得するフラグが立たないし、断られてからが本番なんてパターンもある。
核心に迫るには、問題と肉薄して、時には犠牲を払う必要がある。
この、問題を根本から解決する時に付き物の、痛み・悲しみ・苦しみを乗り越える為に、主人公は成長や変化を必要とする。
だから、物語の主人公には、成長や変化が必須と言われる。
終わりに
今回は、このぐらいに。
紹介した5つのステップで、問題解決行動を具体的にするヒントとなる筈だ。
問題との向き合い方には種類があって
- 対処
- 解決
の二つを使いながら、それぞれのゲームルールを把握した上で、どうすれば勝利条件を満たせるかを、計画と言う形で考え、トライ&エラーを重ねながら実行していく姿を描くのが大事と言う話だった。
思ったより、簡単だったでしょ?
役立てば、幸いだ。