面白い会話劇を作ろう
物語を描く上で、登場人物同士の会話は、非常に重要な物だ。
会話劇が面白いか、平凡かで、作品の評価は大きく変わる。
今回は、面白い会話劇を作り出す、一手法を教えよう。
それが「キャラクターのサブテーマ固定法」である。
他にも言い方や一般的な名称があるだろうが、まあ、そんな事は些細な問題だ。
面白い会話劇、作りたいよね?
なお、今回の内容は、いちおう初心者向けである。
まずは会話のメインテーマを決めよう
良い会話には、一定の目標や目的がある。
それは、言ってしまえば会話におけるメインのテーマだ。
例えば、挨拶を一つとっても、会話の入り口から、相手の状態を把握する為や、相手に自分を印象付ける為等、何らかの目標・目的がある。
天気の話題を振るにしても、場を持たせて空気を悪くしないとか、純粋に天気について情報交換する等、やはり、目標や目的がある。
ファンタジーRPGで、村人と会話するのは、役に立つ情報を収集する為で、その目標や目的を達成出来ない会話は、プレイヤーをガッカリさせる。
まずは、会話のメインテーマが何かを把握しよう。
当たり前の会話の着地点から少しだけ外れよう
面白い会話劇とは、そこに意外性が必要になる。
その際、目指すべきなのは、本来の会話が目指す目標や目的から、思いも寄らぬ方向に外れた所に到達する事だ。
そこに意外性が生まれる事になる。
そこで「キャラクターのサブテーマ固定法」の出番
「キャラクターのサブテーマ固定法」は、会話本来の目標や目的に向かっている様で、相手が独自のテーマで会話をしようとする手法だ。
つまり、対話者にサブとなるテーマが固定されている事で、対話内容に化学反応が起きる。
どういう事か?
メインテーマを歪めようとするサブテーマ
サブテーマは、メインテーマを歪めようと引っ張る。
メインテーマに沿って会話が進むのだが、対話者はサブテーマに話を持っていこうとして、話がそれると言う事が発生する。
だが、メインテーマを完遂したいので、元の会話はメインテーマを維持したまま進行しようと力が働く。
この時、あくまでも、サブテーマは、メインテーマを歪めるだけで、話を変えてはいけない。
この「話をそれさせるサブテーマ」を、キャラクターに固定する事が、今回紹介する手法の肝となる。
例えば、だ。
一方が、夕食に何を作って食べるかをメインテーマに会話しようとしているとしてよう。
対話者が、サブテーマで何を持っているかで、会話内容はガラリと変わる。
「今晩、何食べたい?」に対して
「そんな事よりさ」と話を変えてしまったら、メインテーマが変わってしまう。
普通の返答なら「夕飯? 昨日は焼き魚だったし、肉かな。最近寒いし、鍋もいいね」と、メインテーマに沿った物となる。
ここで、キャラクターに沿ったサブテーマによって、会話を歪める。
例えば「エロス」をサブテーマに会話したがるキャラクターなら?
「君を食べたい」
「はいはい。そう言うのは良いから」
なんて会話が発生する事も、あるだろう。
これは、日常の会話でも起きる現象だ。
相手は、いつだって自分が話したい事を話そうとする。
サブテーマでメインテーマを歪めるのは、メインテーマとサブテーマの掛け算だ。
このサブテーマを、キャラクター毎にある程度決めてしまう事で、劇中の会話は、面白く歪む。
この歪みこそが、会話劇の面白さを生む事になる。
いつも心に、サブテーマのフィルターを
メインテーマとは、ある意味で「TPO」に沿っている物だ。
だが、サブテーマは「個人の価値観」に沿っていると言っても良い。
つまり、サブテーマに沿っている会話とは、キャラクターの内面に正直な会話とも言える。
もし、あなたの好きな人が、「好きな人に何贈られたら喜ぶかな?」と無邪気に聞いてきたら?
メインテーマに沿った返答なら「自分では買うのに気が引けるけど、貰ったら嬉しいものかな」と真面目な答えになるかもしれない。
だが、サブテーマとして、好きな人に近づきたい様な目的があれば、会話は変わる。
例えば「君は、何を貰ったら嬉しい?」と聞けば、相手が貰って喜ぶものをリサーチ出来る。
要は、双方が自分の欲望や希望に沿った情報を引き出そうと、綱引きしている事が分かる事で、会話劇は面白くなると言う訳だ。
サブテーマをキャラクターによって固定させる事で、TPOに左右されずにキャラクターは自分の目的に沿って会話をしようとする。
それが、キャラ独自の会話となり、キャラクター性を引き出す事にも繋がる。
終わりに
今回の「キャラクターのサブテーマ固定法」は、基本的な事を一側面から説明したに過ぎない。
だが、これを仕組みとして認識しているか、認識せずに感覚だけでやっているかによって、創作が詰まった時、スランプから抜け出す大変さに差が出てくる。
仕組みを理解出来れば、どこが問題なのか当たりが付くからだ。
メインテーマが曖昧なのか、サブテーマが曖昧なのか、それとも他に原因があるのか?
少しでも役に立てば嬉しい限りだ。
“【テクニック】面白い会話劇の作り方「キャラクターのサブテーマ固定法」を紹介” への1件の返信