何がバトルを魅力的にするか
「バトル」をテーマとした作品。
ずいぶんとザックリした分け方だが、いわゆる「バトルモノ」は、どうすれば魅力的になるだろうか?
物語の「バトル」とは、そもそも何か?
バトルとは、日本語では「戦闘」だが、物語のジャンル的には「物理的戦闘描写」がある作品全般で使われる。
例えば、チェスや将棋の様な盤上のゲームはバトルだが、バトルモノと呼ばれる事は少ないだろう。
また、オンラインゲームをモチーフにした作品の場合は、データ上のバトルだが、視覚的に物理的な戦闘描写が行われる事で、バトルモノにカウントされる事もある。
また、「物理的戦闘描写」が見所の一番である事も条件に含まれる。
ファンタジー作品で、魔王討伐の為に旅をしている途中で戦いが描かれる場合は、バトルモノではなくバトル描写があると言う風な見方の方が強い。
他に、戦争作品で、大勢の白兵戦や銃撃戦が描かれる場合、個ではなく群の戦いなので、バトルモノとは呼ばれにくい。
つまり、相対する特定の相手と明らかな衝突がある場合はバトルモノとなり、特定の相手が明らかになっていない場合は戦争モノ等、別の呼ばれ方となる傾向がある。
また、明らかにスポーツや武術をモチーフとした場合は、バトルモノから外れる事が多い為、対戦するまでにゲーム的なお膳立てがあったとしても、実際の対戦は最低限のルールにしか縛られない傾向がある。
バトルの基本
ここからは、バトルモノの必須要素を説明していく。
主人公は、何と戦うか?
バトルを描くためには、戦闘を行う相手が必要不可欠となる。
例えば、漫画「ドラゴンボール」では、全部集めれば何でも願いを叶えるスーパーアイテムであるドラゴンボールを狙う悪いヤツと戦うのが、前半部分の基本的な流れとなっていた。
漫画「るろうに剣心」では、悪事を働く幕末の亡霊とも言える剣士達と戦っていく事になる。
漫画「ナルト」では、敵対する忍者と戦う。
漫画「ブリーチ」では、ホロウと呼ばれる人の魂を食べる悪霊と戦う。
漫画「僕のヒーローアカデミア」では、ヴィランと呼ばれる、能力を悪事に利用する犯罪者と戦っていく。
漫画「鬼滅の刃」では、人を襲う鬼と戦う事になる。
バトル要素のある作品には、何らかの「一定の規格」がある敵が複数登場する事になる。
何のために戦うか?
主人公には、バトルに身を投じる動機が必要となる。
最も基本的となる動機は、主人公にとって「大事な誰かを守るため」に戦う事だ。
他にも、「復讐」や「任務」とか「依頼」とか、まあ色々ある。
色々あっても、最も愛される動機は、結局「大事な誰かを守るため」に、行きつく動機となる。
例えば、漫画「ベルセルク」の場合、復讐の為に戦いに身を投じているが、ヒロインを助ける為と言う動機がある為、主人公の行動に共感しやすくなっている。
自己犠牲的な動機があるだけで、主人公は愛され、作品は人気が出やすくなる。
何を使って戦うか?
バトルを描く時に、敵と同じぐらい重要なのが、何を使って戦うかだ。
「同じ能力」なのか「敵の力と拮抗する別の力」なのか?
この設定には、ポイントがいくつもある。
まず、戦う力は成長しなければならない。
最初から、ある程度強くないと敵と戦えないだろう。
だが、最初から最強だったり全ての技を出せてはダメだ。
最初は、まだ使えない必殺技や奥義、拡張出来る伸びしろが必須となる。
次に、その作品内で登場する戦いの術は、根っ子の部分で同じである事が求められる。
これによって、敵も、味方も、戦う能力に統一性が生まれると同時に、戦闘能力の優劣を決め易くなる。
誰を倒したら終わりか?
バトルモノの結末は、大抵の場合、最も強くて厄介な敵を倒す事で一区切りする。
ここで重要となるのは、ラスボスを倒す事で、何が得られたり、変わる事で、戦いが終わるのかである。
ラスボスが世界征服や世界の破滅と言った野望を実現しようとしているなら、野望を打ち砕く事で世界が救われるので分かりやすい。
どうして、敵を倒して止める必要があるのかは、重要な要素だ。
どうやって倒すか?
面白いバトルモノは、戦う敵の強さが、絶妙にバランスが取れている。
雑魚敵やボス敵と、種類は様々だ。
だが、少なくともボス敵と主人公は、遭遇した時には能力的に敵の方が優れている部分がある。
単純な戦闘能力が劣っていても、敵は主人公を弱体化させる作戦が必ずある。
人質作戦、戦力の分散、肉の盾、陽動、強迫、卑怯な事だって倫理的にアウトだって、敵だったらヘッチャラだ。
そんな敵を、どうやって倒すのかが、バトルモノの大きな見どころだ。
敵の作戦や、圧倒的な力の描き方、それらをどうやって上回って行くのかの描き方、そう言った積み重ねでストーリーテリングの腕前が問われるわけだ。
終わりに
今回は、この辺で。
紹介した必須要素を考えるだけで、もしかしたら前よりもバトルモノを描きやすくなったりした人もいるかもしれない。
少しでも気付きに繋がったのであれば幸いだ。
“「バトル」をテーマにした、魅力的な作品の描き方【基本編】” への1件の返信