どうすれば言葉で心を刺せるのか?
名作には、名言が存在する事が多い。
人によっては、ずっと心の中に残り続け、言葉を胸に勇気をもって強く生きる事が出来るなんて事もある。
そんな作品が書ければ、作者は誇らしいだろう。
名言、名セリフ、金言、格言、等のそう言った物は、いったいどうすれば作り出せるのか?
今回は、その秘密の一端をコッソリと明かす。
深い事を言う
深い事を言うと、それだけで「うんうん」と、聞く者の心に響く事がある。
しかし必ずしも、これだけでは名言にならない。
だが、これを押さえておくと、名言を生み出す一歩目が踏み出せる。
まず「深い事」とは、どういう事か?
言葉の深さとは、概念の深度や、濃度が関係する。
- お金は”大切”
と言う風にシンプルに表現するよりも、言葉によって伝えたい意味や価値に対して、より深く、濃度を濃くする事で、内容が深くなる。
その際、言いたい事を別の言い方に変換するのは、一般的な手法となる。
例えば、
- お金は”持っている人の社会的な信用を形にした物”だ
- ”大切な人が困っている時に助けるのに必要になる”のは結局お金だ
等と言い換えるだけで、「お金は大切」と同じ事を言っていても、深さが違うのが分かる。
「具体的に語る」事で、言葉が当てはまらない領域を作る代わりに、具体的にした言葉自体は当てはまる領域で深くなると言うわけだ。
逆張りの正解
一見正しい意見に対して、正反対の意見をあえてぶつけるのは、効果的な手法となる。
逆張りする事で、注目を集める事にも役立つ。
そして、一つの正しい事に対して、反対意見の正解を提示できれば、逆張りに共感する人達から大きな支持を得る事が出来る。
例えば、
- 人を傷つける事は悪い事だ
と言う正しい意見に対して、
- 時に、相手がクソ野郎なら分からせる必要がある
みたいな過激な事を言えば、嫌な奴に辟易している多くの人は、少なからず賛同してくれる。
この手法は、上記した「深い事」を言う事で、正解が一つしかない様な事でも、下位概念に無理やり引っ張り込み、次元が一つ低い所での言葉の殴り合いを強要できる。
この手法の怖い所は、最初に深い事を言った方が有利になる所だ。
例の場合なら、「相手が悪い場合は」と言う好条件を先に取る事で、相手には残った「相手が悪い場合でも暴力は良くない」と言う意見で戦う事を強要させやすい。
もちろん、相手が会話の次元がシフトした事に気付けば、更に下の次元にシフトする事や、前提を覆す事で対処は出来る。
新たな視点に気付かせる
- 愛に勝る物は無い
とか、まあ、聞いた事がありそうな言葉や、常識とかが仮にあったとしよう。
それに対して、
- だが、時に憎しみに変わる
- 愛は人を殺す
みたいに、意味としてトータルで両立するが、別の側面がある事を指摘出来れば、深くなる。
当たり前を言い換える
- 生きていれば明日はある
- 日は必ずまた昇る
- チャンスは必ず来る
- 自分の幸せは自分で決める物
- あなたはあなた以外の誰にもなれない
言われてみれば当たり前だけど、当たり前だからこそ気付かされる事もある。
受け入れ、新しい方向へ誘導する
肯定の力は、ものすごく大きい。
一度、肯定のワンクッションがある事で、肯定された人は、相手が味方であると認識、あるいは錯覚をする。
- 仕事がつらい
と言われ、相手が言葉の裏で「出来ればやめたい」と考えている様なら
- 嫌なら、やめちゃえばいいじゃん
と、楽な、逃げる道を一度肯定する事で、理解者のポジションを得られる。
だが、ここで終わりだと、下手をすれば無責任な意見にしかならない。
名言の条件は、ここから「深く」する事にある。
相手の葛藤状態に対して、「辛いが挑む価値がある方」へと誘導する言葉を言えば、それが本当に相手が欲しかった事になる。
相手は、出来れば楽な道に行きたいが、その先に破滅がある道には行きたくない。
状況が上向きそうなチャレンジに行く、そんな切欠や後押しこそ求めている。
つまり「選択の責任を、半分受け持ってくれる事」を求めていると言える。
- どうせなら、やめる前に色々利用してからやめてやれば?
- なんなら、仕事紹介するけど?
当然、発言には責任が伴う。
相手からすると、責任の一端を担ってくれるから選べる選択であり、弱っている心に刺さるからだ。
断言
肯定や命令には、時に根拠など必要ない。
- お前ならやれば出来る
- 俺を信じろ
- 君なら、きっと何度だって立ち上がれる
- 努力は無駄にならない、裏切らない
それが欲しかった言葉なら、事実は後から辻褄を合わせれば良い。
大事なのは、行動に移させてくれる「小さな一押し」の方だ。
奮い立たせる
相手が逃げたいのではなく、戦う勇気が無いだけの場合は、激励が力を発揮する。
- がんばれ
と言う事なのだが、これも、発言者が責任の一端を担う事が求められる。
そして「がんばれ」なんて、浅い言葉では、相手に刺さらない事の方が多い。
もう少し、深く、具体的にする必要がある。
例えば、
- 夢だった好きな仕事だろ。本当に諦めて良いのか?
と言われたら、がんばれと言われるよりも効果があるだろうし、モチベーションが上がるだろう。
大事なのは、どうやってモチベーションを上げるかであり、モチベーションを上げるにはモチベーションの源泉がどこかが重要となる。
つまり「がんばりたい理由を思い出させる」事がポイントとなる。
立ち向かわせる勇気を与える
相手が攻撃を受けている場合、さっさと脱出する事を勧めるのも状況によっては正解だが、時には戦う勇気を沸かせる事が有効な事もある。
- 嫌がらせを受けている
- 暴力を振るわれる
等の場合、提案する戦い方は、いくつかある。
一つ目は、物理的に強くさせる事。
道場やジムに行く事を促すでも、何でも良い。
- そんな奴に負けて悔しく無いのか、戦え!
と背中を押すわけだ。
現実では、私的な制裁は犯罪だが、実際は喧嘩自体は良くあるし、フィクションの世界では裁けない悪に対して頻繁に行われる事でもある。
二つ目は、上位概念を動かす事。
例えば、先輩や上司と戦う必要があるなら、より強い存在に助けを求める必要がある。
親、先生、先輩が逆らえない先輩や友人、発言者自身が強いなら用心棒になるのも無きにしも非ずだ。
一緒に話をつけに行けば、まあ頼もしいだろう。
個人以外に、警察や国と言った集団や環境を動かす事も有効だ。
所属する環境下で、その中の人は上位概念には絶対に逆らえない。
どんなに恐ろしい先輩や上司でも、犯罪の証拠を掴んで警察に通報すれば、公的な制裁が加えられる。
ブラック企業なら、労働基準監督署に相談すれば良い。
教育委員会が動かない場合は、メディアやSNSに拡散すれば、動かざるを得ない状況を作る事が出来る。
国内が無理なら、国際問題にすればいい。
より、上位の存在に話を持っていければ、動かすだけの根拠さえあれば、必ず勝てる。
ただし、環境下のルールで、正義が無ければ、この手法は使えない。
仮に、冤罪で嫌な相手を陥れた場合は、ブーメランは必ず帰ってくる。
ある物を拝借する
- 肩の力を抜いて、呼吸を整えろ
- 練習は本番の様に、本番は練習の様に
- 早く、あくまでも丁寧に
- 練習の積み重ねが力になる
- 失敗は成功の母
- やらない後悔より、やる後悔
- やって後悔するにしても、何かによる
- 若いうちに失敗や苦労をしろ
- 多くを捨ててこそ前にすすめる
- どんな事があっても前を見て、進め
- 捨てたらいけない物もある
- 守る物があるから強くなれる
- 諦めたら、そこで試合終了だよ
- 失敗は、上手くいかないのを試す成功だ
と、誰かの気付きは、それだけで深みが出る事がある。
どれも、上記した手法に当てはまる筈だが、既にある物を流用する点で別枠に置いた。
「~曰く」とか、「~がこう言った」等と始めると、出典も合わせて紹介できる。
終わりに
どれも、言わせる場面が重要となる。
パラダイムで言えば、「決意の時」や「契機の時」が狙い目と言うか、主な言わせるべき場面だ。
起承転結の「転」を意識しよう。
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